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平成25年度第2回公開講座講演内容

肝がん(肝細胞癌)の治療方針と治療成績

力山 敏樹
一般・消化器外科
教授
力山 敏樹
(りきやま としき)
厚生労働省人口動態統計によると、わが国における死因の第一位は悪性新生物であり、2009年にがんで死亡した人は344,105人で、うち肝がんによる死亡は32,725人と第3位(男性第3位、女性第6位)を占めています。
第18回全国原発性肝癌追跡調査(2004〜2005)報告書(2010)によれば、2年間の新規登録症例数は20,753例で、肝細胞癌が94.0%、肝内胆管癌が4.4%、混合型が0.8%でした。肝細胞癌では、82.3%に慢性肝炎、71.9%に肝硬変の既往があり、C型肝炎ウイルス感染が67.7%、B型肝炎ウイルス感染が15.0%と、ともに減少傾向にあるものの、依然これら肝炎ウイルス感染による慢性肝炎、肝硬変を背景肝として発症する割合が高いことを示しています。
肝細胞癌の治療法は、(1)肝切除術、(2)局所療法:1)ラジオ波焼灼療法(RFA)、2)経皮的マイクロ波凝固療法(PMCT)、3)経皮的エタノール注入療法(PEIT)、(3)肝動脈化学塞栓療法(TACE)、(4)肝動注化学療法(HAIC)、(5)分子標的薬(ソラフェニブ)、(6)肝移植、(7)放射線療法、があり、大きさや個数などの腫瘍側因子と、肝予備能などの宿主側因子を総合的に評価した上で、肝細胞癌治療のアルゴリズム(肝癌診療ガイドライン2009年版)やJSHコンセンサスに基づく肝細胞癌の治療アルゴリズム(2010改訂版)にのっとり行われます。前述の調査では、主な治療として手術が31.7%、局所療法が30.6%、TACEが31.7%に施行されていました。
肝細胞癌全症例(1994~2005)の5年生存率は37.9%であり、治療法別の5年生存率は肝切除54.2%、局所療法45.6%、TACE 24.2%でした。時代別で比較すると、9.5%(1978~1985)、26.8%(1986~1995)、39.3%(1996~2005)となっており、肝細胞癌の予後は著しく改善しています。

講演では、これら調査報告や各種治療法、治療アルゴリズムの紹介と共に、実際の症例や、演者の出身教室である東北大学肝胆膵外科のデータ等を供覧しながら、肝細胞癌についてわかりやすく説明します。

肝臓病のはなし~肝炎・肝硬変の最新治療~

浅部 伸一
消化器(内)科
講師
浅部 伸一
(あさべ しんいち)
肝臓は沈黙の臓器、とも言われ、病気があっても症状が出にくいのが特徴ですが、ウイルス肝炎や脂肪肝など多くの病気があります。そして、肝臓病の治療はその原因によって異なります。
C型肝炎は過去の輸血や予防接種、血液製剤などによって感染した慢性感染症ですが、症状がほとんど無く、知らない間に肝硬変に進行することもありますし、肝がんを合併する危険性が高く、なるべく早く治療することが必要です。
C型肝炎の治療法は年々進歩しており、現在、最新の治療法はペグインターフェロンとリバビリンを併用する治療法、および、それにプロテアーゼ阻害薬という抗ウイルス薬を加える治療法となっています。副作用があるため誰でもすぐに治療できる、と言うわけではありませんが、まずは治療を検討すべき病気です。この秋にはさらに新薬も出てくる予定です。
B型肝炎は新生児期に主に母親から感染して慢性化した方が多かったのですが、近年では性交渉等による感染後に慢性化するケースも増えており問題となっています。また、予防接種での感染もB型肝炎訴訟で認められました。B型肝炎の治療では核酸アナログというウイルスの複製を抑える薬が中心で病気の進行を抑えることが出来ます。また、インターフェロン治療や、この2つを組み合わせる先進的な治療法も当院では積極的に行っています。ただし、B型肝炎ウイルスに感染しているからと言って全ての人がすぐに治療が必要だとは限りません。治療が必要かどうかは専門医に相談していただいた方が良いでしょう。
肝硬変の治療は基本的には元の病気を治療しつつ肝機能の低下を抑えていく治療となります。肝移植も増えていますが、保存的治療が中心となります。これも原因によりますが、完全回復は難しいものの病気の進行を抑えることが可能なケースも多いですから、なるべく早く治療を開始して肝臓を守って行くことが大切です。

今回の講座では、ウイルス肝炎を中心に脂肪肝、肝硬変の話を含めてこれらの治療法についてなるべく分かりやすくお話したいと思います。

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