診療科のご案内

一般・消化器外科

一般・消化器外科
自治医科大学は、僻地等における医療の確保向上及び地域住民の福祉の増進を図るため、昭和47(1972)年に、栃木県に設立されました。その18年後(平成元年/1989年)に、附属さいたま医療センターは、さいたま市における医療への貢献(高度先進医療)と、へき地医療に従事する医師の教育と育成を目的に開設されました。開院当時より、一般・消化器外科の診療科を掲げ、大宮医師会をはじめとした医師会や県内の諸先生方のご協力のもと、地域における消化器および一般外科の診療に携わってまいりました。2008年は、ついに予定手術と緊急手術を合わせて年間1,000件を超える手術件数を施行するに至り、また、開院以来では1万1,000件を数えるまでになりました。
現在、診療科長 力山 敏樹のもと、精力的に診察や手術を行う一方で、臨床研究および基礎的研究にも力を注いでいます。スタッフ医師は、センター内で20数名(関連病院に約20名)が所属しています。消化器(上部消化管・下部消化管・肝胆膵)・乳腺・甲状腺などの悪性腫瘍はもちろんのこと、急性腹症に対する緊急手術や、潰瘍性大腸炎などの炎症性腸疾患、胆嚢結石症などの良性疾患などさまざまな疾患の手術・治療を行っています。

診療科長挨拶

一般消化器外科における診療と教育

科長 力山 敏樹

一般消化器外科における手術の実績

自治医科大学附属さいたま医療センターは、さいたま市の医療の中心的な役割をはたすべく努力を続けており、2008年に南館(新館)がオープンして許可病床数608床(一般568床、ICU/CCU20床、救急20床)に拡張されました。それ以後、一般消化器外科は、本館4階の2病棟計約80床を使用して現在に至っています。当科に、多くの患者さんをご紹介いただき、年々手術件数が増加してきました。当科の2014 年の年間総手術症例数は1,073 件で、予定手術において悪性腫瘍の手術症例が多くを占める一方(胃癌134例、大腸癌217例、肝切除42例、膵頭十二指腸切除29例、乳癌79例)、緊急手術は約130件でした。中央手術部におきましては、2009年6月に4部屋の新たな手術室が増設され、これらのうち2部屋は、内視鏡外科手術(腹腔鏡、胸腔鏡)専用の手術室としての機能を有しており、当科として特に力を入れて取り組んでいる低侵襲性手術である内視鏡外科手術の増加に対応できる体制が整えられています。増加する外科系患者さんの手術に対する迅速な対応につきましては必ずしも十分とは言えず、現在でも手術を受けるために多くの患者さんにお待ちいただいているのが現状です。この状況を解決するために、より円滑に手術を施行する体勢を整えるよう、日々努力しています。

若手医師の教育

私どもの外科では、レベルの高い医療を充実させるとともに、若手外科医の養成にも積極的に取り組んでいます。初期臨床研修につきましては、制度が発足して以来センター全体で毎年3倍程度の倍率で応募者があり、定員20-22名の一般初期研修プログラムは毎年フルマッチングで、最近は応募者のレベルも向上してきていることを実感しています。一般消化器外科シニアレジデントの動向としましては、2010年度に4名、2011年度からは毎年1名ずつ新たなシニアレジデントを迎え、外科臨床修練を施行してまいりました。特に、内視鏡外科手術に重点を置き、新たに導入されたバーチュアルシミュレーター、ドライラボやアニマルラボによる内視鏡外科手術のトレーニングを実施しています。それに加えて、企業共催の内視鏡外科トレーニングプログラムへの積極的な参加も促しています。外科シニアレジデントの教育目的で、当科スタッフを中心として執筆に携わった「消化器外科レジデントマニュアル」(医学書院)は、2014年夏に改訂第3版が出版されました。このマニュアルは、全国のレジデントにおける外科研修に役立つと信じています。豊富な症例数に基盤をおいた手術指導のみならず、カンファランスにおける症例呈示なども日常的に指導し、また、文献から得られた知識をどのように個々の症例の診療に役立てるか等、生涯教育の基礎を培う教育を行うように心がけています。若手医師の教育の一環として、英語による症例呈示や討論を行うカンファランスも1週間に一度施行しています。このように若手医師を発展的に教育することは、次世代の担い手を生み出し、当センターの発展につながるものと確信しています。

自治医科大学附属病院としての役割

自治医科大学は、日本全国における地域医療の担い手となる自治医科大学卒業生を教育する医科大学であり、その医学部在学中の教育の一部に、さいたま医療センターにおける臨床実習(bed side learning)があり、2週間単位で自治医科大学のすべての学生が当センターの学生用宿泊施設に寝泊まりして臨床実習を受けています。当センターでは、栃木の自治医科大学附属病院とはやや異なった、臨床に直結した実習が受けられる点で、将来の地域医療の担い手を教育する適切な環境と考えられます。自治医科大学の学生は卒業後、各県にもどって初期研修を含めて9年間地域医療に従事します。その9年間の各県での勤務の間に、臨床能力をブラッシュアップするために、さいたま医療センターにて1~2年の臨床研修(後期研修)を受けるチャンスがあり、さいたま医療センター外科では、継続的に自治医科大学卒業の後期研修医を受け入れています。このような自治科大学卒業生は、1~2年の外科臨床研修の後、再び地域に戻って研修の成果を地域医療に役立てて活躍しており、当センター外科は、自治医科大学卒業生の再教育の機関としても機能しています。

おわりに

このように、自治医科大学さいたま医療センター外科は、さいたま市を中心とした地域の中核的医療を担っているとともに、若手外科医の教育に重点を置き、今後のさらなる発展をめざしています。

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