教育・研修のご案内

平成27年度第2回公開講座講演内容

こどもの食物アレルギー

牧田 英士
小児科
病院助教
牧田 英士
子どもの食物アレルギーと聞くと、どのようなイメージをお持ちでしょうか。離乳食が進む頃に皮膚が赤くなったことのあるお子さん、上の子が食物アレルギーのため離乳食を進めるのが心配なお子さん、以前は同じもの食べていたのにある日から突然症状が出るようになったお子さんなど、今後どのように対応するべきか迷われるご家族は多くいらっしゃいます。また、学童期には学校給食が始まるため、学校ではどのように対応してもらえるのか、給食で症状が出た場合にどのように対応するべきなのか、不安なご家族もいらっしゃると思います。
この数年から十数年の間に、食物アレルギーの対応は大きく変わってきています。簡単に言いますと、これまで「食べると危ないから除去(食べないように)しなさい。」と言っていた医者が、最近では「食べると治るかもしれないから食べなさい。」というケースもあるくらいです。しかし、その一方で食物アレルギーによるアナフィラキシーで救急搬送されるお子さんが少なくないのも事実です。
今回の公開講座では、食物アレルギーの診断や対応の変化、他のアレルギー疾患との関連、「食べて治す」という経口免疫療法(減感作療法)の最新情報などの内容を中心にお話ししたいと思います。

こどもの鼻みず・鼻づまり – 原因と対策 –

金沢 弘美
耳鼻咽喉科
講師
金沢 弘美
こどもの鼻みずや鼻づまりは、親にとって何かと気になる症状の一つです。夜間の不眠や咳などを引き起こします。睡眠が妨げられた期間が続くと、(学業をはじめとする)日中の活動力や集中力が低下します。また鼻すすりの習慣は中耳炎になり易くなり、手術が必要になることもあります。親は、こどものしぐさや日常生活での行動から、早めに状態を判断することが必要です。
一般的に感冒(いわゆる風邪)でみられる急性鼻炎は、多くは10日以内に治ります。しかし、それ以上たっても膿性鼻汁が続く場合を鼻副鼻腔炎といいます。悪臭を伴うこともあります。
一方、アレルギー性鼻炎も鼻水・鼻づまりを引き起こす代表的な疾患です。くしゃみも加えて3大症状といわれていますが、こどもではこれに加えて、かゆみで鼻をこするために鼻血を繰り返すこともあります。ハウスダストやダニによる通年性(一年中)のものと、スギやヒノキによる季節性のものがあります。乳幼児のみならず、学童、青年期になるにつれ、その割合は増えてきます。喘息の発症、増悪のリスクでもあります。
これに対し、自宅でのケアとして乳幼児期には鼻吸引、学童以上のこどもには塩水による鼻洗浄などがあります。鼻づまりが強い場合は、通院治療の他、手術という選択もあります。
今回は鼻からのどにかけての構造、各疾患について、そして現在行われている手術、また家庭でできる対策などをお話します。それぞれのご家庭で、自信をもって子どもの鼻を管理することができるようになっていただければ幸いです。

学童期の近視について ~近視進行抑制治療のトピックス~

木下 望
眼科
講師
木下 望
近視とは、遠くを見る時にピントが網膜より前に結んでしまい、像がぼやける状態です。近視の原因として長い間、近業による毛様体筋の過緊張により水晶体の屈折力が増加し固まることを原因とする屈折説と、近業の刺激により眼球の奥行きの長さ(眼軸長)が伸びること(伸展)を原因とする眼軸説の二つが考えられていました。ところが近年、眼軸長の計測技術の進歩により、学童期の近視進行はほとんどが眼軸長の伸展が原因であることが明らかになりました。
近視は発症年齢が低い程進行しやすく、眼軸長が過伸展し強度近視になると網膜が引き伸ばされ萎縮することにより、緑内障、黄斑変性症、網膜剥離の発症リスクが高まります。強度近視は我が国の失明原因の第5位を占めるという怖い病気です。近年、勉強時間の増加や携帯ゲーム・スマートフォンの普及などにより、小学生の裸眼視力低下者は増加の一途を辿っています。近視発症の低年齢化により、今後、強度近視の割合が増加すると予想されます。したがって、子供の近視進行を早期の段階で予防することは、将来、強度近視になるのを食い止めるためにとても重要ですが、治療方法は未だ確立していません。
しかし近年、眼軸説に基づいた有力な治療方法が報告されるようになりました。その方法の一つが、オルソケラトロジーです。これは、寝ている間に特殊な形状をしたレンズを装用することで角膜の中央部を平坦化し、朝レンズをはずしても日中は裸眼で過ごすことができるという新しい矯正方法です。サッカーや水泳などのスポーツを裸眼で安全に楽しめるメリットのほかに、近年、子供の近視進行を抑制することが世界各国より報告されています。もう一つの有力な方法は、副交感神経遮断薬アトロピンの点眼です。散瞳と調節麻痺を目的に使用されている1%アトロピン点眼薬は、最も強い近視進行抑制効果があると認められていますが、まぶしい、近くが見づらいなどの副作用が強く、日常的な点眼は実際には不可能でした。しかし最近、副作用がほとんどなく日常的に点眼が可能な0.01%アトロピン点眼薬でも近視進行を抑制することが海外で報告されています。また当科では、オルソケラトロジーと0.01%アトロピン点眼薬の併用が、オルソケラトロジー単独よりも強い近視進行抑制効果があるかを確認する共同研究を実行中です。
今回の講演では、学童期の近視の疫学、発症進行のメカニズム、そして近視進行予防の最新治療について、ご紹介いたします。

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