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同窓会会報から 黒川大祐(岐阜県)

同窓会会報から 黒川大祐(岐阜県)

リレーエッセイ(北から南から)〜世界遺産近くの診療所の現在〜

県北西部地域医療センター国保白川・平瀬診療所 黒川大祐(岐阜36期)

私は2年前より世界遺産白川郷があります、岐阜県大野郡白川村の国保白川診療所に赴任しております黒川と申します。岐阜の事を全然知らない方は多いかもしれませんが、白川郷をご存じの方は多いのではなのでしょうか?白川郷は世界遺産登録後より訪れる観光客は右肩上がりとなり、東海北陸道全線開通、北陸新幹線開通を受け、日本からだけでなく、世界中から観光客が訪れ、昨年度は年間180万人の観光客が来る村となっております。

また10月には各地区の神社で毎年仕込まれるどぶろくが奉納され、参拝者や遠来の客の一人一人に振舞われ、村人といっしょに盃がかわされる祭りであるどぶろく祭りや、白山をまたぐ100kmマラソンである白山白川郷ウルトラマラソン(救護班として参加)、雪の積もった合掌造りがライトアップされる白川郷ライトアップなどのイベントが定期的に開かれております。

観光地としては非常に多くの観光客を受け入れている村ですが、急峻な山々に囲まれ96%が山林となっている典型的な山村であり、近くの町、病院までは片道40分程かかる場所にあります。人口は若い人が一部戻っては来ているものの減少傾向であり1600人程、高齢化率も30%を超えている状況となっており、僻地が抱える問題を白川村も同様に抱えています。また白川村は他市町村と合併せず、岐阜県唯一の郡であり、その白川村の医療を11年間前任医師はほぼ休み無く一人で支えられていた背景があります。その中で後藤センター長の提案の元、医師が一人で支える地域医療から、複数の医師が様々な地域の医療を支えるシステムへの移行等を目的とした、広域医療連携体制(県北西部地域医療センター)が構築され、平成27年度より県北西部地域にある郡上市、高山市、白川村の2市1村の2次医療圏を越えた公立の8診療所と介護老人保健施設、歯科診療所を、同センター基幹病院に位置付けている白鳥病院に所属する医師と各診療所の医師たちがローテーションを組んで出向き、各地域の医療をサポートする体制が始まりました。単発での代診では、その場の診療のみで終わってしまう事が多いですが、継続的に出向いていただき、外来レビュー等を通して方針を確認し、どの医師に受診しても継続して診療にあたれる状況を作っているため、全員がかかりつけ医の様な雰囲気で対応しています。

私も医師3年目の時に、白鳥病院に配属となり、白川診療所に週2回診療に行かせていただき、赴任前より白川村の医療に1年を通して関わらせていただく機会をいただいた事で、診療所スタッフ、村役場、特別養護老人ホーム等との連携も赴任時よりとりやすく、患者さんの申し送りなどに関しても、前任医師との外来レビュー等を通じて1年間かけて行ってきたため、前任医師からの移行も比較的スムーズに行う事ができました。医師4年目より初の診療所勤務として、現在の白川診療所に赴任となりましたが、診療所赴任後は病院勤務時と求められる業務内容が異なり、日々の外来診療だけでなく、在宅医療や介護の事、特別養護老人ホームとの関わり、行政との関わりなどで、初めての事も多く一人だけでは悩むことも多かったのですが、診療所赴任歴のある諸先輩方と相談しながら対応することが可能となっています。

その中で、現在9ヶ月になる息子の出産時にも立ち会わせていただき、その息子が先天性心疾患のため入院、手術を受けなければならない状況となった時も、診療所業務を丸ごと諸先輩方で支えてくださり、息子も元気に暮らせるようになっています。現在白川村診療所を支えて下さっている諸先輩方、代診制度や、休暇をいただくことへの理解を示し、受け入れてくださっている村役場、村民の方々へは感謝の言葉しかありません。少しでも恩返しができるように、またこの県北西部地域医療センターによる、行政区を跨いだ広域医療連携モデルが、地域医療を支える成功モデルとして広く受け入れられるようになるよう、センターの一員として日々の業務に取り組み、前任医師がつくりあげた在宅看取りへの取り組みなどを継続し維持できるように精進していきたいと思います。