肺・縦隔・胸壁・横隔膜に発生する呼吸器外科領域の疾患を対象に、専門的治療を年間250例以上行っております。約半数を占める肺悪性腫瘍に対し、拡大手術、胸腔鏡手術等様々な方法を駆使し、最良の治療効果があがるよう努力しております。早期肺癌に対しては胸腔鏡を積極的に用い、早期発見及び治療に努めております。最近10年間の肺癌の外科治療成績(5年生存率)はT期77%、U期53%、VA期50%、VB期30%と、特に進行肺癌において良好でした。他は良性腫瘍、縦隔腫瘍、胸壁腫瘍、重症筋無力症、気胸、肺気腫、嚢胞性疾患、炎症性疾患、胸部外傷、手掌多汗症などで、これらに対し様々な外科治療を行っております。
 癌による死亡率は年々増加の一途をたどっております。特に肺癌は罹患率、死亡率ともに急増しており、21世紀に外科医が取り組まなければならない最も重要な癌の一つとされております。肺癌の特徴は、発見しにくく、転移し易く、内科療法に抵抗性であることであります。我々はこれらに対処すべく、診断未確定肺小腫瘤病変への積極的な胸腔鏡手術導入による早期診断及び治療、進行肺癌に対する術前化学免疫療法及び3群リンパ節郭清による集学的治療などを行ってまいりました。これらの努力により、VA、VB期の肺癌術後5年生存率は全国平均を10〜20%上回る好成績となりました。今後、T、U期の肺癌に対しても、新たな治療戦略を導入し、生存率の改善を図りたいと考えております。
 肺癌以外の呼吸器疾患では、なるべく侵襲の少ない外科療法が推奨されます。2006年のわれわれの集計を見ますと、全手術の65%が胸腔鏡下に行われました。これにより、術後合併症の著明な減少と入院期間の短縮が計られました。
 特殊な手術として、肺気腫に対する volume reduction surgery、手掌多汗症に対する胸腔下交感神経節切除術、気管狭窄に対するステント療法、浸潤性縦隔腫瘍や気管腫瘍に対するPCPS下拡大手術などを積極的に行っております。
1.肺癌肺転移巣成立機序に関する肺微小循環レベルでの研究
生体肺微小循環観察法を用い、肺癌肺転移巣成立過程を観察し、転移巣成立と肺微小循環との関係や腫瘍微小血管網の成立様式を研究する。
2.肺肺癌に対する強化免疫療法の研究
抗癌剤と免疫賦活剤とを併用する強化免疫療法が肺癌肺転移巣にどのように作用するかを明らかにする。
3.急性肺障害における白血球活性化のメカニズムとその制御の研究
急性肺障害発症には活性化白血球が重要な役割を果たす。この活性化のメカニズムを解明し、急性肺障害の予防および治療に応用する。
4.再膨張性肺水腫の発生機序に関する研究
気胸などにより虚脱していた肺を再膨張させると、肺水腫が発生する。動物実験モデル作成し、生体肺微小循環観察法にてその成因を明らかにする。
教授
蘇原 泰則
教授(兼任)
遠藤 俊輔
教授(兼任)
長谷川 剛
准教授
佐藤 幸夫
助教
手塚 憲志
助教
大谷 真一
助教
山本 真一
助教
金井 義彦
助教
遠藤 哲哉
●年間延べ外来患者数 2,863人
●年間延べ入院患者数 5,761人
●平均在院患者数 16人
(2007年)
原発性肺悪性腫瘍 106例  
転移性肺悪性腫瘍 18例  
良性肺腫瘍 7例  
胸壁腫瘍 2例  
縦隔腫瘍 25例  
重症筋無力症 7例  
炎症性肺疾患 5例  
膿胸 12例  
気胸 56例  
胸部外傷 1例  
肺生検(間質性肺炎等) 6例  
のう胞性肺疾患 6例  
手掌多汗症 4例  
その他 8例  
266例  
気管支鏡検査 222例/年
化学療法 51例/年
 呼吸器外科
 呼吸器内科
 病理
 放射線科
火曜日 7:30 〜 8:30  6階南カンファレンスルーム
教授回診
木曜日
9:00〜10:30
6階東病棟
クリニカルカンファレンス
火曜日
18:00〜19:30
6階南カンファレンスルーム
抄読会
木曜日
18:30〜19:30
6階南カンファレンスルーム
クリニカルカンファレンス
金曜日
7:30〜8:30
6階南カンファレンスルーム
1.肺癌肺転移巣成立機序に関する肺微小循環レベルでの研究
我々が独自に開発した生体肺微小循環観察法を用い、生体にあるがままの状態で肺癌肺転移巣成立過程を観察し、転移巣成立と肺微小循環との関係や腫瘍微小血管網の成立様式などを研究する。
2.肺癌に対する強化免疫療法の研究
我々は抗癌剤と免疫賦活剤とを併用することにより、抗腫瘍活性の強いリンパ球の誘導に成功した。本研究では、この強化免疫療法が肺癌肺転移巣にどのように作用するかを生体顕微鏡下に明らかにする。
3.急性肺障害における白血球活性化のメカニズムとその制御の研究
急性呼吸窮迫症候群ARDSに代表される急性肺障害発症には活性化白血球が重要な役割を果たしている。この活性化のメカニズムを解明し、制御することにより急性肺障害の予防および治療に応用する。
4.再膨張性肺水腫の発生機序に関する研究
気胸などにより数日間虚脱していた肺を再膨張させると、再膨張肺に肺水腫が発生する。これを再膨張性肺水腫という。再膨張性肺水腫は肺微小血管が傷害される透過性肺水腫であると考えられているが、その成因は未だに明らかではない。本研究はラットに実験モデル作成し、生体肺微小循環観察法にて再膨張性肺水腫の成因を明らかにする。
5.肺移植後の急性拒絶反応に関する研究
肺移植直後に移植肺に発生する肺水腫や肺循環不全は、肺移植を妨げる要因の一つになっている。これはacute reimplantation resposeと称されているが、その病因は明らかではない。本研究はこの病態を肺微小循環レベルで明らかにする。
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