基本構想

May 8, 2007 >

 

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はじめに :


栃木県の脳卒中死亡率は依然として全国トップレベルであり、心疾患に匹敵する数に迫っている。特に県南東部でその傾向は著明であり、自治医大の基幹医療施設として担う役割は非常に重要である。

自治医大では 2006 年から神経内科と脳外科が合同で脳神経センターを構成しており、内科・外科を問わず神経系の疾患を統合的に診療する体制を作ってきた。

脳卒中はその中でも救急部分の大きなウェイトを占めており、急性期慢性期を問わず内科、外科、放射線科、リハビリテーション科、救急部、看護部門などの有機的なチームワークを必要としている。特に迅速な対応が必要とされる急性期においては、部門間の密接な連携が成功の鍵を握っている。このような背景から、脳卒中に特化した脳卒中センターを開設することはきわめて有用であると考えられる。実際、ストロークケアユニットでは脳卒中患者の清明予後・機能予後が有意に改善されることが実証されている.脳卒中センターもストロークケアユニットに準ずる施設であり、脳卒中専門スタッフが診療に当たることから同様の効果が期待される.

さらに来年度から始まる地域連携パス制度の趣旨を先行して取り入れる取り組みも必要である。

 

自治医大内の脳卒中センター


まず自治医大内での脳卒中センターの構想を述べる。
脳卒中急性期患者は、早期の診断と治療が予後を決める大きな要因となっており、時間との勝負になっている。特に、発症後 3 時間以内に開始という制限のある tPA 静注療法が認可された現在では、患者搬送―診断―適応判定―治療開始まで極めて円滑に流れる体制が必要である。脳卒中センター化により今以上に迅速な対応が可能となり、センター化は急務であると言える。

即ち、脳卒中を疑う症例は、センター宛に紹介されればよいので、脳神経外科または神経内科なのか選択する煩わしさがなくなる。また、センターは、自治医大周辺の地域医療連携の要となるよう地域の医療機関と密接に連携し、気軽に且つ、迅速に利用できる地域密着型の検査・治療機関として企画している。

急性期の受け容れ体制の強化を進めるとともに、急性期後の治療方針とリハビリ到達目標が決まった亜急性期の患者を早めに適切な地域医療機関に逆紹介してゆくことも同時に重要と考えている。このためには、急性期亜急性期慢性期それぞれの治療方針のコンセンサスを形成し、密接な意見交換を行うことも重要であると思われる。

 

 

上部機関としての脳卒中診療ネットワークの設立


地域のグループ医療を推進するためには、その上部機関として、地域の医療機関をつなぐネットワーク(脳卒中診療ネットワーク薬師寺と呼称する)を組織し、基幹業務を自治医大脳卒中センターが行う予定である。自治医大脳卒中センターも含め地域内の各医療施設がそれぞれ機能分担して積極的に脳卒中医療連携に関わるためのハブとして機能することにより、地域ぐるみの組織的かつ包括的医療が実現可能となる。これにより、医療側には一体感を基にした、自由な意見交換が促進され、患者側からは、ネットワーク内での移動であることを理解してもらえば、亜急性期での医療機関間の移動も疎外感が解消するものと期待される。

また、亜急性期の症例に関しては、地域連携パスのさきがけとしてのネットワーク内での共通に情報を提供する体制作りも同時に行う予定である。

 

 

提案者 :

自治医大脳神経センター内科教授:中野 今治

自治医大脳神経センター外科教授:渡辺 英寿

自治医大脳血管内治療部教授:  根本 繁