ライン

基本検査項目詳細

身体測定 身長、体重、血圧、脈拍の測定をします。血圧は、水銀血圧計を用いて聴診法で測定し、日本高血圧学会の「高血圧治療ガイドライン 2000年版」に従って判定します。
血液検査
尿検査
個々の検査データが異常値であっても、直接疾患に結びつくとは限りません。それぞれの異常値については、病歴、身体所見、他の検査データから総合的に評価します。
1. 血液検査
1) 末梢血液一般検査・末梢血液像:赤血球数、血色素量、ヘマトクリットから、貧血や多血症の有無がわかります。赤血球数、血色素量、ヘマトクリットをもとに計算されたMCV、MCHC、赤血球像から貧血の原因疾患が推定できます。白血球数と白血球像から、感染症や白血病などの造血器腫瘍性疾患の有無が推定できます。血小板数から造血器腫瘍性疾患や血小板減少症の有無が推定できます。
2. 凝固・線溶系
1) プロトロンビン時間:外因系血液凝固因子(T、U、X、Z、、])の活性減少や欠損で延長します。
延長例―ワーファリン服用中、ビタミンK欠乏症(下痢、抗生物質長期投与下など)、肝硬変などの肝疾患など。
2) ヘパプラスチンテスト:肝の蛋白合成能の指標です。
減少例ー―ワーファリン服用中、ビタミンK欠乏症、肝硬変など。
3) トロンボテスト:ビタミンK依存性凝固因子(U、Z、])の活性低下で延長します。
延長例―ワーファリン服用中、ビタミンK欠乏症、肝硬変など。
4) 部分活性トロンボプラスチン時間:内因系凝固因子の活性減少や欠損で延長.また、これらの凝固因子を抑制する因子が存在する疾患も知られています。
延長例―ワーファリン服用中、ビタミンK欠乏症、ヘパリン治療、肝硬変、抗燐脂質抗体症候群など。
3. 生化学一般検査
1) 総蛋白・アルブミン:血清中にはさまざまな蛋白成分が存在しています。その総量を測定しています。おもな蛋白は、アルブミンとγ―グロブリンです。アルブミンは、肝臓で合成される蛋白で、血清アルブミンの減少は、産生の低下、体外への漏出、代謝亢進、栄養不良で起こります。
増加例ー慢性炎症性疾患、悪性腫瘍、脱水症など。
減少例ーネフローゼ症候群、重症肝障害、吸収不良症候群など。
2) 尿素窒素:体の組織蛋白や食事蛋白から生じたアンモニアが肝臓で代謝されて尿素となります。
増加例ー腎機能障害、消化管出血、脱水、高蛋白食、絶食など。
減少例ー低蛋白食、多尿など。
3) 尿酸:プリン体の最終分解産物です。血清尿酸値は、尿酸産生量と腎臓からの排泄量によって決まります。
増加例ー痛風、無症候性高尿酸血症、腎不全、薬物(サイアザイド系降圧剤など)など。
減少例ー先天性酵素欠損症、薬物(尿酸排泄剤、尿酸生成抑制剤など)など。
4) クレアチニン:筋肉中のクレアチニンの最終分解産物です。
増加例ー腎不全、脱水、薬物など。
減少例ー妊娠、長期臥床など。
5) 総ビリルビン:直接ビリルビンと間接ビリルビンの総和です。主に赤血球中のヘム蛋白が処理されて生成した非抱合型ビリルビン(間接ビリルビンに相当)が肝臓で抱合型ビリルビン(直接ビリルビンに相当)に代謝され胆汁中に排泄されます。
直接ビリルビン増加例ー急性肝炎、肝硬変、閉塞性黄疸、体質性黄疸など。
間接ビリルビン増加例ー溶血性貧血、体質性黄疸、薬物など。
6) GOT(AST):主に肝、筋細胞内、赤血球内に存在する酵素で、これらの細胞が破壊されたときに血中に逸脱してきます。
増加例ー急性肝炎、総胆管結石、脂肪肝、心筋梗塞、ミオパシーなど。
7) GPT(ALT):主に肝細胞内に存在する酵素で、肝臓細胞の壊死や破壊で血中に逸脱してきます。
増加例ー急性肝炎、肝硬変、脂肪肝、総胆管結石など。
8) LDH:体内のすべての細胞に存在します。5種類のサブタイプがあります。細胞や組織障害の程度を表します。
増加例ー心筋梗塞、急性肝炎、白血病、悪性リンパ腫など。
9) ALP:肝胆道系酵素の1つで、主に5種類のアイソザイムが知られています。
増加例ー閉塞性黄疸、薬剤性肝障害、骨腫瘍、妊娠、血液型B型またはO型、妊娠など。
10)γ-GTP:肝細胞毛細胆管膜から胆管上皮に分布し。肝胆道系酵素の1つである。アルコールや薬物には酵素誘導作用があるが、個人差が大きい。
増加例ーアルコール性肝障害、薬剤性肝障害、閉塞性黄疸、薬物、アルコールなど。
11)アミラーゼ:膵臓と唾液腺に主に存在する酵素です。
増加例ー膵炎、腎不全、唾石、耳下腺炎、マクロアミラーゼ血症など。
減少例ー膵全摘後、唾液腺全摘後など。
12)総カルシウム:血清中のカルシウム濃度です。血清アルブミンが4g/dl以下のときには、次の式で補正します。
補正Ca濃度(mg/dl)=Ca実測値(mg/dl)+(4−血清アルブミン濃度(g/dl))
増加例ー副甲状腺機能亢進症、悪性腫瘍、サルコイドーシス、薬剤など。
減少例ー慢性腎不全、副甲状腺機能低下症、くる病など。
13)無機リン:血清中のリン濃度です。
増加例ー腎不全、副甲状腺機能低下症など。
減少例ー副甲状腺機能亢進症、くる病、薬物など。
14)血清鉄:血清中の鉄濃度です。
増加例ーヘモクロマトーシス、急性肝炎など。
減少例ー鉄欠乏性貧血、感染症、膠原病、悪性腫瘍など。
15)CRP:炎症によって主に肝臓で生成される急性反応物質です。
増加例ー細菌感染症、悪性腫瘍、心筋梗塞、膠原病など。
4. 脂質・リポ蛋白
1) 総コレステロール:血清コレステロール値は主に肝臓での合成と分解の程度によって決まります。高コレステロール血症は動脈硬化症の危険因子の1つです。
増加例ー家族性高コレステロール血症を含む原発性高コレステロール血症、糖尿病、甲状腺機能低下症、ネフローゼ症候群、薬剤など。
減少例ー肝硬変、栄養障害、慢性感染症、甲状腺機能亢進症など。
2) 中性脂肪:中性脂肪(トリグリセライド)は、リポ蛋白(カイロミクロンやVLDL)に主に含まれている。高中性脂肪血症は動脈硬化症の危険因子の1つとされています。高度な場合には急性膵炎の原因となることもあります。
増加例ー家族性高脂血症、甲状腺機能低下症、アルコール多飲、糖尿病、肥満など。
減少例ー肝硬変、栄養障害、悪液質、甲状腺機能亢進症など。
3) HDL−コレステロール:HDLは末梢細胞に蓄積したコレステロールを引き抜くことで、動脈硬化症に予防的な役割をはたしています。
増加例ーCETP(コレステロールエステル転送蛋白)欠損症、肝性リパーゼ欠損症、薬剤、運動、アルコールなど。
減少例ー肥満、糖尿病、甲状腺機能亢進症、アポ蛋白A-1欠損症、LCAT(レシチンコレステロールアシルトランスフェラーゼ)欠損症など。
4) Lp(a):LDLに類似したリポ蛋白です。増加例ーで虚血性心疾患、脳血管障害、閉塞性動脈硬化症などをきたしやすいとされています。
5. 血清蛋白分画:血清をセルロースアセテート膜で電気泳動すると、主に5つの分画にわかれます。その分画の分離パターンや異常蛋白の有無から疾患を推定できることがあります。
例:ネフローゼ症候群(アルブミン低下)、α1-アンチトリプシン欠損症(α1-グロブリン低下)、肝硬変(γ-グロブリン増加)、M蛋白血症(異常蛋白出現)など。
6. 糖代謝
1) 血糖:血漿中の糖濃度を計測しています。
増加例ー糖尿病(表3参照)、胃切除後など
減少例ーダンピング症候群、血糖降下剤使用、インスリノーマなど
2) HbA1c:ヘモグロビンが非酵素的に血中の糖と徐々に結合した糖化ヘモグロビンを測定しています。約1か月間の血糖値の平均値を反映しているとされ、糖尿病のコントロール指標として利用されています。
増加例ー糖尿病、腎不全など。
減少例ー肝硬変、溶血性貧血など。
7. 尿検査
1) 尿検査一般:尿比重、尿蛋白、尿糖、尿潜血反応、尿ウロビリノーゲン、尿ビリルビン、尿ケトン体、亜硝酸塩について試験紙法で調べます。特に、尿潜血反応が陽性でも、尿沈渣中に赤血球がでているとは限りません。陽性所見がでた場合には、他の検査データとあわせて総合的に判断します。
2) 尿沈渣:尿10mlを1500回転、5分間遠心分離した沈渣を、スライドグラスに滴下し、400倍の顕微鏡で観察します。赤血球、白血球、円柱、細菌などの有無について調べます。
心電図 不整脈、心肥大、心拡大、心筋障害、心筋梗塞、電解質異常などの有無について標準12誘導心電図で判定します。心電図に異常所見があっても、すぐに治療が必要な疾患に結びつくとは限りません。
   頚部超音波検査 頚動脈の動脈硬化の程度を調べます。
レントゲン検査 胸部X線:胸部にある肋骨、脊椎、肺、心臓、大動脈、縦隔などの単純X線撮影です。全体を大雑把につかむ検査法ですが、スクリーニングにはとても良い検査です。
頚部X線:頸椎の単純X線撮影です。それらのカーブや結びつき具合あるいは、年齢と共に骨の角が鋭く脊髄方向へ突出する変化の度合い、などを見ます。頸椎症の診断に大切です。
MRI検査 磁石を用いて特別な方法でコンピューターを動かし、頭部を輪切りに白黒の濃淡の図で表す検査法です。もし、脳腫瘍や脳出血や脳梗塞などの病変があれば、白や黒の塊として描き出されます。検査のやり方は、患者さんが、ベッドに仰向けに寝てトンネル状の検出器のなかへ頭を入れ静かにしていれば、痛みも何もなく、30〜40分で終了します。ただ、工場の中に居るようなガンガンという音がします。うるさくて我慢出来ないという人もいますが、殆どの場合、我慢できる程度の騒音です。
MRA検査 MRI検査と同じようにベッドに静かに横になって、磁石のトンネルの中に頭を入れて静かに30〜40分寝ていれば終わり、痛みも何もない検査です。脳内や頚部の動脈や静脈をきれいに描出して、血管の異常、特に脳動脈瘤や血管の欠損などが描出されます。検査中はガンガンという音がします。
問診
神経学的検査
前もって記入していただいた問診票を参考にして、どのような症状が身体のどこに、いつごろからみられるようになったのか、脳ドックを受診するきっかけなどについてお話を伺います。また、あなたの身体に異常な徴候がないかを専門的系統的に診察します。異常所見がある場合には、後に明らかになる血液検査、画像検査の結果とあわせて、病気かどうかを総合的に判断します。
トップ アイコン
トップ

ライン