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同窓会会報から 山元香代子(宮崎県)

同窓会会報から 山元香代子(宮崎県)

ザンビアからの報告(平成28年度)

ORMZ副理事長 山元香代子(宮崎3期)

みなさま、お元気でしょうか。多くの方々のご支援をいただき、活動は6年目を迎えました。ザンビアで
の昨年の活動状況をご報告させていただきます。

巡回診療はルアノ地区で月2回、ムワンタヤ地区・ニャンカンガ地区で各々月1回実施しました。ムワンタヤ地区にはインド政府の援助でヘルスポストが建設され、看護師が赴任したことから、巡回診療は11月までで終了としました。12月からはルアノ地区から車で更に1時間半ほど奥のサンドラ村で月1回の診療を開始しました。平成28年1年間で、巡回診療は計50回実施(ニャンカンガ地区では3月、6月は患者数が多く月2回実施)、ルアノで1904名、ムワンタヤで1419名、ニャンカンガで2069名、サンダラで94名 総計5486名(延べ数)の患者を診察・治療しました。このうち1824名(12月第4週のルアノは含まれず)は5歳未満の子供です。妊婦健診・家族計画受診者数は、それぞれルアノで257名、284名(12月第4週は含まれず)、ムワンタヤで209名、330名、ニャンカンガで25名、150名、サンダラで8名、2名の総計499名、766名でした。活動を開始した平成23年10月から昨年28年12月までに合計23,000人以上の患者を診療してきたことになります。

マラリア患者数に関しては、27年1年間でルアノ391名、ムワンタヤ80名、ニャンカンガ196名でしたが、28年は491名、145名、654名と増加しました。マラリア陽性率もルアノ30.3%から33.8%、ムワンタヤ12.4%から16.6%、ニャンカンガ30.3%から37.6%と増加しています。雨が少なく、マラリア蚊の繁殖する水たまりがあちこちにでき、強い雨で洗い流されることがなかったからだと現地スタッフの説明を受けました。しかし、増加したにもかかわらず、コミュニティヘルスワーカーに十分量のマラリア検査キットと抗マラリア薬を渡すことができ、巡回診療後、ルアノではコミュニティヘルスワーカーが3453人以上の患者にマラリア検査を実施し、2236人の陽性者に抗マラリア薬を投与し、同様にムワンタヤでは844人中513人、ニャンカンガでは2396人中1790人が陽性で抗マラリア薬を処方されています。そのためルアノ、ムワンタヤではマラリアで亡くなった人は報告されていません。残念なことにニャンカンガでは1人の子供が近くのヘルスポストで薬を投与された後に亡くなっていますが、コミュニティヘルスワーカーが無償で、堅実にがんばって活動しています。彼らのがんばりにはほんとうに頭が下がります。

2016年巡回診療実績(地区別、疾患別等)

巡回診療スタッフの一人である準医師ムレタ氏の住むチボンボ郡ルカタ地区では、抗マラリア薬、マラリア検査キット、解熱剤などを提供し、ムレタ氏がコミュニティヘルスワーカーとともに診療を実施し、同じくスタッフの一人シバンダ氏の住むモンボシ地区ではマラリアによる死者が8名と相次ぎ、ヘルスセンターの許可をもらい、シバンダ氏とコミュニテイへルスワーカー(CHW)がマラリア検査を実施し、抗マラリア薬を投与しました。こうして、CHWや他の地域の活動を継続できるのは、何よりも多くの方々からの支援のおかげだと心から感謝の気持ちでいっぱいです。

コミュニティヘルスワーカーの仕事をもっと確実なものとし、彼らのやる気を更に高めるために、11名のコミュニテイへルスワーカー(ルアノ4名、ニャンカンガ3名、ルカタ2名、モンボシ2名)に対して、2泊3日のリフレシャー研修を12月に実施しました(写真1)。小児保健のテキストを再度読み直し、復習するとともに、薬剤の用量の間違いがまだ時々見られるために、抗マラリア薬、パラセタモール(アセトアミノフェン)、アモキシシリンシロップ、小児用亜鉛の用量が記載されたラミネートを常に参照することなど、実習を交えながら確認していきました。

ネイバーフッドへルスコミッティという地域で保健・衛生問題を担当する委員会の15〜20名のメンバーに対してセミナーを、ルカタ地区を含めた4地区で実施しました。

マラリア、下痢、妊婦健診、家族計画などの基礎知識や巡回診療時の注意事項などを講義しました。また、11月には、ルアノ・ニャンカンガ地区で、コミュニテイへルスワーカーやネイバーフッドへルスコミッティのメンバーに対して、マラリア・下痢の予防、トイレ建設などについて環境衛生技術者が講義し、ニャンカンガ地区では井戸掘削について、ルアノ地区では、マラリア蚊殺虫剤噴霧活動に関してそれぞれ協議しました。

ニャンカンガ地区に、患者ファイルを保管する倉庫として、また診察室、会議室として機能できる建物が、ルアノ地区では、患者の体温・体重・血圧測定やマラリア検査を行う建物と患者の待合所としてのベランダが完成しました。また、環境衛生技術者の指導のもとルアノ・ニャンカンガ地区に清潔なトイレを建設中ですが、12月末時点ではまだ完成していません。

4〜5月ルカタ地区を含む4地区では地域住民に対して、マラリア予防と下痢予防に関する保健衛生啓発活動を実施し、蚊帳を配布しました。ルアノではセンターから奥に入ったサパニ村で実施しました。ニャンカンガ地区では連絡が十分でなく、住民の集まりがあまりよくなく残念でした。

村長を交えた住民代表との話し合いの後、ルアノ地区に2基、ニャンカンガ地区に2基の井戸を建設することができました。みなさまのご支援のたまものです。ニャンカンガの1基は水質検査上透明度にやや問題があり、再検の予定です。

  • @CHWのリフレシャー研修
    @CHWのリフレシャー研修
  • AニャンカンガでのNHCメンバーのセミナー
    AニャンカンガでのNHCメンバーのセミナー
  • Bルアノの建設中のトイレ
    Bルアノの建設中のトイレ
  • Cルアノの井戸
    Cルアノの井戸

マラリア予防のために蚊帳を配布していますが、今年はマラリア患者が非常に多くみられました。そのために蚊の殺虫剤噴霧を実施することとしました。これは保健省が推奨していますが、一部の地域で実施されているだけです。家の壁や天井にくまなく殺虫剤を噴霧し、最低でも約4カ月間効果があると言われています。そのためにできるだけ家の中を空っぽにしなくてはいけませんので、コミュニティメンバーに1戸1戸訪問し、その旨を伝えてくれるようにお願いしました。噴霧するための圧縮ポンプはチサンバ郡の郡保健局から4台借りることができました。また郡保健局が訓練した2人の噴霧実施者を紹介してもらい、コミュニティメンバーから2人を助手としてお願いしました。ルサカの肥料などを扱っている店で、殺虫剤も取り寄せてもらい手に入れ、噴霧実施者が身に着けるゴーグル、マスク、ヘルメット、作業着、手袋、ゴム長靴なども準備しました。6月にルアノ地区サパニ、サンドラ村で32家族、54戸にマラリア蚊殺虫剤噴霧を実施し、その効果が確認されたので、11月にルアノ全村とその近辺の村で実施することになりました。4回に分けて実施する予定でしたが、2回終了した時点で、早めに郡保健局に噴霧用ポンプを返却しなくてはいけないことになりました。そのため3回目は一番人口の多い地区、150家族以上が残っていたので、ザンビア人スタッフが3泊泊まり込みで作業をすることになりました。合計229家族、406戸に噴霧を実施しました。ルアノは人口2000人と少ないのですが、広大な地域に生活していて、全村を回ることは大変な労力を要します。ルアノをご存じない方には想像もつかないと思いますが、あの道路状況の悪い広大なルアノ地区の全村に噴霧を実施するなど、これはもう奇跡でした。私は、巡回診療やいろいろな活動ができるのはザンビア人のがんばりのおかげだと心から思います。まじめに懸命に仕事をしてくれるザンビア人スタッフに感謝の気持ちでいっぱいです。

噴霧後1−2か月子供は家の中に入れないなどの誤った情報が流れたり、はっきりとした理由は言われずに噴霧を拒否された家が8軒、雨季の前で引っ越しの最中で屋根のない家に住んでいて噴霧ができなかったりと、いろいろな問題が出てきましたが、今後みんなで話し合って解決していこうと思います。今後のマラリアの患者の推移を注意深くみていくつもりです。

  • D殺虫剤噴霧活動
    D殺虫剤噴霧活動
  • E殺虫剤噴霧活動(2)
    E殺虫剤噴霧活動(2)

ルアノの奥のサンダラの近隣のチサンバ郡ではない村14家族、18戸の噴霧も実施しましたが、みなさんとても厳しい状況で生活していることがよくわかりました。空き家になっている家が多くみられ、なぜかと尋ねると水がないので、水を求めて移動していくのだと説明を受けました。

医療サービスを全く受けられない家族もまだたくさんいます。12月からムワンタヤでの診療が無くなったので、月の第1週の水曜日はサンダラで診療を実施することを提案し、雨のために道路が通れなくなったら行けませんが、できる限りやってみようとこの時みんなで決めました。

  • F川の水を汲む女性
    F川の水を汲む女性

私自身は3か月間日本に戻り、病院でアルバイトをし、3か月間ザンビアで仕事をするという生活を繰り返しています。私の不在の間は、現地のスタッフが活動を継続しています。ザンビアの経済状況は低迷したままで、首都ルサカでの停電や断水の時間は短くなりましたが、続いています。しかし、現地のスタッフや地域住民と十分な話し合いを重ね、問題点を一つ一つ忍耐強く解決しながら、活動を着実に継続していこうと考えています。今後ともご支援よろしくお願い申し上げます。