自治医科大学-JICHI MEDICAL SCHOOL
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地域研修医療機関

岡山県 新見市 哲西町診療所
地域包括ケアの実践を保健医療福祉の充実一体化にとどまらず行政教育文化産業とも連携し「まちづくり」を大きく変えようとしています。無床診療所ですが常勤医師2名、研修医15名(H17度)ヘリカルCT、上下部電子内視鏡など病院外来並の機器を整備。
岡山県 新見市 哲西町診療所
哲西町診療所 地域保健・医療研修プログラム
臨床研修責任者 哲西町診療所長 佐藤 勝
1、指導医と施設の概要
(1)指導医
佐藤 勝 自治医科大学卒業(S63)哲西町診療所長(内科)自治医科大学医学部臨床講師(地域医療学)
中 圭介 自治医科大学卒業(H8)日本内科学会認定専門医(総合医)
(2)の概要,施設の概要
哲西町(平成17年3月31日〜合併により新見市哲西町)の概要と実践している地域包括医療について説明します。
哲西町は岡山県西北端にあり、人口3,200人、高齢化率37%で平成3年から7年、総合福祉施設(特別養護老人ホーム、ショートスティ、ケアハウス、高齢者生活福祉センター、在宅介護支援センター、ホームヘルプスティション、ディサービスセンター、老人憩いの家、ビリヤード場、グランドゴルフ場)を新設し、在宅福祉と施設福祉が一元的に整備された。
H9年、町民意識調査で、医療充実を望む声が最も多く、3分の2が診療所新設を要望した。これに対し、保健医療福祉のほか行政、教育、文化など各種機関を一箇所に集約した全国でも全く新しいタイプの複合施設「きらめき広場・哲西」〔役場本庁(平成17年3月31日〜合併により新見市役所哲西支局)、診療所、歯科診療所、保健福祉センター、生涯学習センター、図書館、文化ホール〕を建設した。特に役場本庁(平成17年3月31日〜合併により新見市役所哲西支局)内に診療所が併設されることは珍しいが、「町民が一番望むものを、行政サービスの中心に置くのだ」という考えからである。図書館、生涯学習センターと一体的に設置されることも珍しい。医師、歯科医師も確保し1年2ヶ月続いた無医町を解消。更に保健師3名に増員、管理栄養士も新採用された。医師が町長、教育長(平成17年3月31日〜合併により新見市哲西支局長)と同居することで「町の方向性」につき随時、的確に提言でき、最重要施策である地域包括医療の実践へとつながった。また「医療も行政サービスの一環」と捉え、行政マンも医療に対して理解し、医師も行政の仕組みを充分理解し、互いに協力している。
悲しい事例だが、元気な独居老人が亡くなって、数日後に発見された。これを教訓に独居老人対策が充実されるなど町の施策に反映できたことも、医師と町長(平成17年3月31日〜合併により新見市哲西支局長)が同居し、話がスムーズに出来たからである。
役場内に基幹型在宅介護支援センターを新設し、地域ケア会議や保健医療福祉関係者研修会を開催するなど、スタッフの連携や資質向上に力をいれている。
ケア会議は月1回、役場(平成17年3月31日〜合併により新見市役所哲西支局)、福祉施設、社協、診療所、歯科診療所から参加し、個々のケース検討を重ね、今後の方針を話し合っている。場合によっては、制度新設や変更を提言する等、施策にも反映している。医師、歯科医師の参加は珍しいが、毎日訪問するヘルパーの情報を充分生かせる。
国民はどこにいても同じレベルの医療を受ける権利を有することは言うまでもないが、日進月歩する医療界にあっても住民のニーズに応えるべくへき地診療所も聴診器1本時代から脱却し医療機器等も徐々に整備され、へき地においても現代の医療に遅れることなくきちっとした医療が提供されようと努力されている。
診療所は「かかりつけ医」としてあらゆる科の一次医療を担い、役場当直を通じ、いつでも相談にのれる医療を展開している(24時間365日体制)。
道路や橋を造るのと同じ考えで整備されたヘリカルCTや電子内視鏡(胃・大腸)など高度機器を駆使し的確な診断に心がけ、早期癌も20数人発見された。
病診連携に務め、月30例の紹介状を書き、病院との情報交換を大切にしている。 訪問診療、在宅酸素療法、訪問看護も行ない、終末期の在宅死についても支援している。介護スタッフから日に4〜5件の相談があり、緊急時はもちろん、些細なことでも、医師に遠慮などせず、伝えてもらうことにより、夕方でもすぐ対応している。逆に褥創ができれば、一晩で潰瘍ができるので、介護スタッフにすぐ連絡し、その日のうちにエアマットをしいてもらったり、医療だけ、福祉だけでは解決できない問題を、全スタッフの連携で、即座に解決される。
構内ポケベル呼び出しシステムを導入し、診療の待ち時間、読書や趣味に有意義に時間を使える。また図書館に子供と一緒に来る親と保健師の係わりができ、健康意識が低い壮年層へのアプローチもしやすくなるなど、役場(平成17年3月31日〜合併により新見市役所哲西支局)や図書館に来た人へも健康に興味をもって貰える。また、診療所に来た高齢者が図書館で、子供と触れ合い、心の励みに繋がったり、子供にもいたわりの心が芽生えている。
元気老人対策として、ボランティアが中心となりミニディサービスを11地区で毎月開催しているが、皆大変楽しみにしており、300人以上の参加がある。福祉スタッフだけでなく、保健師・看護師も参加し健康チェックもしている。そこで「最近フワ〜とする」と相談された保健師が診療所へ連れてきて重症の不整脈がわかり、すぐに病院に紹介しその日の内にペースメーカーを入れて助かった人もいた。たとえ福祉の事業でも福祉スタッフだけでなく色々なスタッフの参加により住民が得した例である。
健康づくり推進協議会では、各世代における健康づくりの意見を聞き施策に反映している。ここで小学校長から「子どもの健康が危ない。何とかしたい。」との話があり検討された結果、スタッフの連繋を活かし、更に小中学校、PTAが協力し、県内では珍しい小・中学生と親の血液検査を実施し、生活習慣を見直す子供健康づくりネットワーク事業も始めた。
基本健診の各地区結果説明会や各地区ミニディサービスの健康講座に医師も参画し、保健活動を強化している。顔見知りだけ集まるため、医師を目前にしても緊張せず、気軽にたくさんの質問が出される。また、健診のデータは必ず主治医に知らせ、日常診療に役立ててもらっている。診療所から依頼し、管理栄養士による食事指導も始めた。
保健センターと歯科診療所の併設も珍しいが、それを生かし成人歯科検診、寝たきり訪問歯科指導を始めた。
連携の効果のひとつに、福祉制度を広く住民に知らせ、特別障害者手当の受給者が6人から15人に増えた。肢体不自由の場合、立ち上がりができなければ、ほぼ該当となり、月2万6千円支給される。これは役場福祉係の担当だが、実際に発見の機会が多いのは、ヘルパーや往診医師などである。これは障害者が急に増えたのではなく、全スタッフが制度に精通し連携の徹底で、誰が訪問しても相談窓口になれ、該当者の掘り起こしができたからである。
哲西町では、住民が最も切望した診療所を行政の中心に置き、生活基盤である「医療」に力を入れ、更に保健福祉センターや教育行政も同一施設内に設置した。従来は連携が難しかったこれらのスタッフが繋がりをもち、そのうえを住民が自由に行き来することにより、身近できめ細やかな総合的サービスの提供が可能となった。このように、全世代的、包括的、総合的に健康づくりに取り組みそれぞれの分野で効果が上がった。今後の地域包括医療は、地道な医療活動からはじまり、保健福祉を巻き込むことは勿論、教育、文化、産業などあらゆる分野に影響を与えまた連携することによりまちづくりを大きく変化させていく。地域ではまさに医療が町を大きく変えるだろう。
2、一般目標
地域保健・医療を必要とする患者とその家族に対し、全人的に対応するため、地域における医療の社会的側面を理解し、チーム医療体制の中で問題解決の能力を身につける。また、へき地における予防医学の重要性について認識する。
3、行動目標・経験目標
(1)診療所の役割について理解する
@かかりつけ医として
・あらゆる科の一次医療(決して専門ではないから断るといった医療ではなく何でも診る医療)
・いつでも診る医療(24時間365日体制)
A高度機器をも駆使ししっかりした診断
・大変な病気、癌かなーと思ったときかかってもらえる診療所づくり(決して勝手に大病院に受診されるのではなく)
Bそのためにもしっかりした病診連携することが必要(詳しい紹介状の必要性)

(2)へき地医療について理解する
@へき地住民の医療に対するニーズを理解する。
Aへき地の抱える問題点を理解する
Bへき地医療に対し行われている対策を理解する。
Cへき地診療所の特徴を理解する。

(3)保健や福祉介護との連携や地域包括医療(ケア)の重要性を理解する
@在宅医療を理解する
A保健福祉介護スタッフとの連携について理解する
B予防医学、保健活動について理解する
C医療と行政との連携について理解する
D地域包括医療(ケア)について理解する
E地域包括医療(ケア)が教育文化産業などに影響を与え町づくりの一翼を担っていることを理解する
4、方 略
−まずは出来ることは何でもやって頂く。実践型研修(見学型研修ではなく)
診療所の医療
・外来診療(慢性疾患やあらゆる科の一次診療)の実践
・診療終了後、夕方より症例検討会(全てのカルテの全ての記載について検討)
・救急患者(外傷も)診療の実践
・休日、夜間の診療の実践
・X−P撮影、CT撮影、超音波(腹部、心臓、甲状腺など)、胃内視鏡の実践
・大腸内視鏡の見学と介助
・初診患者カンファランス
・XPフィルム読影会
・CTフィルム読影会
・胃・大腸内視鏡フィルム読影会
・紹介状も書いたり直接病院との電話を通した病院連携の実践

在宅医療や福祉介護関連
・往診、訪問診療、在宅酸素療法の管理の実践
・在宅ターミナルケアの実践
・訪問看護とTV電話診療システムによる在宅医療の実践
・特養ホームの診療の実践
・主治医意見書作成の実践

チーム医療
・複数医師体制によるチーム医療(2人主治医制としてそれぞれの患者に責任を持つ)
・夕方の診療所内スタッフカンファランスや診療所スタッフとの懇談会などを通し、チーム医療、コメディカルとの連携

保健事業
・予防接種(小児、高齢者のインフルエンザ)の実践
・乳児、1才6ヶ月、2才6ヶ月、3才6ヶ月健診の実践
・子どもの健康づくりネットワーク事業への参加
・各地区の健康教室への参加

学校医
・小中学校・幼児学園の健診の実践

産業医
・産業医(工場や施設)の実践

へき地医療のしくみと地域包括医療(ケア)
・哲西町の地域視察(住民の生活環境や名所など)
・哲西町の施設見学と概要説明(「きらめき広場・哲西」、総合福祉施設など)
・指導医による地域包括医療(ケア)の講義
・町長(平成17年3月31日〜合併により新見市哲西支局長)による町の方向性と地域包括医療(ケア)の位置づけの講義
・健康福祉担当課長、保健担当事務官、福祉担当事務官、保健師、管理栄養士、社会福祉協議会事務局長、総合福祉施設長、ケアマネージャーなどから「地域で期待される医師像」と「哲西町で地域包括ケアがはじまった平成13年以前と以後の変化」について講義
・地域ケア会議への参加
・実際の患者を通して保健福祉介護スタッフとの連携
・健康づくり推進協議会、特養入所判定委員会など各種会議への参加
・町長(平成17年3月31日〜合併により新見市哲西支局長)との懇話会
・町幹部、議会議員との懇話会
・保健福祉スタッフとの懇話会
・地域のイベント参加(地区運動会やその後の懇親会、きらめきコンサートなど地域住民との親睦)

医師会関連
・新見医師会の講演会への参加
・新見医師会が実施している休日診療所、準夜間診療所での診療
5、評 価
研修前:  ・実習前アンケート
研修終了後:・経験した内容、スケジュール表
・ 習得した知識のまとめ、感想(レポート)
・ 実習後アンケート(本人のへき地勤務する際の要望も含む)
研修協力施設の指導担当者の一次評価:
・経験録についての評価
・研修態度の評価
・フィードバック
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*2006年1月10日河内郡南河内町と下都賀郡石橋町・国分寺町が合併して下野市になりました。