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Episode.4 有効で安全な肥満治療の実現を目指して (7/8)  New

学生に伝えたい2つのメッセージ

小沢:自治医大の学生にメッセージをお願いします。

矢田:自治医大で僕は15年になりますが、学生たちが地域医療で貢献するという強い意志を持って勉強しているのは素晴らしいと思います。一方で、学生たちは多様な個性と可能性を秘めています。そんな学生たちに僕が伝えているのは、地域医療をしっかりとやった上で、それぞれの個性とかやってみたいことを大切にして欲しいということ。地域医療の義務年限が終わったあと、そこから人生は長いですよ。医師として40年とか、元気だと80-90歳まで仕事ができるわけですから。長い人生でそれぞれの持っている器を磨いて、やってみたいことにチャレンジして欲しいですね。

他大学の卒業生は医局で先輩の多様な活動を見ることができると思いますが、自治医大の卒業生は田舎の病院や診療所の勤務になるので接する医療者や先生は限られてくる。研究に関しても、その間は限定されたことしかできません。30歳半ばから研究を始めようと思っても、そこで初めて動物を扱う、初めてピペットを握る、というのは敷居が高い。なので、学生の時にちょっとでもそういうことをやっていれば、作業の想像もつき、選択肢の1つに入れることができます。だから学生の間にいろんな経験をして欲しいと思っています。

矢田俊彦教授の愛読書

矢田: 近代医学の父、内科学の父と呼ばれているウイリアム・オスラー先生の「平静の心」という本が僕の愛読書なのですが、先生はこの本の中で次の力強いメッセージを伝えています。

『主たる務めは遠くにかすんでいるものを見ることではなく、目の前にはっきり見えるものを実行に移すことである。』

学生のうちは、勉強して、いい人間関係を築いて、今をしっかりやる。そして卒業したらそれぞれの地域で患者さんをしっかり診ていく。大変だけれども非常に尊いこの活動をしっかりやる。その後も、それぞれの場所で目の前の目標に向けてしっかりとやる。

それからもう一つ、非常に大事なことをオスラー先生はこういう言葉で言っています。

『医師にとって科学的訓練は計り知れないほどの貴重な贈り物であって、それは正確な思考習慣を身につけさせてくれ、精神を鍛えて、物を疑いの目で見るという識別、判断力を養う。その能力が身について初めて医師は診療の不確かさの中にあって賢くなる。』

皆さんには学生時代に科学的訓練を学んで欲しいと思っています。一番いいのは研究をやってみること。研究というのは、未解決の重要問題に対して具体的な設問を立て適切な方法を選んで実験・臨床で検証し、得られた結果を見て次のアプローチを考える、ということを繰り返して最終回答を求めるものであり、深い科学的訓練になるわけです。この訓練により鋭く正確な思考習慣が身に着き、そして物事を疑いの目で見る識別判断力ができるようになります。

それは臨床の場で生きてきます。「医師は診療の不確かさの中にあって賢くなる」日々の診療で患者さんを診たときに、その病気をどうやって診断するか、病気の背後にある成因や問題は何か、という問いに答えられる洞察力を身につけることができます。

そのためにも研究を。数か月でもいい。それだけでも非常に大きな収穫になると思います。医学研究者になる人達にとっては将来に繋がる経験になりますし、臨床医になる人達にとっても大きな宝物になっていくだろうと思います。

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