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同窓会会報から 野尻晋太郎(東京都)

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サークル活動報告 〜ワンダー・フォーゲル部〜 友は力 伝統は誇り ワンダー・フォーゲル部へのいざない

医学部5年 野尻晋太郎(東京42期)

野尻晋太郎「今回は日頃、日の当たらない部活にお願いしたい」と、この紹介文執筆の依頼を受けたときは正直複雑な気持ちでありました。ただ、学内に山があるわけではありませんし、登山に出かけるときは早ければ「朝」3時に集合し、夜逃げではありませんが先を急ぐのですぐに出発してしまいます。これでは日の当たらないのも無理からぬことだと、今回貴重な紙面を一部お借りしてワンダー・フォーゲル部について紹介させて頂きます。

自治医大ワンダー・フォーゲル部は1972年(昭和47年)に創部され、以降今日まで継続して活動してきました。今年度は8名の新入生を迎え入れ、部全体としては医学部・看護学部あわせて65名ほどの学生が本学小児泌尿器科の教授中井秀郎先生を顧問としてお世話になりながら活動しております。OB・OG会として約90名の会員を擁する「白嶺会」があり、学生に対しても様々な形で支援をして頂いております。また、学生も時々白嶺会の行事に参加させて頂き、貴重な情報共有の機会となっております。

さて、そもそも「ワンダー・フォーゲル」という言葉自体馴染みのない方が大半だと思います。ワンダー・フォーゲルはドイツ語で「渡り鳥」という意味です。19世紀末のドイツにおいて詰め込み主義的な学校教育に嫌気がさした青少年を、ヘルマン・ホフマンは課外活動として野山に連れ出し、ギターにあわせて歌う活動をして人気を集めたそうです。ホフマンの教え子であるカール・フィッシャーがこの活動を組織化して引継ぎ、フィッシャーの友人が野外で歌うことに着想を得て、息苦しさからの解放の意味を込めて「ワンダー・フォーゲル(渡り鳥)」と名付けたとのことです。今日の日本では山野を徒歩旅行し,自然のなかで自主的生活を営みつつ,心身を鍛練し,語り合うことを目的とする青年運動の一つと捉えられています。

自治医大ワンダー・フォーゲル部でも関東近郊の山への登山を中心に様々な活動を行っています。年間の活動は近年では4月下旬に新入生歓迎バーベキューを学内で行い、5月に新入生歓迎登山、以降月1-2回程度の日帰り山行に加え、夏季休暇中には甲信越方面にテント泊山行へ行くのが恒例で、物足りない部員はこれに加えて個人であるいは数人のパーティーで登山に出かけています。昨年度は那須岳、磐梯山、太郎山、両神山、常念岳、北岳などに(一部天候不順で現地で中止しましたが)登山しました。今年度も那須岳への新入生歓迎登山から活動が始まりました。ここでは毎年ためらうことなく「ロープウェイ」を使います。当部では、登山は小学校の遠足以来ご無沙汰というような新入生も多く入部するため山を楽しんでもらうことを重視しており、五感で山を感じ、楽しむ余力を残しておいてほしいのです。辛いだけの山登りではもう二度と参加してくれないでしょう。この機会に山の楽しさを感じ、次の登山につながるよう考えています。今年もゆっくりと話をしながら登り、山頂では菓子が飛び交う楽しげな山行となりました。こうした経験を重ね、いずれはテント泊山行や縦走にチャレンジしてほしいと思っています。長い山歩きに疲れたら、温かい食べ物とお酒を楽しみ、あとは時にふざけ時に真面目に語りながら眠るだけです。お酒はふもとからワインを担いでくる人もいましたし(帰りは楽)、ビールを担いできて湧き水につけたり、雪に埋めて行方不明になったりすることもありました。お酒がなくなり、語り尽くしたら翌日に備えて眠るという贅沢な時間が待っています。今年も焼岳や穂高連峰へのテント泊山行を計画していますので、ぜひ参加してほしいと思います。

登山にはいくつもの楽しみがありますが、集団で登山をしていると山の楽しみ方は人それぞれだと実感させられます。こだわりの行動食を持参する人、小休止となれば花の写真を撮りに辺りを散策する人、山頂でコーヒーを飲む人、遠くの山々を見ながら浮世のことはしばし忘れている人など実に様々です。しかし、われわれ現役部員にとって共通の楽しみとなっているのが「山頂でのカップラーメン」と「下山後に直行する温泉」です。カップラーメンは学生にとって何かとお世話になりがちで味には慣れ親しんでいる人も多いですが、山頂で食べるカップラーメンは手軽ながら下界のそれとは全く別の格別のおいしさです。下山後には温泉が待っています。毎回の山行は必ず温泉とセットで、那須の「鹿の湯」といった名湯に入ることもしばしばあり、下山後に汗を流し休憩所で横になる時間をみな楽しんでおります。山行に行く中で各地の名湯にも詳しくなりました。部員もまた楽しい「エンターテイナー」が多く、息を切らしながらワインを担いでくる人もいましたし、前の部長はある時は一人だけ随分な重装備でやってきたと思えばスイカ丸ごとが出てきて、またある時はクーラーボックスにアイスキャンディーをやや溶かしながら詰めてくる芸の細かさを披露していました。このような「山楽部」の側面も手伝って、日頃の活動日数は限られても部員同士和気あいあいと楽しく活動できています。

登山には勝ちや負けといったことはありませんから自分のペースで登ればよいわけです。さらに山は逃げないので、いつでも再チャレンジできます。この意味でもワンダー・フォーゲル部は様々な人に門戸を開いた、すそ野の広い部活と言えます。現役部員の多くが他の部と兼部しているように、無理なく兼部できますので、ワンダー・フォーゲル部に興味をもたれた方がいれば、いつでも連絡をいただければと思います。

私たちがこうして活動できるのもOB・OGの皆様のご支援あってのことです。今年度もテントとツェルトを寄贈して頂き、早速夏休みに活用いたします。OB・OGの皆様おかれましては、今後ともご支援を賜りますようお願い申し上げます。

遠くドイツの地でフィッシャーが育てた小鳥は、海を渡る「渡り鳥」として世界中へ旅をし、ここ日本でも全国津々浦々の大学で今も元気に生き続けています。皆さんも若き「ワンダー・フォーゲル」として私たちと共に活動できる日を楽しみにしています。

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