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卒業生インタビュー 山本智美(香川県)

卒業生インタビュー 山本智美(香川県)

(平成26年度 取材)

山本智美

香川県高松市
香川県立中央病院
へき地医療支援センター
山本智美

地元の方々との協働に地域医療の本質を見る


人工約30,000人、自然豊かで気候も温暖な瀬戸内海・小豆島の土庄中央病院。そこに週4日勤務する山本智美は、香川県立中央病院・へき地医療支援センターに所属しつつ小豆島に居を定め、週1日は海を挟んで隣の豊島にも通う。

山本は自治医科大学への進学以前に民間企業に勤め、そこから心機一転、医師を目指した経歴を持つ。

「大学を卒業後、一度は就職したのですが、仕事に慣れてきたと同時に、何のために頑張ればいいのか疑問が生じてきたんです。仕事は1日の約半分の時間を占めるので、そこで頑張れないとしたら、仕事に限らず人生において頑張れなくなってしまうのでは――。そんな思いが募り、人のためになり、一生続けたいと思える仕事として医師を選択しました」

山本が目指すのは、『難病を治すのではなく、病を抱えながら生きる人に寄り添い、支える医師』。小児科医として、その実現に向け研鑽を積んでいる。

「通常は外来診療に携わっていますが、豊島では乳児院にも通っています。そこで暮らすのは両親が病気で育てられなかったり、虐待を受けたりした子どもたちです。その往診の際には子どもたちの生活ぶりを見るのですが、週1日しか来られません。ですので、常駐の看護師さんや保健師さんに私の不在時の様子を教えてもらい、往診の参考にしています」

また、そういった地元に根ざしたスタッフの存在にこそ、地域医療の本質を垣間見るという。

「豊島のようなへき地では、地元の看護師さん、あるいは事務スタッフの方々が冬眠や島の事情を一番よくわかっています。その意味で、地元の島に住む皆さんはとても頼りになりますし、協働できることに地域医療の魅力を感じています」



医療と育児の両立を後進のために実現したい


山本は縁あって卒業と同時に同級生と結婚し、現在の義務年限中もともに小豆島で医療に携わっている。そして、2歳と1歳のふたりの子宝に恵まれた。子どもたちの存在は、小児科医としての山本にとっても大きいという。

「患者さんのお母さんに対して病気だけでなく、子育てに関するいろいろな悩みにも応対できます。医師になって4年ほどの私が小児科医として務まるのは、子どもたちがいてくれるおかげです」

一方、子どもたちは夕方6時まで保育園で過ごし、一緒にいられるのは朝と夜だけという生活のため、無事に育ってくれるかを心配する山本だが、それでも自分は恵まれているという。

「私は産休をいただけ、育児期間には半日勤務も許していただけました。自治医科大学の先輩や周囲の方々のご理解やご協力には本当に感謝しています」

しかし、山本は感謝の念とともに、自身の立場に対する複雑な思いをのぞかせる。

「先輩方の中には、自分のことは脇に置き、掛け値なしに素晴らしい仕事をされてきた方がたくさんいらっしゃるんです。同期の仲間たちにしても、それぞれの現場でがむしゃらに頑張っているはずです。なので、私はいい例ではないのかもしれません。ですが、私は今子どもを生まないと、年齢的に難しくなってきます。『仕事のせいで産めなかった』というのは悲しいですし、医師という職業を選んだ理由は、仕事を含めた人生すべてにおいて頑張るためです。医師になるだけでなく、純粋に、出産や育児の願をかなえたかった。それが正直な気持ちです」

女性として、様々な葛藤を覚えた山本だが、将来を語るその顔には笑みが広がる。

「今の私があるのは、素晴らしい先輩方が道を切り開いてくれたおかげです。子育てに区切りがついた際には私も、若い方たちが理想をかなえるための手助けをするつもりです。そのためにも、医療と育児を必ず両立させたいと考えています」

先輩や周囲の好意に報いるため、絶対にやり遂げる――。その言葉には、母親としての責任、そして医師としての覚悟に満ちていた。