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同窓会会報から 金子稔(群馬県)

同窓会会報から 金子稔(群馬県)

リレーエッセイ(北から南から)〜熱い!!!へき地医療〜

長野原町へき地診療所 金子稔(群馬34期)

金子稔「鶴舞う形の群馬県」からお届けするリレーエッセイです。今回は、群馬県の北西部(鶴の尾っぽ)に位置する長野原町へき地診療所に勤務する金子がお送りします。

さて、自治医大を卒業後、群馬大学医学部付属病院に勤務し、平成27年度から現在の診療所勤務になりました。今年度で3年目を迎えています。へき地での医療の奥深さを日々実感しながら診療していますが、その中でも在宅医療・在宅看取りについては今までの診療所の実績以上に住民の皆さんの要望に応えているところです。

在宅医療については、地域包括システムの運用も含めて、徐々にではありますが周辺住民の皆さんからの要望が高まってきています。また、近隣に西吾妻福祉病院があり、通院が困難になった患者さんを在宅医療で引き続き診療継続するという活動も行っております。また、診療所に通院中の患者さんが入院した場合などは病室に見舞いに行ったり、退院時カンファレンスに出席し今後の方針や、家族の考えなどを病院側・在宅側で共有しながらどのような医療を望んでいるのかをみんなで話し合ったりする機会にしています。西吾妻福祉病院には私も週1回程度の当直業務をしています。病院での当直業務を行うことで診療所とは違う患者層にも対応する機会が多いため勉強にもなっています。

また、地元医師会の先生から「Advance Care Planning」についての研修会実施のも頼まれ、今年度に入ってから長野原町の老人クラブの皆さんを対象に「生きがい〜私の意思表示帳の使い方〜」という演題で研修会も開催しました。参加者の皆さんはとても熱心に聞いておられて「終活」について考える方が多い印象でした。今後は、長野原町だけではなく、吾妻地域での活動も充実させていけたらと考えています。この活動に加わった経緯については、当診療所では私が赴任して2年間で7件の在宅看取りを行いました(長野原町は年70人前後の死亡数があります)今までは町外から通勤していた診療所でしたが、私は長野原町に住民票を移し、町内で生活しているため24時間の対応が可能です。それに伴い、自宅で最期を迎えたいという要望が患者さん本人・介護者の家族から徐々に増えてきています。その要望に応じて在宅看取りを行ってきました。ほとんどが100歳を越えた高齢者の方ですが、中には癌末期の方も数名いました。雪の降りしきる深夜の往診やたまたま遠方にいたときの看取りなども経験しました。見取りを行った後も家族の方々とは交流があったりします。また、自宅で看取った方の通夜・葬儀には可能な限り出席するようにしています。このように、在宅医療の需要が増えてきている中で、他職種連携は非常に重要であると実感しています。ケアマネージャー、訪問看護師、訪問ヘルパー、訪問理学療法士、他職種に渡り顔の見える風通しのよい関係を構築していっています。患者さん・患者家族の背景などはケアマネージャーの状況把握能力には驚かされることがしばしばです。私のモットーは「怒らない。一呼吸おいて話を聞く」です。このことを意識して他職種と連携をとっています。人員も少なく一人一人の負担も大きいですがみんな笑顔で業務に従事しています。

また、診療所に赴任してからの新たな活動として診療所満足度アンケートを実施し、診療所を利用する患者さんの声を聞きました。具体的な内容については割愛しますが、10項目程度の内容で、診療所、診療所医師、スタッフへの要望や現状について把握できました。その中で気になっていたのが日々の診療中に「休診日が多い」「もっと診療所を開いてほしい」との意見を多く聞いていました。もちろんその意見だけでは診療日の変更はできません。しかし、当診療所のスタッフは同じような感覚を持っていたようです。このことはとても私の力になりました。アンケート結果ですが、土曜日の診療をしてほしいという要望が多く寄せられ、行政側、診療所スタッフも含めて話し合いを行った結果、第二・四土曜日の午前の診療を開始しました。平成28年度からこの取り組みを開始し徐々に患者数も増えました。町の広報でチラシを作成し各世帯に配布し周知を行い、土曜診療を実施することでスタッフの負担は大きくなっていますが、なんとか踏ん張って取り組んでいます。今後も継続していく予定です。やはりここでも助けとなっているのは診療所スタッフの理解とバイタリティです。

湯かけ祭りさて、診療外の活動としては「湯かけ祭り」「ソフトボール」「野球大会」「マラソン大会」「夏祭り」「炎の祭り」「雪合戦」に参加したり、地元の広報誌に毎月コラムを載せています。診療外の活動を充実させることは、地域住民に自分のことを認知してもらうことを目的にしていますが、実際は楽しみの一つとして参加しています。

まだまだ駆け出しの医師ですが、へき地医療に従事し再確認したことは「人を診る。地域を見る」このことがとても大事なことなのだと思っています。また、今の私のモチベーションは地域に必要とされることを自分から見つけ出すこと。また、要望があった場合には迅速にアクションを起こす。この2つのことを実践することで周囲からの信頼がアップするように感じています。そして何より「熱い思い」一人きりで汗をかくこともあれば、仲間と汗をかくこともあります。それが仕事でもプライベートでも一緒です。町の住民としてその地域で生活をし、共に同じ風景を感じ、風を感じ、季節を感じること。町の一部になること。そんな生活をしながら医師として成長していけたらと強く思っています。

在学生の皆さんはもちろん勉学は大事ですが、仲間を作ること。その仲間と腹を割って話すこと。本気で笑い合える仲間を大切にすること。そんなことを大事にしてみてはいかがでしょうか。

最後にこのような機会を与えてくださった渋川あかぎ国保診療所菅野先生に感謝申し上げます。

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