教育・研修のご案内

平成26年度第3回公開講座講演内容

平成26年度第3回市民公開講座

高齢者の眼の病気

梯 彰弘
眼科
教授
梯 彰弘
(かけはし あきひろ)
年齢とともに見え方が悪くなるという自覚は高齢者のほとんどが経験することです。まず思い浮かぶのは老眼でしょうか。その次に白内障という病気が思い浮かぶはずです。老眼が進むと小さい字が見えにくく、そして白内障が進むと霞んで見えたり、光がまぶしく見えてくるようになります。歳のせいで仕方ないと諦めていませんか?目が見えないとすべての生活に支障をきたし、意欲も失われます。さらに周りの人たちにも大きな負担がかかります。老眼は適切な眼鏡を使用することで症状が軽減され、白内障は適切な時期に手術することで良好な視力に回復可能です。しかしながら緑内障、糖尿病網膜症、加齢黄斑変性症などの眼の成人病はそれぞれ本邦での失明原因の第一位、第二位、第四位の眼疾患です。これらの眼疾患に共通することは初期には自覚しにくいうえに根治不可能という点です。
今回の講座では、これらの眼疾患を概説いたします。一生涯に亘って快適な視機能を維持し快適な生活を送っていただくために「高齢者の眼の病気」では早期から継続した治療が重要であることを理解していただければと思います。

高齢者とくすり

堀口 久光
薬剤部
薬剤部長
堀口 久光
(ほりぐち ひさみつ)
薬がもたらしうる望ましくない、不快な、または危険な作用を薬物有害反応と呼びます。高齢者の薬のトラブルは、厳密には副作用よりも主作用に基づくいわゆる「効きすぎ」のケースが多いのが特徴です。「効きすぎ」は、高齢になると肝機能や腎機能が低下し、薬を飲んだ後の反応が変わってしまうことなどが原因で起きます。東大病院老年科の入院患者を対象とした薬の副作用の発生度の調査では、中高年では5%なのが75歳以上では15%で、年をとるにつれて副作用が多くなることがわかった、との報告があります。
多数の薬を使用しているときには、いわゆる薬の飲み合わせが問題になることがあります。身体の働きは年齢と共に変化してきているものです。病気の数も多くなりますし、薬を服用する機会も増えます。おおよそ60~70歳の方は1人で4~5種類の薬を服用し、病気の数が増えるにしたがって服用しなければならない薬の数や種類も多くなってきます。若い人よりもたくさんの薬を服用するので、薬と病気、薬と薬の相互作用を起こす可能性もそれだけ高くなります。
薬-病気相互作用 (別の病気で投与された薬による元の病気の悪化)はどの年齢層でも起こりえますが,複数の病気に罹患していることが多い高齢者では特に重要となります。薬-薬相互作用は無数にあり,高齢者・若い人とも薬-薬の相互作用に違いはないようです。
これらの他に、高齢者が薬を使用するときの別の問題があります。薬が飲みにくかったり、薬が小さすぎて扱いにくい、などといった問題です。このため薬を飲むのを止めてしまうということもあります。この様に高齢者の薬物療法には難しい点がありますが、だからと言って適当に自分の判断で薬の量を減らしたり、特定の薬をわざと飲まないことにしてはいけません。
何か問題があるときには直ぐに医師や薬剤師に相談するという態度も必要となります。今回の講座では、薬がもたらしうる望ましくない作用、いわゆる薬の飲み合わせ、くすりの剤型についてお話します。

きこえの大切さ

新鍋 晶浩
耳鼻咽喉科
助教
新鍋 晶浩
(しんなべ あきひろ)
きくことができることで、家族や友人と楽しくコミュニケーションがとれて、また社会活動ができることはどんなに幸せなことでしょうか。ヘレンケラー(1880-1968)はきこえない障害を次のように表現しています。「Blindness cuts you off from things; deafness cuts you off from people.(目が見えないことは人と物を切り離す。耳が聞こえないことは人と人切り離す)」と。きこえていた人がきこえなくなったとき(後天性難聴)、その程度が強いほど闇の中で孤独を感じるかもしれません。人間がかかる最も重い病気は孤独であるという話をきいたことがあります。
私たちは、胎児期に母親の心音や語りかけをきいて安らぎ、家族のかたりかけをきいて喜びまねをして、そしてことばの意味を学び、言語を通じてたくさんの営みを築くことができます。きこえは生活に安らぎと生きがいをもたらしてくれる大事な感覚の一つであると言えるのではないでしょうか。
高齢化社会とよばれて久しい現代において、聴覚をうまく活用するために病気の原因やその治療を一緒に考える役割を耳鼻咽喉科は担っております。そのような立場から、耳のなかのしくみ、難聴の原因、診断、治療についてふれ、さらに難聴が認知症のリスクであるという近年の報告の紹介をさせていただきます。
診療を通じて患者さんに安心していただけることや、あるいは聴覚をよりよく活用し笑顔になっていただけることが、とても大きな喜びとなっています。
今回の講座では、聴覚を活用し、生き生きとした暮らしができるために、きこえについて一緒に考えることができればと思っております。

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