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同窓会会報から 阿江竜介(兵庫県)

同窓会会報から 阿江竜介(兵庫県)

思春期

自治医科大学 地域医療学センター 公衆衛生学部門
阿江竜介(兵庫26期)

阿江竜介中学時代の私は、背が低いことを悩んでいた。通販で「ゼッタイ背が伸びる」と謳われたアヤシイ教材を購入しトライしてみたが、効果はなかった。野球部だった当時の私はパワーもなく、足も遅かった。あの頃、デカくてパワーもあり、すでに腋毛や恥毛が生えた早熟の同級生をうらやましく思っていた。そんな私が一気に成長したのは高校時代。身長は20cmほど伸びた。突然、足も速くなった。高校時代は空手道部だったが、県内ではそこそこのレベルまでいった。要するに私は、遅咲き型の人間だった。

ヒトの思春期(中〜高校時代)には、早熟型がいる一方で私のような晩熟型もいる。早熟でも晩熟でも、双方ともに悩み事はあるだろう。ただ、いずれにしても、成熟すればほとんど同じ成人(大人)になる。昨年、地元で開催された同窓会に参加し、二十数年ぶりに中学時代の同級生たちと再開した。全員いいオッサンとオバサン(いや、熟女)になっていた。この同窓会で「これからトシをとっても若々しい大人でいよう」とみんなで誓い合ったことを覚えている。素晴らしくポジティブな同窓会だった。

少子高齢化という社会現象に焦点を当てると、日本の地域(まち)にもヒトと同じように早熟と晩熟がある。たとえば、高齢化率がすでに4割を越え、人口が減少局面にある早熟の地方市町村がある一方で、東京23区のようにこれから急激に高齢化する晩熟地域もある。ただし、これから20年後にはどの地域もほとんど同じように成熟した高齢地域になると予想されている。そう考えると、日本の地域は今、ヒトでいうところの思春期(中〜高校時代)にあるように思う。早熟地域は今から10年以上前に「日本の縮図、将来の姿」と呼ばれていたようなところだ。現在では超高齢化と人口減少を背景に、少ない社会資源をいかに有効活用するか模索している。一方で、これから急激に高齢化する晩熟地域は、大きな社会的インパクトをもたらす可能性が高く、ヘルスケア領域では特に憂慮されている。晩熟地域は人口規模が巨大なので、急激な高齢化に伴ってヘルスケア需要がどっと押し寄せる(ボリュームの桁が違う)からだ。たとえば首都圏では近い将来、1万を超える病床不足が見込まれている。

悲観的になったり危機を煽ったりするのは簡単だ。ここは是非、未曾有の危機を乗り越えられるように、すべての地域が知恵を絞って助け合いたい。そのためにはまず「現状の把握」から。現状を的確に把握し、住民レベルに至るまで広く認識してもらう必要がある。次に「他の地域から学ぶ」ことだ。特に晩熟地域は、早熟地域から学ばせてもらうことがたくさんある。たとえば地域包括ケアや看取りのシステムなど、ヒントはたくさんある。将来の地域医療を守るために、国や自治体だけでなく医療従事者、住民が一丸となって「なすべきこと」を考える。実はこれが、今年9月に開催された「地域医療フォーラム2016」のテーマだ。

日本の地域(まち)が20年後に同窓会をするとしたら、どんな話で盛り上がるだろうか。その頃にはどの地域も同じように成熟していることだろう。これから到来する未曾有の危機をみんなで乗り越え、同窓会であらためて「これからも頑張っていこう」と誓い合いたい。20年後も是非、ポジティブな話がしたい。