教育・研修のご案内

卒後臨床研修室

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大河原先生挨拶

自治医科大学は、地域における医療・福祉の向上を目的として設立された大学です。また自治医科大学附属さいたま医療センターは、このような建学の理念を実現する場として平成元年に設立されました。最新の医療設備を備え、優秀なスタッフが診療と臨床教育にあたっており、さいたま市のみならず埼玉県の中心的な医療機関です。 当センターにおける医療では、「患者にとって最善の医療をめざす総合医療」と「高度先進医療をめざす専門医療」の一体化とその実践を目標としています。これまでもスーパーローテートの多科研修を行ってまいりました。初期臨床研修が義務化された平成16年以降においても、この経験を生かし、かつ厚生労働省の基準案に従ったスーパーローテート方式による研修を行っています。これによって、幅広い医学知識と技能を有し、深い人間性に基づいた優れた臨床能力を発揮できる医師を養成していきます。当センターは幸い多くの患者さんに信頼されており、その診療を通して幅広い臨床経験を積むことができ、かつ総合的な視野に立った臨床医となることができます。 また、地域のニーズに応えるため、平成20年4月に救急医療、高度専門医療、周産期医療の充実を目的として南館200床を増床しました。平成28年4月には、埼玉県8番目の救命救急センターを開設し、多数の三次救急患者さんも診療しています。 なお、当センターでは、医師臨床研修制度の初期研修プログラムで研修する医学部卒業1年目と2年目の医師を「研修医」あるいは「ジュニアレジデント(J)」と呼んでいます。また、医師臨床研修プログラム修了後に専門研修プログラムで研修する専攻医あるいは後期研修医を「シニアレジデント(S)」と呼んでいます。「ジュニアレジデント」と「シニアレジデント」を合わせて、「レジデント」と呼んでいます。


卒後臨床研修室メンバー

室長 大河原晋 学内教授、腎臓内科
副室長 
 山口泰弘 教授、呼吸器内科
 野田弘志 教授、一般・消化器外科
 桑田知之 教授、産婦人科
 菅原大輔 講師、小児科
 眞山英徳 講師、総合診療科
 田村洋行 助教、救急科
 鈴木伶奈 助教、総合診療科
アドバイザー 菅原斉 教授(前卒後臨床研修室室長)、総合診療科

卒後臨床研修室の取り組み

自治医科大学附属さいたま医療センター卒後臨床研修室では、室長挨拶内にある“総合的な視野に立った臨床医”の育成を目指し、ベッドサイドでの経験を補完するさまざまな教育機会を設けています。特に、二代目センター長の故金澤康徳先生の“研修医に良い教育を受けさせたい”という熱意により実現した、 Wilfred Y.Fujimoto客員教授(州立ワシントン大学内分泌代謝科名誉教授)をお招きしての “Dr. Fujimotos’ Educational Weeks”は2004年〜2023年まで約20年の長きに渡り、当研修プログラムの顔でした。国内においては貴重な、英語で臨床推論を学ぶ機会でしたが、残念ながら2023年9月をもち、惜しまれつつ終了となりました。こちらに代わる教育機会として、 2023年4月からは有志教員による “Case Based Learning (CBL)”を開催しています。 CBLは、Fujimoto先生の薫陶を受けた卒後臨床研修室内の医師3名が中心となり、毎週楽しみながら日本語で臨床推論を学ぶ機会です。何をディスカッションするにも自国語での理解は不可欠であり、研修医からの意見も踏まえた上で、CBLはあえての自国語開催としています。しかし、様々な国で英語を用いた医学教育が行われている世界の現状から取り残されないためにも、今後も英語での医学教育を継続していく方法を、現在模索しています。 また、卒後主導のものだけではなくセンター内では、2年間の研修中にはImmediate Cardiac Life Support (ICLS)、縫合実習、総合回診、学会発表、論文作成など、個々人のやる気次第で可能性を広げて頂けるように、様々な教育機会を提供しています。 昨今の働き方改革により初期研修医の労働時間が制限される中で、双方が満足のいく教育を行うことは時に容易ではありませんが、お互い歩み寄りながらその時その時のベストを目指しています。

ICLS

縫合実習など

左:縫合実習、右:採血実習

Dr. Fujimoto

左:前卒後臨床研修室副室長石井彰先生(左)、前同室長菅原斉先生(右)と右:Dr. Fujimotoによる研修医に向けた講義の様子


卒後臨床研修室主催の主要なプログラム案内

1. Dr. Wilfred Y. Fujimoto客員教授によるEducational Weeks<終了>
2004年〜2023年(コロナ禍の2年間は中断)まで、Dr. Fujimotoには2ヶ月に1回・年6回にもわたり2週間ずつご滞在頂き、初期研修医に直接ご指導を頂いていました。ご来学中は内科の全体カンファレンスである総合回診 (後述)はもちろん、循環器科、外科の朝カンファレンスに至るまで院内の多くのカンファレンスが英語になり、 Noon Conferenceと称してCase Based Learning形式のカンファレンスをLunch onで行なっていました。 それだけでなく2週間のうちにはClinical Case Scenarioという、内科ローテーション中の研修医とDr. Fujimotoがマンツーマンで自分が経験した症例についてディスカッションする贅沢な機会もありました。 慣れない英語に苦戦しながらも自分が経験した症例をDr. Fujimotoのガイドのもとで再解釈することは、研修医にとって貴重な振り返りの経験となりました。 2023年9月の最終後来学時に行われた記念式典は、歴代のセンター長や交流の深かった先生方も駆けつけられ、Dr. Fujimotoのセンターの初期研修医教育における功績を振り返ると共に、新たな門出を祝福する盛会となりました。


写真:最後のご来学時の様子(2023年9月)

記念式典の様子(2023年9月)

2. Dr. Fujimoto客員教授とのオンライン症例カンファレンス<終了>
コロナ禍でDr. Fujimotoのご来学が途絶えた際、なんとか継続できないものかと一時期オンラインで月1回〜2回の症例カンファレンスを行って頂きました。有意義な機会であった一方で、英語でのオンラインディスカッションは双方にとってストレスが大きく、残念ながら2年で終了となりました。とは言え、研修医にとっては、英語でのオンラインディスカッションの難しさを感じ、自国語での知識の大切さを学ぶ貴重な経験となりました。

3. 総合回診
毎週水曜日午後4時〜5時に開催される総合回診は、研修医による症例検討会です。毎週2名の研修医が、自身が経験した興味深い症例を20分ずつ学会形式で発表・共有し、発表後に討論する形を取っています。研修医だけでなく内科系上級医も多く参加し、センター創設以来継続している、いわばセンターの名物と言えます。研修医による症例発表の後には、各科の上級医による研修医ミニレクチャーが行われ、研修医の貴重な学びの場となっています。 医師向け最新医学・医療情報サイトm3.comでも、2016年より“研修最前線”内で当センター総合回診での発表症例を取り上げて頂いています。

左:ある日の総合回診の様子,右:気管カニューレについてのミニレクチャー(耳鼻科・澤先生)

>M3.com内総合回診記事へのリンク(m3.comへのログインが必要です)

2023年の総合回診記事一覧

2022年の総合回診記事一覧

2021年の総合回診記事一覧

4. Immediate Cardiac Life Support (ICLS)コース
入職後・臨床業務開始前の1週間に新J1には種々のオリエンテーションを行いますが、その一環として、当センターでは2017年より、卒後臨床研修室主催で全員参加のICLSを行なっています。ICLSでは救急科柏浦医師と田村医師が中心になり、院内からの多数のサポート(指導医、先輩研修医、看護師など)を得て、1日かけて心肺蘇生術を学びます。参加した研修医からも有意義な研修と、高い評価を得ています。

ICLSディレクター柏浦正広先生からのメッセージ:
自治医科大学附属さいたま医療センターでの研修をお考えの皆様、救急科の柏浦正広と申します。当センターでは初期研修医の皆さん全員にICLS(Immediate Cardiac Life Support)コースという心肺蘇生コースを受講していただいています。 ICLSコースでは突然の心停止に対する最初の10分間の対応と適切なチーム蘇生を習得することを目標とした実技実習中心のコースです。初期研修医となって臨床の現場に出たとき、もしかしたら一人で急変対応を始めないといけないかもしれません。当センターのICLSコースは例年4月に開催しています。急変対応や心肺蘇生に早く習熟していただき、皆さんが不安なく急変時の初期対応ができるようにサポートしています。当センターの研修プログラムが、皆さんの成長と成功の一助となることを心から願っています。

5. Case Based Learning (CBL)
週1回のCBLではDr. Fujimotoの薫陶を受けた経験豊富な指導医のもと、お昼の1時間で実際の症例をベースに、診断から治療に至る流れを参加型で学ぶことを目的としています。基本的には教員が症例提示を行いますが、初期研修医が経験した勉強になる症例を扱うこともあります。医学部のカリキュラムでも浸透してきたCBLですが、当プログラムのCBLでは指導医・研修医が実際に経験した症例を用いることにより、即臨床に役立つ教育経験になることを目指しています。 また、症例ディスカッションだけでなく、必要に応じて初期研修医向けの講義も行なっています。研修医からも

“映像授業よりも双方向で意見を共有できる場はとても貴重”
“臨床を追体験できる場”
“軽食も出てお得”
”初期研修医目線で進行してもらえるため、勉強になる”
”特別講義も勉強になる”
“実習形式の時もあってわかりやすい”

と、好意的な評価を得ています。
祝日以外の毎週金曜日12時〜13時に行っており、見学の方の参加も歓迎しています。ご興味のある方はぜひ、当プログラムの“生きた教育”をご覧になってください。

>お問合せ・見学申し込みは卒後臨床研修室まで

TEL:048-648-5225(直通)
mail:rinshoukenshu2@omiya.jichi.ac.jp

講義内容(一部)

CBL担当教員による講義:頭部MRIの画像診断(眞山)、てんかん(眞山)、紹介状の書き方(田村)、超音波事始/ハンズオン(鈴木)、教科書に載っていない輸液の話(鈴木) 特別講義:論文の読み方(麻酔科・集中治療部 塩塚先生)、気道緊急(救急科 森先生) *講義は録画されており、卒後臨床研修室のYouTubeチャネル(限定公開)内で後追い視聴することが可能です。

CBL特別講義“気道緊急” 講師:森先生(救急科)

CBL講義“てんかん” 講師:眞山先生

CBL担当教員プロフィール

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