次世代医師・研究者交流

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医師・研究者キャリア支援センターでは、若手医師や研究者、大学院生間の交流を深め、多様なキャリア形成や研究を推進するために、若手医師・研究者の企画による「次世代医師・研究者交流会」を行っています。学内外の研究者による講演やその後の懇親会を通じて、学内の部門を超えた臨床と基礎を結ぶ新しい医療・医学研究の発展や、大学院生の交流推進を目指します。   参加は自由です。ひとりでも多くの方々との交流の場となりますように、皆様のご参加をお待ちしています。

第8回次世代医師・研究者交流会 「基礎と臨床の協力をめざして」 を開催しました!

 今回の交流会は金曜夜の開催でしたが、医学部学生や大学院生、若手教員が多く集まりました。前回に引き続き、冒頭ではイントロダクションとして、高橋講師 ( 大学院本務講座、細胞生物研究部(兼))よりキャリア支援センターの活動の紹介を行いました。今回の交流会のテーマは -臨床と基礎の協力をめざして- ということで、キャリア支援センターの支援の三つの柱のうち、次世代医師、研究者支援に関連して、学内の臨床、基礎での大学院生や若手教員、博士研究者(ポスドク)、研修医(レジデント)の数や基礎、臨床での内訳について簡単に説明を行いました。また、支援センターのアドバイザーの先生やこれまでの交流会を企画してきた世話人の方々のご紹介も行いました。
 自治医大の医学研究科(修士および博士課程)の総定員数は120名ほどで、大学院生間の縦、横のつながりを深めるには程よい数であると思われます。実際には、学外での研究活動や社会人大学院生として活動されている方々も多いですが、今後の交流会にも是非多く参加していただき、仲間を沢山作ってほしいと思います。初期レジデントの方々の参加が毎回少ないのですが、自治医大の場合、ほとんどの初期レジデントの方々は自治医大出身以外ですので、この会を通じて同世代の臨床以外の知り合いもできると刺激になるのではないでしょうか。
 いつもの交流会のスタイルでは、講演は広い講義室で行っていましたが、今回は前回のアンケート結果を参考に、西洋堂レストランで講演と懇親会を行いました。結果的には、発表者と聴衆との間の距離感がなくなり、参加者が比較的質問がしやすい雰囲気で行われ、交流会がさらに盛り上がったように思います。

当日の様子はこちらからもご覧になれます



阿部 朋行 さん 
自治医科大学分子病態治療研究センター 再生医学研究部 
自治医科大学先端医療技術開発センター  幹細胞・創薬基盤研究部門 助教

「ヒト血液細胞をもつヒツジの作出」

最初に臼井助教( 炎症・免疫研究部)より演者のご紹介がありました。再生医学や医療はニュースでもよく話題になっており、非常にホットな研究領域です。阿部さんは自治医大での再生医療研究を先導している花園研究室の若手研究者としてご活躍されています。宇都宮大学の学生時代に花園先生の門を叩かれ、現在までに着実に研究を進めてこられています。阿部さんの発表は、自分の研究目標をはっきり定め、分野外の方へもきちんと分かりやすく伝わる丁寧で熱意を感じるプレゼンテーションでした。
  iPS細胞を用いて動物個体内でヒト型血液細胞を効率的に作製することを大きな目標とされているとのことでした。そのために現在は、動物の胚性幹細胞(ES 細胞)を中胚葉系の性質へ誘導し、それらを別の種の大型動物の胎児へ移植し、造血幹細胞の生着率をいかに上げる事ができるのかについて幾つもの方法を試されているそうです。In vitroの系ではなく、大型動物での大量調整は大きなメリットがあるように感じました。今後の阿部さんの御研究の発展が期待されます。
 自治医大では、私大の戦略研究などで学内研究者の集まりはあるものの、学内での研究者の顔や各講座の雰囲気をお互いに伝える機会が少ないのが現状です。発表の最後には、花園研究室の紹介もありました。今後の交流会では、最初にショートトークとして、’自治医大ピップアップ研究室’ みたいな企画を行ってみるのもよいのでは思いました。


岩崎 有作 さん 
自治医科大学 生理学講座 統合生理学部門 助教

「迷走神経求心路を介した胃腸-脳連関による食欲制御: 基礎研究から肥満治療を目指して」

最初に中山講師(人類遺伝学研究部)より演者のご紹介がありました。岩崎さんは、食品科学のバックグランドをもつ自治医大のユニークな若手研究者です。冒頭では、トウガラシを食べると代謝が亢進することを例に、末梢臓器から脳への情報伝達を仲介する内臓性感覚神経の重要性を説明されました。摂食や肥満を制御する末梢から脳への情報伝達はどのような経路やメカニズムで行われているのか?その実体を生理学的な視点から明らかにしたいという思いから、岩崎さんは摂食制御の生理学的メカニズムを精力的に研究されている自治医大の矢田先生の研究室で現在の研究を始められたそうです。
 インスリンはもっとも有名なホルモンの一つですが、実際には脳へ作用する際、血液脳関門を通過するものは非常に少ないということを今回初めて知りました。岩崎さんは、末梢神経である迷走神経に注目されています。迷走神経は脳内の孤束核と呼ばれる延髄のニューロンへと連絡します。単離した迷走神経細胞には実際にインスリンの受容体が存在し、さらに外部からインスリンを添加することにより迷走神経ニューロンが活性化されることを示されていました。同じ物質であってもいくつもの作用機構があり、末梢神経を介したインスリンによる新しい摂食制御機構の発見は (自治医大研究情報を参照)、今後の様々なホルモンの作用機構の解明にも影響を与えるように思いました。
 トークの後半では、食品科学的な側面から、この神経経路を制御できるような物質の探索の紹介もありました。基礎研究がどのように臨床的な現場で役立つのか、その具体的な道筋がよくわかり、フロアから質問が多く出ていたことも印象的でした。今回、お二人について強く共通点を感じたのは、研究にご自身のヒストリーがあり、さらに分野外の方にもわかりやすいプレゼンをされたことでした。このような発表をお互い紹介し合うことで、特に大学院生の方々にはより良いプレゼンテーションの開発やデータのまとめ方について参考になるのではと思います。



 懇親会にも多くの方々の参加がありました。草間センター長は今年度で自治医大を退職されますが、最初にセンター長からこれまでのキャリア支援センターのあゆみと研究を通じた基礎臨床とのつながりへの考えが述べられました。
 今回の交流会は演者や参加者への質問形式で進行しました。参加した学部生からも、岩崎さんの研究に関連するオキシトシンなどのホルモンの作用についての質問もありました。また、今回は花園先生が最後までご参加され、自治医大での研究交流や大学院を活性化するための方法などはありますか?との質問に、ご自身の研究留学へ至るご経験や幹細胞研究の変遷などを交え、交流会への参加の感想なども含め、笑いありの若手への熱いメッセージを頂きました。アドバイザーの小宮根先生からも交流会についての感想を頂きました。
 今回の交流会は、いつも以上に盛り上がったように思います。いろんな経験や考え方を聞く機会というのは、様々な発想が生み出される刺激になるように感じました。交流会は学外の研究者の講演も行ってきましたが、学内での若手研究者の最前線を紹介することも重要であるし、非常に聞いていて刺激になると感じました。また、今後の交流会として、海外留学の経験をもつ多くの自治医大の教員から留学とはどんなものか?さらにどのように体験を経て何を学んだのか?など、紹介して頂ける企画もあれば、交流会もさらに盛り上がるのではないかと思いました。

文責)交流会世話人