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当科で扱う対象疾患は、子宮頸癌、子宮体癌、卵巣癌などの悪性腫瘍(手術、化学療法、放射線療法)や子宮内膜症、子宮筋腫、卵巣嚢腫などの良性腫瘍などです。主に、悪性腫瘍、子宮内膜症、内視鏡下手術(腹腔鏡、子宮鏡)に力を注いでいます。
子宮頸癌に対しては、前癌病変の診断に従来の子宮頸部細胞診・組織診に加え、ヒトパピローマウイルス(HPV)DNA診断テストを併用し、より効果的な診断、治療のシステムの開発を行っています。また、若年層の患者数増加傾向のため上皮内癌までの初期癌では円錐切除術のみ行い子宮を温存する例が増えています。一方、子宮頸癌の進行例では、従来の手術療法または放射線療法に代わる治療として評価されつつある「放射線-化学療法同時併用療法」を選択する症例が増加しています。従来では手術療法の対象とならなかった大きい腫瘍径の症例に対してもよい治療成績が得られ、広汎子宮全摘出術後に生じる排尿障害やリンパ浮腫を避けることができます。
子宮体癌については骨盤および腹部大動脈リンパ節郭清を含む手術により進行期を診断し、その結果により化学療法を追加しています。卵巣癌では手術(子宮、卵巣、卵管、大網摘出術、骨盤および腹部大動脈リンパ節郭清術)後に進行期、組織型が確定したところで化学療法を行いますが、全身状態によっては化学療法を先行させることもあります。
良性疾患、特に子宮内膜症では、腹腔鏡下手術を積極的に取り組んでいます。さらに子宮内膜症では薬物療法の臨床試験を行い、従来のダナゾールやGn-RHanalogの以外の薬物療法(抗ロイコトリエン受容体拮抗剤、EPAなど)の可能性についても研究中です。
また、当科では、内科、外科など他科の協力を得て診療に当たることが可能なため、心疾患、糖尿病、腎疾患などの合併症を持つ方が多いのも特徴です。
ここ数年は当科での診療を希望される患者数は増加傾向です。スタッフ一同フル稼働しておりますが、人員、ベッド数、手術室の利用枠等の関係で、手術が必要な方でも悪性疾患で最低1~2ヶ月、良性疾患で3ヶ月前後、お待ち頂いているのが現状です。
平成20年10月から産科診療を開始しました。周産期医療は妊娠前のケアから妊婦健診、出産、産褥・新生児ケアへと予防医療を含めた地域化が非常に重要で、当センターの役割として地域の1次医療機関をはじめ2次・3次医療機関とも連携してよりよい周産期医療を提供することが求められています。今後は地域連携とスタッフの勤務環境を考慮した新たな周産期・産婦人科医療体制を作っていきます。
婦人科悪性腫瘍の治療では化学療法が重要な役割を果たしていますが、当科では薬剤部、看護部の協力の下、積極的に外来通院化学療法に取り組んでいます。初回化学療法時は念のため入院して頂き、アレルギー等の副作用がないことを確認しますが、問題のない場合には2回目以後は外来で点滴を行っています。
※当センターは基本的に紹介状をお持ちの方を対象として診療を行っていますが、産科も同様です。産科外来診療時には助産師が常駐し、妊婦健診時における保健指導をはじめとして、きめ細かい妊娠ケアと出産・産褥・育児までの継続したケアを行います。
紹介患者診療スケジュールは、こちらをごらんください。
婦人科病棟はこれまで4階東に設置され、消化器・一般外科との共同病棟でしたが、今回の増築、増床に伴い、新館(南館)5階の5B病棟に移転しました。眼科、口腔外科との共同病棟ですが、利用病床は増えますので、これまで以上にレベルの高い診療を提供できると考えています。また、引き続き、内科、外科、麻酔科、泌尿器科、心臓血管外科、放射線科など専門領域について高度なレベルでの診療コンサルテーションを密接に行っていきます。手術日は月曜、火曜、木曜の週3日です。
産科病棟は新生児病棟(NICU、GCU含む)と同じ新館(南館)の4階、4B病棟に開設され、周産期の継続的なケアができるようになります。病床数は23床で、分娩待機室3床と分娩室2床の設備を有します。
| 婦人科総手術件数 452件 | 開腹手術 | 248例 |
| 腹腔鏡下手術 | 177例 | |
| 膣式手術 | 27例 | |
| 産科分娩数 442件 | 経膣 | 309例 |
| 帝王切開 | 133例 | |
| 産科手術件数 149件 | 帝王切開術 | 133例 |
| 子宮内容除去術 | 31例 | |
| 頚管縫縮術 | 6例 | |
| 卵巣腫瘍核出術 | 5例 | |
| その他 | 1例 |
| 婦人科 | 産科 | |
|---|---|---|
| 受診総数 | 14,812 | 6,386 |
| 初診患者数 | 870 | 121 |
| 婦人科 | 産科 | |
|---|---|---|
| 在院患者数 | 5,046 | 5,300 |
| 平均在院日数 | 6.9日 | 11.2日 |
| 子宮体部腫瘍 | 子宮体癌(子宮肉腫を含む) | 40 |
| 子宮内膜増殖症 | 9 | |
| APAM | 1 | |
| 子宮内膜ポリープ | 4 | |
| 子宮腺筋症 | 7 | |
| 子宮筋腫 | 122 | |
| 附属器腫瘍 | 卵巣癌 | 34 |
| 卵巣境界悪性腫瘍 | 7 | |
| 卵巣腫瘍 | 154 | |
| 卵巣出血 | 3 | |
| 卵管水腫 | 1 | |
| 子宮頸部腫瘍 | 子宮頸癌 | 24 |
| 上皮内癌 | 9 | |
| 子宮頸部異形成 | 12 | |
| その他の悪性疾患 | 絨毛癌 | 1 |
| 大腸癌 | 1 | |
| 腹膜偽粘液腫 | 1 | |
| その他 | 子宮脱 | 4 |
| 子宮外妊娠 | 7 | |
| 骨盤腹膜炎 | 5 | |
| その他 | 6 |
| 年 | 2002 | 2003 | 2004 | 2005 | 2006 | 2007 | 2008 | 2009 | 2010 | 2011 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 件数 | 179 | 217 | 218 | 313 | 375 | 392 | 397 | 460 | 626 | 628 |

当センター婦人科では、内膜症性嚢胞を合併し、癒着による疼痛・月経困難症を有する子宮内膜症患者に積極的に腹腔鏡手術を施行しています。2002年4月から2004年12月までの間に54件;有疼痛91%(49/54)、内膜症性嚢胞合併93%(50/54)、重症例96%(r-AFS分類Ⅲ期50%、IV期46%);に施行しました。
術後転帰は、内膜症性嚢胞の再発率9%、術後6ヶ月以降の再発はありませんでした。月経困難・疼痛は88%が軽快、消失しました。再発率は25%でしたが、術後1年以降の再発はなく疼痛の緩和は術後2年後も良好でした。不妊(症)例の術後妊娠率は37%でした。
術中合併症は、出血および癒着強固による開腹手術移行が3例(6%)、術後合併症は5例(9%)のminor complicationのみであり輸血例や再開腹例はありませんでした。
この結果は、2006年1月のエンドメトリオーシス研究会で報告しました。
2002年4月より2005年12月までの腹腔鏡下手術160例に施行された。そのうち、術中開腹移行例は3例(1.9%: 腹腔内強度癒着または出血量増加のため)、トラカール挿入時の腸管損傷が1例(0.6%)あり、輸血症例はありませんでした。この結果は、2006年2月の埼玉県産婦人科内視鏡手術研究会で報告しました。
このように、合併症の少ない手術を提供するために、常に手術手技の向上、修練、チームワークの良好化を図っています。
| 手術合併症(2010年) | 0.6% | |
|---|---|---|
| 術後腹腔内出血による再開腹止血術 | 3例 | (0.6%) |
| 術中および術直後の手術関連死亡 | 0例 | - |