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Episode.4 有効で安全な肥満治療の実現を目指して (4/8)  New

研究のきっかけ

小沢:肥満や生活習慣病の研究を始めようと思われたきっかけは何だったのでしょうか。

矢田俊彦教授矢田:僕は結構回り道をしていましてね。はじめは原子核工学を勉強していました。その頃、連休の登山計画が雨で流れ、下宿で読んだ医学や生命科学の本が非常に面白くて、そこで理学部や医学部の講義を勝手に聞いたりしていたところ、やっぱりそっちの勉強をやってみたいと思いまして。

その時の教授にそういう勉強をさせてくれと頼んだら、指導者を見つけてこいと言われまして。探したところ、千葉の放射線医学総合研究所の先生が来ていいよということで、そこで一年半ほど、中性子線によるがん治療のチームでDNA切断と修復の研究をやりました。その後、やっぱり医学が一番面白いと思って、当時大阪大学が行っていた医学部学士入学の準備を始めました。

下宿と、図書館と、進々堂(京都の喫茶店)を回りながら勉強していたのですが、京大医学部の生理学の岡田泰伸先生(後に岡崎生理学研究所 教授・所長、現:総合研究大学院大学 学長)が面白い研究をやっているというので研究室を訪ねてみたのです。そしたら岡田先生が、「君の研究意欲はよくわかった、うちの大学院に入らないか、明日から来て実験してもいいよ」と。

小沢:へ〜!すごいですね!

矢田:しばらく考えましたが、やっぱりこれは出会いだなぁと思って、岡田先生のところでやることになったわけです。それがきっかけです。

小沢:なるほど…!

矢田:その頃は細胞膜による細胞間相互作用や癌に興味を持っていたのだけど、細胞膜の研究をやっているうちに分泌現象に興味を持つようになり、インスリン分泌に行って、それから摂食中枢、肥満に行ったという流れです。

小沢:なかなかない出会いやご縁があって今の先生があるんだなぁっていうのを感じました。

矢田:そうですね。やっぱり人との出会いが一番大きいです。留学先もそうでした。大学院を卒業した後、東京医科歯科大学の生理の助手を1年半やっていましたが、アメリカに留学したくて、神野耕太郎教授に頼んで行かせてもらいました。コーネル大学でGeoffrey Sharp先生という素晴らしい師、インスリン分泌の研究と出会いました。インスリンは糖代謝を制御するホルモンですから、その時から糖尿病を意識した研究を行ってきて、今日まで僕の研究の一つの柱として続いています。

それからやっぱり血糖値や糖尿病の理解は脳抜きではできないと思って1995年に脳の研究も始めました。この決断を後押ししてくれたもう一つの要因は、1991年に米国チューレン大学で有村章博士と脳ペプチドの共同研究を行った経験でした。まずは食欲の中枢から開始。そしたら食欲の変調が成因となる肥満の問題がだんだん大きくなってきた。基礎研究の成果を臨床に結びつけて治療に繋げたいという思いが元々強かったので、自分の研究から、有効な治療薬の無い肥満の優れた治療薬を出したいという思いがより強くなってきたのです。

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