次世代医師・研究者交流

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医師・研究者キャリア支援センターでは、若手医師や研究者、大学院生間の交流を深め、多様なキャリア形成や研究を推進するために、若手医師・研究者の企画による「次世代医師・研究者交流会」を行っています。学内外の研究者による講演やその後の懇親会を通じて、学内の部門を超えた臨床と基礎を結ぶ新しい医療・医学研究の発展や、大学院生の交流推進を目指します。   参加は自由です。ひとりでも多くの方々との交流の場となりますように、皆様のご参加をお待ちしています。

キャリア支援交流会 を開催しました。

 27年度のキャリア支援交流会では、桃井眞里子先生をお招きして、プロフェッショナリズムとキャリア形成に関わる現状や歴史的背景、さらにこれらの問題における解決への沢山のヒントについてお話されました。桃井先生の自治医大での久しぶりのご講演ということも合って、会場には多くの医師研究者、医療関係者、医学生、大学院生の参加がありました。
 大学では、個人のスケジュールを調整しながら、組織の中で仕事を進めています。講演の最初に、「人として、何に満足や幸せを感じるのか。それを実現するために、若い人はまず、自分の時間をどう使うのかを考え、自分の能力を発揮することを考えることが重要である」というメッセージがありました。「貢献するということ」を考えることが、満足度へつながるということには医師や医学を志す参加者の皆さんも同感だったと思います。国や時代によって働く環境は変化してきたわけですが、お話を伺うと、団塊の世代では、国が豊かになろうという勢いに多くの若者もついていった現状があったとのことです。このような時代との違いを踏まえると、現在の若者にとって、「既に、一定の水準にestablishされた日本では、新しい発想が非常に重要である」という2つめのメッセージは、キャリア形成を進める若者にとっても、部下のキャリア形成を見ている上司側にとっても、重要なポイントのように感じました。


 続くご講演では、幸福度に関するデータのご紹介がありました。とくにやる気に関する各国のデータは非常に面白いと思いました。朝起き時に、「一日さあ頑張るぞ」という気持ちになるかどうか。そのように思う人の割合は、世代を問わず日本では非常に低いそうです(20-30代でも、40-50代でも同じ傾向が見られるとのこと)。また、日本では、組織に自分の環境の不遇の原因があると捉える傾向が高いということにも驚きました。組織に多くを求める日本の社会は、個人の責任という考えの他国とはかなり違う現状があるようです。幸福度には、選択の自由度や寛容度(どんな人でも受け入れられるのかどうか)が深く関わってくるので、自分がどのような場所で、どのようなキャリアを築きたいのか、今回の話しを聞いて、多くの方が様々な考えを巡らせたことと思います。

 社会において、若者や、自分自身をどのようにして育てるのか?ご講演の後半では、キャリア形成時期において、気をつけるべきポイントについて伺うことができました。「無意識のバイアスや固定観念に気をつけよう」というメッセージです。固定観念(stereotype)の影響として、社会が考えている仕事と育児の両立を自分のこととして捉えてしまっていることを例として挙げられました。また、ヒューリスティックという概念、言葉をご紹介されました。心理学において、この言葉は、簡略化した思考プロセスで結論に至る方法を示すそうです。代表性ヒューリスティックというものと利用可能性ヒューリスティックというものがあり、代表性では典型事例として処理し、利用可能性では、テレビなどの情報による意思の決定が行われているとのことです。これらには、時としてバイアスが含まれることが多く、注意が必要とのことです。聴衆の多くの方が、自身の思考パターンについて、バイアスのかかった判断だったのではと、考えたかも知れません。キャリア形成に重要なこととして、1)世の常識に囚われない、2)失敗を恐れない、3)思考バイアスに気をつける、さらに、固定観念を寄せ付けないためには、1)自分のしたいことを言語化する、2)上司や世間など、自分は何に囚われているのかを明確にすることが重要だと強調されていました。様々なバイアスに関して非常に貴重なお話でした。

 最後に、ご講演は、プロフェッショナリズム教育の話題へと進みました。プロとして求められるものは、公益性、道徳性、専門性、そして自律性であり、例えば、医師におけるキャリア教育として、医師として能力を発揮し続けるために必要な教育、自分が獲得すべき能力や時間の使い方を教える教育があるとのことです。また、仕事をして上で、多くの機会が有りすぎると、決められないが、本音で選択することが重要であり、他を捨てる勇気に迷っている時間に失うものがあることを考える必要があることも指摘されました。シーナ・アイエンガーの本(The Art of Choosing)を紹介されました。選択する自由がある一方、それには責務が生じること、またプロフェッショナル(聖域、法律、医学)は基本的に他者に伝えるためのものであるということを話されました。参加された方々にとって、今回のご講演が、個人と社会にとってのプロフェッショナルのあり方を考えて行く上で、様々な行動につながる刺激になることを願います。


 懇親会では、医学部学生の参加もあり、盛り上がりました。今回のご講演について質問や考えを聞かせてもらい、桃井先生をはじめ、教授の先生方から、コメントを頂きました。先生方からは、学生時代にやっておくこと、学生さんからは今自分がチャレンジしていることなど、楽しく聞かせてもらいました。懇親会には、若い医師のかたも参加されていました。研修医の方々などからも、質問や意見を聞く事が出来なかったのが残念でした。
 講演会参加者の皆様には、アンケートに沢山コメントを書いて下さり感謝いたします。是非ご覧ください。

(文責:交流会世話人)

回答73名

質問1.今回の講演はいかがでしたか。 良い 73

コメント
1. 普段にバイアスを受けていないと考えていたものの無意識に受けている影響を受けていたことを意識し、これを排除すべきと感じた。
2. ヒューリスティックの概念について始めて知り、心に響きました。自律性がいかに重要なのかわかりました。
3. 自分の中にもヒューリスティックバイアスがあることを再発見できた点が一番の収穫でした。これから研修医になるに当たって様々な固定概念に遭遇することになると思いますので、時々自分の中で本人にやるべきことを言語化して人生の選択をします。
4. これからの人生にためになった。役立つ人間になれるようプロフェッショナルになれるよう努力していきたい。
5. プロとしての意識づけ、意識形成について聞くことができた・女性が働く上での取捨選択の一方法があることがわかった。
6. 非常にわかりやすく、痛快な話を聞かせていただけて良かった。是非また桃井先生の話を聞きたい。
7. どうしても日本で生活していると、ついつい周りの人の目を気にして常識に捉われがちだが、それとは真逆の考え方で生きてこられた桃井先生の考えを伺うことができたため、とても良かった。
8. もやもやが吹っ飛んだ。
9. 自分の選択、意思決定に対して思い直すことができた。
10. 少しキャリアを積んだ者にも、自分のあり方を考える良い機会だった。また、後輩を指導する上でも今後役立つであろう考え方をお聴きできた。ある意味、“目からうろこ”でした。
11. 個人としての考えをもっとつきつめ、具体的に選択できるようになりたいと感じた。
12. 選択の仕方・考え方が分かりやすかったです。言語化!
13. 若い人が気づきにくい点を挙げて頂き、自分の今を考えるよい機会になった。ヒューリスティックにとらわれないキャリア形成ができそうに思う。今後に活せられる。良い話が沢山あって参加して本当に良かった。
14. 多様な話題を提供いただき,楽しいご講演でした。カーネマンのお話が出るとは想定しておらず、内容の多彩さに感銘を受けました。
15. 一刀両断ですっきりしました。
16. 自分が今後プロフェッショナルとなって行く中で、桃井先生の経験からの激励をいただいたように思えて良かったかと思います。広い視点での生き方を学ぶ良い機会だったと思う。
17. 学生の立場として、これからキャリアを形成していくのですが、講演の中で、自分自身の体調管理さえも組織まかせというものがあり、現在の自分に非常に当てはまると痛感しました。自分の選択を勇気を持って実行できるようにしたいです。
18. 自分が人の目を気にする性格で、思いきった行動がなかなかできないため、桃井先生の自信に満ちあふれた持論が新鮮で、もっと自分の信念に従おうと思った。
19. 考えの多様性を知れた。
20. 大変勉強になりました!!
21. 示唆に富む講演であった。また説得力があった。
22. 心理学をからめての話は大変興味が沸いた。
23. キャリアの選択に際し、何に留意すべきか明確なメッセージがありました。
24. プロとしてどう学ぶ、歩くのか、を聞けた。本を読んで得られるものもあるが、直接話を聞くことの方が良く思います。医師としてはプロフェッショナルを貫くべきであるので、日本の研修では目標に掲げられていませんが。
25. 桃井先生から直接、「プロフェッショナル」として何が重要か聞くことができたのはとても幸せでした。
26. モラトリアムの話には共感できる部分が多くありました。選択で時間を無駄にして過ごしていることが多いように思いました。
27. 具体的にどのようにすればよいかがわかった。自分に足りないもの間違っている考えが具体的にわかった。
28. 心理学的なアプローチ、分析が新鮮でした。
29. 自分の考えを明確にして、best choiceをできるようにしたいと感じました。桃井先生の講演をきいて刺激をもらいました。
30. 理解できない点も多々あったけれどいくつか理解できたこともあった。日本人には「自由」という概念がそもそもないように思います。「異種集団での経験は重要」我が子に言ってあげたい。
31. たくさんの“take home message”をたまわった気持ちです。
32. 大変勉強になりました。ありがとうございました。
33. 厳しい考え方=プロフェッショナルと感じました。
34. すばらしいご講演でした。わかりやすく、心理面などを例に挙げていただき良かったです。
35. 固定観念にとらわれないなど意識したことのない考えをしれた。
36. 私は十年強臨床医をした後に研究をはじめました。よく「なぜ今から?」と言われましたが、自分の選択を信じて進んでもよいのだなと思えました。あとは、自分なりに人を育てる方法を考えて行こうと思います。
37. いかに自分が常識にとらわれていたか気づかされた点が、非常に斬新でした。
38. 桃井先生になれませんが、私も自分のやるべきことをきちんと選択して仕事をしていきたいと思いました。
39. 働き方について、周りのDrと比べてしまいがちな日々でしたが、他の人の評価は気にせずに働いていこうと背中を押して頂きました。
40. 人生を歩むにあたって大切なことを学びました。今回のお話は桃井先生からの強いエールであったと思います。
41. 若い人を育てるうえで大変、刺激になり元気をいただきました。
42. 現在の自分を振り替える時間となった。ありがとうございました。
43. 目からうろこの部分と、私には無理と思うところがありました。
44. 両立?切り捨てるワークライフバランスの考え方? やりたいことを言語化する 有益な貢献 (考え方についての方法) 
45. 自分の様々な決定が社会通念に支配されていることに衝撃を受けたのであらためたい。
46. 普段囚われている固定概念をふりかえることができ、新しく前へ進む勇気をいただくことが出来たことです。
47. 自分が勝手に考えている事に同期することも気づかされることもあった。自分を見直す良い機会になった。
48. 自分で判断する事の考え方を再確認することができた。一般的に行動することで自分自身を正しいとしている誤りを気付かせる内容でした。
49. どのようにしたら自分の手でキャリアを切り開いていけるのかということを聞くことができたから。
50. 自分自身の仕事のありようを考えさせられました。ありがとうございました。


質問2.今後テーマとして取り上げたら良いと思われる企画・内容等についてお聞かせください。


1. 女性医師のキャリアについて
2. 自治医大を飛び出して活躍している人の話
3. 留学のご経験についての講演をお聞きしたいです。
4. 世界にはばたくための有識者(黒川清先生)のご講演を拝聴したく存じます。
5. また桃井先生の講演がききたいです。
6. 成功した人の話だけでなく、上手くいかなかった人の話も
7. 女性のキャリア形成について
8. 「やりがい」とは!
9. 若手研究者に対するキャリアプランの形成方法について
10. 医師飽和について
11. 自治医大を辞めていった先生を呼んで今どうしているのか、何か後悔はしていないのかなどを聞いてみたい。
12. キャリアなどについて言語化させる機会が欲しいです。
13. 様々な場所(所属施設)を渡り歩いていらっしゃった方の実際のお話をたまわることができらたいいと思います。
14. 経験談についてのお話し(特に失敗談について)


質問3. その他、開催時期・開催時間帯を含め、何かご意見がありましたら、お聞かせください。

1. 18時開始は早すぎます。
2. 平日の18時以降か休日
3. 調度良かったです。
4. 時期と時間も良いと思います。
5. とても有意義な時間になりました。ありがとうございました。
6. これで良いと思います。
7. 今回のような時期は良かったと思います。
8. もう30分〜1時間早いといいと思います。(18時から2時間だと子どものむかえに間に合わないので)
9. ちょうど子ども(1才)が夕食の時間でした。もう少し早いと有り難いです。
10. 今回の時間帯でOK