自治医大総合診療部構想の最終答申が発表されました(平成10年11月26日)


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総合診療部構想検討ワーキンググループ最終答申


 地域社会の高齢化の進行、疾病構造の変化、医療に対する住民意識の変化などにより、地域住民の医療に対するニーズも多様化してきた。医学医療の進歩は医療の専門分化を促し、疾病の診断と治療の面で長足の進歩をもたらした。急性感染症が激減したが、一方、がんやいわゆる生活習慣病などの慢性疾患が増加し、医療に対するニーズも疾患の治療中心の医療から、健康管理、疾病予防、リハビリテーション、緩和ケア、ターミナルケアに至る包括的医療が求められるようになった。
 地域社会の医療の確保と向上および地域の住民福祉の増進を図ることを目的に設立された自治医科大学の使命は、地域と時代のニーズに合った高度な医療能力を有する臨床医を養成することにある。今、地域社会が要請しているのは、幅広い診療能力を有するとともに、保健・医療・福祉を包括して実践・指導し、行政と連携して医療・福祉資源を有効に活用する調整能力をも有する総合医であろう。自治医科大学附属病院は、特定機能病院として高度先進医療を分担するとともに、教育病院として卒前医学教育、卒後臨床研修において総合医の養成に当ることが要請されている。

 平成9年5月23日の企画委員会で決定された「地域医療の充実強化について」の方針の中で、総合医を志向する医師養成システムの確立を図るために附属病院に総合診療部(仮称)を設置する方向で検討することが決められた。これを受けて、平成10年6月25日開催の企画委員会で「総合診療部構想の検討に関するワーキンググループ」設置が決定された。
 総合診療部構想検討ワーキンググループは、平成10年7月9日以来5回にわたって検討を行い、その議論をまとめて平成10年9月21日に中間答申として企画委員会に報告した。中間答申を学内および卒業生に公開し、教職員および卒業生から寄せられた意見を参考にワーキンググループにおいてさらに審議した結果を、最終答申として報告する。

平成10年11月26日

総合診療部構想検討ワーキンググループ
座長 狩野庄吾
委員 伊藤正子 梶井英治 斎藤寿一 鈴川正之
   布施勝生 牧野清文(五十音順)

1. はじめに

 平成9年5月23日開催の企画委員会で決定された「地域医療の充実強化について」の方針には、総合医の概念と将来展望の明確化、総合医を志向する医師養成システムの確立、総合医が活躍する場の拡大など今後大学が努力すべき方向が示されている。総合診療部の設置は、総合医を志向する医師養成システムの一環として位置付けられ、卒前医学教育、卒後臨床研修において総合診療の教育研修の場になるとともに、附属病院の診療面においては、紹介状を持たない初診患者の診療のほか、地域家庭診療センターおよび救急部の機能を統合することも検討することとされた。
 「総合医」あるいは「総合診療」の概念については、多様な考え方があり、地域と時代のニーズによっても変わり得るものである。平成10年1月22日の企画委員会に報告された卒後指導委員会の「地域医療の充実強化に係る具体的方策について」において、「総合医」とは、単に医療の枠内における活動を行うだけの医師を指すのではなく、保健・医療・福祉を包括して実践・指導し、行政との調整もできる医師と定義している。
 総合診療部構想検討ワーキンググループでは、先ず「地域における総合診療のあり方」、「期待される総合医像」について討議し、総合診療部の理念に関して共通認識を得るように努めた。次いで、「自治医科大学附属病院における総合診療部のあり方」について検討を行った。自治医科大学附属病院における総合診療部の具体的構想を検討するのに先だって、本学に既に存在する総合診療機能を有する2つの部門、すなわち大宮医療センターおよび地域家庭診療センターについて、その設立の意図、当初の目標が達成できた点、到達できなかった、あるいは途中で変更を要した点について、それぞれの当事者から総括を聴いた。
 なお、総合診療部構想検討の論議の過程で、既存の診療体制をそのままにして総合診療部を増設するだけでよいか、既存の診療体制、とくに内科系専門診療科のあり方を総合診療部との関係も含めて再検討する必要があるのではないかという意見が出された。この問題は、総合診療部構想検討ワーキンググループの検討範囲を超えるテーマであるので、付帯意見として企画委員会に答申することにした。

2. 地域医療における総合診療のあり方

【地域医療における総合診療】
 地域医療においては、患者を中心とし患者のニーズに応える医療、家庭と地域をも関心の視野に入れた医療が重要である。患者の治療に専門的医学知識を有機的に活用して総合的医療を行うとともに、患者のケアにも重点を置いて全人的・包括的医療を行うのが総合診療である。地域住民の健康と福祉を、誕生から死に至るまで継続的にケアする。個人を対象とするだけではなく、個人をとりまく家庭・地域などの環境も視野に入れて、健康管理、健康指導、疾病の予防指導、リハビリテーション、ターミナルケアを実践する。活動の場も診療所・地域中核病院などの医療機関の中だけではなく、地域や家庭に進出して住民の健康教室、在宅医療も担当する。家庭や地域の状況を把握し、行政とも連携して地域の資源を活用し、保健・医療・福祉を総合した活動を行う。これらの活動を円滑に進めるためには、医療従事者だけでなく、福祉、介護、行政など関係する多くの職種の人々をまとめて行うチーム医療が必要となる。
【期待される総合医像】
 期待される総合医像として考えられるのは、1)内科全般(General Internal Medicine,GIM)の広い知識と技術を持ち、日常診療で頻度の高い疾患の診断と治療が適切に出来る。2)救急患者の初期対応が出来る。3)慢性疾患の長期管理ができる。4)チーム医療の協力体制を組織・運営し、地域中核病院および診療所において診療の中心となって活動できる。5)全人的・包括的医療、家庭と地域を視野に入れた医療を実践できる。6)地域の行政と連携して保健・医療・福祉の資源を有効に活用し、地域住民に対して予防医学的指導ができるなどである。
 臨床能力とともに、医療関係者、住民、行政とコミュニケーションを図り、円滑な関係を構築する能力が重要である。
 必要とされる臨床能力は、診療活動を行う地域、医療機関によっても多少異なるが、一般内科(GIM)を中心に、小児科、皮膚科、精神科、眼科、耳鼻咽喉科、小外科、泌尿器科、整形外科の初期救急と応急処置ができるPrimary Care Physicianとしての臨床能力を持つことが望ましい。

3. 自治医科大学附属病院における総合診療部のあり方

【総合診療部設置の必要性】
 地域社会の医療の確保と向上及び地域の住民福祉の増進を図ることを建学の精神とした自治医科大学は、地域と時代のニーズに合った高度な医療能力を有する総合医を養成することが期待されている。総合医養成システムのわが国におけるスタンダードとして自治医科大学附属病院総合診療部がわが国の中核的存在となることが望ましい。
 診療面においては、既存専門診療科の臓器別専門診療、疾患の治癒を目的とした診療を補完して、患者を一人の人間として家庭と地域の関わりの中でとらえ、ケアの面をも重視し患者のニーズに合った診療を行なうことが求められている。
 卒前教育においては、基本的臨床能力教育およびプライマリ教育の臨床実習を担当する。また、医学生に早期から総合診療のイメージの刷り込みを行うことが地域医療に対する心構えを養成する上で重要である。
 卒直後の臨床研修においては、プライマリケアの基本的知識と技能を修得することが重要である。わが国の高齢化の進行と一人で複数の慢性疾患を抱えた患者が診療の対象となることを考えると、将来どの診療科へ進むにしても患者管理に必要な日常診療でよく遭遇する疾患(Common Diseases)の初期診療と長期的管理の修得が必要となる。さらに、現在検討中の臨床研修必修化が実現すると卒直後のプライマリケア臨床研修の受け皿として総合診療部が必要となる。
 本学の卒業生をはじめ地域医療に従事する総合医の生涯教育においては、後期研修およびその他の生涯研修を受入れ、総合医が自らの診療内容を確認するとともに、新しい知識、考え方、技術等を修得する場を提供する。同時に総合診療の実践を通じて先輩医師が培ってきた総合診療のノウハウを後輩医師に伝えることもできる。
 卒業生が県立中央病院などで中心となって運営している総合診療部と双方向で情報を提供しあい、それぞれの病院が総合診療部の内容を充実させる連携の核となることも自治医科大学附属病院の総合診療部に期待される役割の一つであろう。自治医科大学附属病院の総合診療部においては、地域医療の現場からの医療需要の動向に関する情報に基づいて総合診療のあり方を展望するとともに、卒前医学教育および卒後臨床研修における総合医養成カリキュラムと総合医養成システムを確立することが求められる。

【大学附属病院における総合診療部】
 大学附属病院における総合診療部は、何よりも先ず高い医療レベルを保った総合診療を行うことを患者から期待される。単にへき地診療所モデルの診療部門を大学病院に設置し、診療所レベルの診療を行うのは大学病院を受診する患者のニーズに合わないであろう。
 小児科、産科婦人科などの診療を求めて大学病院を受診する患者は、大学病院の高度専門医療を期待して来院する。大学附属病院における総合診療部には、それらの科の診療は含めない方がよい。従って、総合診療部の診療は、総合一般内科(General Internal Medicine)が中心になるであろう。
 総合診療部の機能としては、総合一般内科(General Internal Medicine)としての診療に、従来の地域家庭診療センターが担っていた機能(在宅医療、保健活動、健診センター、病診連携)を加え、さらに、初期救急医療(一般内科中心)を担当するのがよいと考える。
 総合診療部は、附属病院の中央診療部門と位置付ける。総合診療部には、高い総合診療能力のある臨床指導者を中心に総合診療の臨床能力の高いスタッフを確保することが重要である。総合診療部は、総合診療のレベルの高さにおいて患者および院内他部門から信頼されるとともに教育および臨床研修の指導面においても高い評価を受けることが望ましい。そのためにも、スタッフの臨床能力および教育研修指導力を評価するシステムを確立することが必要である。
 総合診療部は、大学関連の地域拠点病院、診療所と連携し、学生および研修医に地域医療の現場を体験させるとともに、地域医療の実践に必要な医療システム論、地域包括医療論などに関する実際的な教育を行う。
 総合医を志向して総合診療部に所属して研修する研修医は、総合診療部において基本的中核的研修を受けるとともに、関連医療機関(地域中核病院、診療所など)をローテイト研修することにより大学附属病院では研修できない総合診療の分野の研修を補完する。また、将来診療する地域のニーズに応じて必要な他科の診療能力については、他科ローテイト研修、救急外来における他科の初期救急研修などを通じて研修するのがよいと考える。

4. 総合診療部の具体的構想

 自治医科大学附属病院の中央診療部門(中央施設部門)として総合診療部を設置する。
 地域家庭診療センターを総合診療部に吸収合併する。「地域家庭診療センター」の名称を地域保健活動、住民健康教育、在宅医療などの窓口として残すか否かは今後検討する。
 総合診療部に外来部門、病棟部門を置く。その他に、総合相談部門を設置し、療養(看護)相談、栄養相談、医療福祉相談、リハビリテーションに関する相談などを患者と家族が一つの窓口で受けることができるとともに、学生と研修医も医療と保健・福祉・介護などとの連携を重視し医療福祉関連専門職との連携を身につけることができるようにする。
 外来部門においては、紹介状を持たない新来患者の初診を担当するとともに、「ケア」を中心とした医療の必要な患者の包括的全人的診療を行う。卒前教育において、外来診療実習(ポリクリ)を通して効率的かつ適切な病歴聴取、身体診察、患者ニーズの把握、診断プロセス、検査・治療の選択などを学習するよう指導する。
 病棟部門においては、高度な専門医療を必要としない時期の患者、在宅医療・緩和ケア・ターミナルケアへ移行する時期の患者、および在宅医療の後方病床として引受けた患者など「ケア」が中心の患者の診療を担当する。患者を中心に、医師、看護婦、薬剤師、栄養士、理学療法士などがチーム医療を行う。診断・治療に関する症例検討会のほかにケアカンファレンスを開催し、学生・研修医がそれに参加することにより全人的包括的医療を学習できるようにする。
 総合診療部においては、上記の活動に加えて、家庭医療、在宅医療、地域保健活動、住民健康教育などの活動を行う。地域住民、行政、開業医などとコミュニケーションをとって連携し活動することの重要性を学生、研修医に体得させる。
 外来、病棟の最終的規模は、総合診療部開設後2〜3年の期間中に患者動向調査、経営分析等を行なうとともに、他診療科との関係、病院リニューアルとの関係を調整しながら決定する。開設時の外来ブース数、病床数等の具体的事項は、総合診療部設置準備委員会を設置して検討する。
 総合診療部連絡運営会議を設置し、関係する診療科、看護部、栄養部、リハビリテーションセンター、薬剤部、医療福祉相談室、事務部門などの代表が定期的に総合診療部の運営に関する事項を協議する。
 総合診療部が理想的な形で発展するか否かは、総合診療部の理念・運用が内部構成員、学内関係者に十分理解されるか否かに掛っている。その意味でも最初は小規模で発足し、部内で理念に関する共通認識を深めるとともに、広く学内・学外の理解を得る努力を継続的に行うことが重要であろう。また、診療と教育研修指導の中核となって活躍する中堅ないし若手スタッフをできるだけ多く、既に総合診療部(あるいはGeneral Internal Medicine)が定着している外国施設に短期研修に派遣して診療および教育研修指導の実際を体験させることも有意義であろう。

5. 救急医療との関係

 救急医療は、包括医療の中で重要な位置を占め、地域住民の福祉に大きく貢献する。総合医が地域社会で活動する際に初期救急医療における十分な臨床能力を持つことが地域住民の信頼を得るために不可欠である。
 自治医科大学附属病院の救急部は、開設以来病院全体の有機的協力による運営を目指してきた。救急部固有のスタッフが中心となり、それに各診療科からローテイトのスタッフおよび各診療科スタッフが協力して救急患者の診療に当ってきた。小児科、産科・婦人科、精神科、眼科、耳鼻咽喉科、歯科口腔外科等特定診療科の救急受診患者は、それぞれの診療科の当直担当医が直接診療に当り、それ以外の救急患者の診療は、救急部固有のスタッフに内科系診療科、外科系診療科、地域家庭診療センターの医師が加わった救急当直チームが担当している。救急患者のニーズを中心に考え、病院全体の診療科のスタッフが協力して救急医療にあたる現在の基本的考え方は今後とも堅持することが重要である。
 総合診療部のレジデント及び医員は、救急部における初期救急医療および二次救急医療を担当することを通じて救急医療の研修及び実践を行う。特定診療科が担当している救急医療についても、総合診療部のレジデント及び医員の希望者は研修を受けることができる。
 三次救急医療は、救急部固有のスタッフが中心となって担当する。総合診療部のレジデントは、見学ないし補助的役割を担いつつ研修することができる。

6. 内科系専門診療科との関係

 自治医科大学附属病院の内科は、循環器内科、腎臓内科、消化器内科、呼吸器内科、神経内科、血液科、内分泌代謝科、アレルギー膠原病科、内科薬物治療科と臓器別系統別に専門分化している。学生の基礎臨床系統講義、各専門分野の医学知識と医療技術の集積による高度の専門診療および各専門分野における医学研究の推進においてすぐれた成果を挙げてきたことは評価できる。しかし、その反面、自分の専門領域以外の診療に手を出さない風潮が生まれたことは否めない事実である。医学生に対する診断学実習及び臨床学習(BSL)における基本的臨床能力の教育(コミュニケーション、医療面接技法、身体診察法など)、卒直後臨床研修におけるプライマリケアの基本的知識と技能の修得、初期救急医療などにおいて、専門分化した診療科の弊害とそれを補完する総合診療部の必要性が認識されている。
 今後は、内科系専門診療科がその長所を十分に伸ばして診療・教育・研究を進めるとともに、新たに設置される総合診療部と協力して患者の診療と卒前教育および卒直後臨床研修における内科教育を推進することが望まれる。その際、専門診療科に所属する医師も総合医としてのベースの上に専門医としての高度の医療を行っていることを忘れてはならない。専門医としての臨床能力を常に磨くと同時に、生涯機会ある毎に総合医としての研修に努めることが重要である。総合診療部のコアスタッフは総合医としての高い臨床能力と指導力量を備え、専門診療科から総合診療部の診療に参加する医師に充実した総合診療研修ができるよう努めることが必要であろう。
 総合診療部は、外来部門において、専門診療科宛の紹介状を持たないで来診した初診患者の診療に当るとともに、「ケア」を中心とした患者の診療を継続して行なう。病棟部門においては、集中的継続的に専門医による診療が必要な疾患及び病期の患者は専門診療科による診断と治療が必要であるが、それ以外の高度な医療を必要としない「治療(cure)」を目的とした患者や緩和およびターミナルケア、さらに在宅診療とその後方病床など「ケア」を中心とした医療が必要な患者については総合診療部が受け皿となって専門診療科医師のコンサルテーションを受けつつ診療し、同時にBSL学生の学習指導、卒直後臨床研修医の指導に当る。
 内科系診療科と総合診療部の協力と連携が円滑に機能するためには、両者の垣根を低くして人的交流が盛んに行われることが不可欠である。それぞれの長所を生かしながら協力し、患者中心の医療を行うという共通の理念を持ち、仲間としての一体感を持つようになることが重要である。総合診療部そのものが中央診療部門(中央施設部門)として各講座及び診療科からのスタッフにより運営されるが、その際に内科系診療科からは専門分野の疾患を持った患者に対するコンサルテーション担当医を貼り付けるとともに、関連病院への派遣と同様に一定期間スタッフが総合診療部に常駐して学生とレジデントの指導に当るとともに自分の専門診療分野以外の一般内科臨床についてリフレッシュする機会を持つのがよいと考える。
 患者を中心に考え継続的に診療するためには、一患者一カルテ方式の導入を検討するとともに、病期によりどちらが主治医的立場に立つかは別として複数の診療科が併診するシステムをとるのがよいであろう。その際、総合診療部は、専門診療科医師、看護婦、医療福祉相談員、行政などと相談し、調整を図りつつ、患者が医療面のみでなく、保健・福祉の面においても調和の取れたケアを継続的に受けられることを心配りする役割を担うことが望ましい。

7. おわりに

 総合診療部構想に関する中間答申を平成10年9月21日に企画委員会に提出し、その内容を学内教職員および卒業生に公開した。中間答申に対して寄せられた教職員および卒業生からの意見を参考にして総合診療部構想検討ワーキンググループで検討を重ね、最終答申をまとめた。
 地域社会の高齢化の進行、疾病構造の変化、医学医療の進歩などに伴い、地域社会の医療に対するニーズも変化しつつある。将来の地域と時代のニーズに自治医科大学がどのように対応するかが今問われている。医療・保健・福祉・介護に深い理解を持ち、包括医療を実践できる総合医を志向する医学生を教育し卒業させること、幅広い診療能力を持ち、保健・福祉・介護専門職と連携して地域医療を実践できる総合医を養成することが、自治医科大学および自治医科大学附属病院に期待されている。総合診療部の設置はその方向への小さなステップであるが、総合診療部構想を検討する審議の過程で、総合医の教育研修に大学および附属病院全体として取り組むことの重要性が強調された。専門分野における診療・教育・研究と総合診療への関与をどのように調和させるかが既存の講座・診療科、とくに内科系専門診療科にとって今後検討すべき課題であろう。自治医科大学の将来進むべき道を見据えた上で、そのあり方を再検討すべき時期に来ていると思われる。

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