教育・研修のご案内

平成25年度第1回公開講座講演内容

最新の子どものワクチン事情

市橋 光教授
小児科
教授
市橋 光
(いちはし こう)
以前は日本でできる予防接種の種類が欧米諸国と比べて少なく、日本は「ワクチン後進国」と言われていました。最近は予防接種の種類が増加し、今年の4月に予防接種法が改正され、定期接種の種類も増えました。しかし、ワクチンの種類が増えても、接種の必要性を理解していないと実際の接種率が増加せず、病気の予防ができません。
この講演では、日本のワクチン接種の効果が不十分だったことをまずお話しします。米国ではすでに麻疹や風疹は撲滅され、海外から年間数十の流入例のみになっています。一方日本では、麻疹は減少してはいますが未だに数百人の発症があり、風疹は現在大流行となってしまいました。
次に、最近になり導入されたワクチンの種類と今年の4月に改正された予防接種法の改正点について説明します。予防接種法の改正により、Hib、小児用肺炎球菌、子宮頸がん予防の3ワクチンの予防接種が定期接種となりました。
そして、新しく導入されたワクチン(Hib、肺炎球菌、ロタウイルス)の効果についてお話しします。Hibワクチンや肺炎球菌ワクチンの導入により、欧米ではそれらの重症感染や髄膜炎の発症が1/10以下に減少しています。また、ロタウイルスワクチンの導入により、感染患者の明らかな減少が認められています。
最後に、皆さんが軽く考えている病気がいかに重大な結果をもたらす可能性があるかを示します。妊婦が風疹に罹患すると胎児が先天性風疹症候群を発症する可能性があります。おたふくかぜにはいろいろな合併症があります。水痘にかかると、治癒する1週間の間は他児と隔離する必要があるので保育園にあずけることができなくなり、母親も仕事を休まねばなりません。
この講演を通して、ワクチンによって子どもの命と健康を守っていく大切さをご理解いただこうと思います。

子宮頸がん予防ワクチンの有効性と安全性

今野 良
産婦人科
教授
今野 良
(こんの りょう)
日本において子宮頸がんは女性特有のがんとしては、乳がんに次いで罹患率が高く、特に20~30代のがんでは第1位となっています。毎年約3,500人(全国で毎日10人)が亡くなっています。女性にとって、また社会にとって脅威である子宮頸がんの大きな原因の一つがHPV感染です。HPV感染による子宮頸がんは、定期的な検診とワクチン接種で予防することができます。
平成25年度4月以降施行される改正予防接種法により、わが国においても、子宮頸がん予防、ヒブ、小児用肺炎球菌の3ワクチンが定期接種として広く実施されることになります。WHO(世界保健機関)をはじめとする世界の主要な国際機関や政府機関は、子宮頸がん予防ワクチンに関して提供されているあらゆる安全性情報を検証した上で、接種を推奨しています。
地域格差や経済的格差なく、希望するすべての人が定期接種でこれらのワクチン接種が受けられることで、ワクチンで防ぐことができる病気(VPD : Vaccine Preventable Diseases)から一人でも多くの人が救われることが重要です。日本では今までワクチン接種に関する正しい知識の普及が遅れていたために、ワクチンによるリスクと恩恵の両方を正しく評価できず、国民の皆さんがワクチン接種による恩恵を十分受けることができずにいました。そのため、罹らずにすむ疾患でご本人やご家族が大変な負担を強いられたり、落とさずに済む命を失うなど、非常に残念な状況が続いていました。
子宮頸がん予防ワクチンが広く接種されることにより、将来、わが国における子宮頸がんの発生を約70%減少させることが期待できます。これは、出産年齢の高齢化や少子化が進む現在の日本社会において、重要なことだと考えます。子宮頸がん予防ワクチンを導入した国では、すでに子宮頸部の前がん病変の低下が認められています。子宮頸がん検診とワクチンの両方を上手に使うことで自身の命と将来の家族が守られます。

十人十色の食物アレルギー

茂木 さつき室長
栄養部
室長
茂木 さつき
(もぎ さつき)
「アレルギー」という言葉を最近とても多く耳にします。アレルギーの原因となる物質には食物、花粉、動物(猫や犬など)、金属、薬剤などさまざまな物があります。
この中で、小さな子供さんから大人まで広く見られる食物アレルギーについて食事での注意点をお話しいたします。
食物アレルギーの原因となるのは主に食物に含まれるたんぱく質です。この物質は成長や筋肉の増強、体力や免疫力の維持に欠かせないものであり、できるかぎり多種類の食品から摂取することが望ましい栄養素です。また、食物アレルギーの頻度は乳児で5~10%で、年齢とともに減少して小中学生では1~3%と推測されています。アレルギー症状の軽快に伴い、原因物質の除去の程度も変化し、摂取可能な食品や量が増えます。アレルギーの食事療法の原則は「必要最小限の原因物質の除去」と言われます。
今回は食物アレルギーの代表である鶏卵、牛乳、小麦・穀類 、大豆・豆類を中心に除去のレベルによる食品の考え方や加工食品についてお話します。

アトピー性皮膚炎

中村 哲史
皮膚科
講師
中村 哲史
(なかむら さとし)
アレルギー症状を起こす人の多くは、アレルギー疾患になりやすい体質をもっており、その体質は遺伝することもあります。
アトピー性皮膚炎は治りにくい慢性的な湿疹が出て、掻くとさらに激しいかゆみを引き起こします。5歳未満の幼児期に発症することが多く、成人するまでに大半が治癒しますが、近年は成人してからの成人型も多くなっています。
この講演では、できるだけいい状態でコントロールし、社会に適応できるように治療する、理論から治療までを概説します。

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