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第1次自治医大災害派遣チーム活動報告

 

163.jpg 3月25日(金)~4月2日(土)、9名(医師2名、看護師2名、薬剤師1名、事務2名、往路運転手2名)からなる医療支援チーム第1陣が岩手県大船渡市での医療支援活動のため派遣されました。

復旧したばかりの東北自動車道を通り、50~80㎞/時に制限される中7時間余りかけて大船渡市役所に到着。今回の派遣をコーディネイトして下さった千厩(せんまや)病院院長伊藤先生とともに、毎日18時から市役所で開かれていた、日本各地から派遣されている医師を含めた支援チームと保健師チームの連絡会に出席しました。そこで、自治医科大学チームは、2日目は大船渡北小学校、3日目以降は既に派遣されていた北里大学チームを引き継ぐ形で末崎(まっさき)地区の各避難所を担当することに決まりました。

【避難所での診療】

034.jpg 避難所には小・中学校の体育館、各地の公民館、寺、神社がありました。末崎地区は電気が復旧している所もありましたが、まだ発電機などに頼っている所も多く、避難所によっては日中太陽光発電を利用している所もありました。水道は未復旧で給水車が頼りでした。避難所の周囲の地域の特徴によって避難所の雰囲気も様々でした。
地元の保健師さんだけでなく各地から派遣されている保健師チームが避難所だけでなく家庭訪問もし、必要な場合は医療チームが往診することもありました。残念ながら軽度の褥瘡が出来てしまっている方もいらっしゃいました。保健師さんの指導の賜物と思われますがほとんどの避難所で避難されている方はマスクをしておりました。また、避難所にいらっしゃる地元の診療所などの看護師さんにも色々お手伝い頂きました。

114.jpg 避難所での診療はプライバシーが守られるような環境ではありませんでしたが、スクリーンや衝立などを利用して出来るだけプライバシーが守られるよう努力しました。派遣中延べ約600人を診察しましたが、小児はほとんど受診されず、全体の6割が65歳以上の方でした。疾患で目立ったのは高血圧関連で4割に認めました。震災で薬が無くなり血圧が上昇している方もたくさんいらっしゃいましたが、震災前は正常だった方でも血圧が上昇している方が少なくありませんでした。400人弱の受診者に800回弱の血圧測定を行いましたが、6割が160mmHg以上という結果でした。支援チーム毎に持参している薬剤が異なるため、受診する度に処方される降圧薬が変更されている方も多くみられました。他に目立ったのは、受診者の約2割が咳・鼻汁などの感冒様症状を訴えられていたことです。自治医大の支援チーム内でも感冒様症状を訴える人がいましたが、帰院後症状がすぐに消失したのでアレルギー性の症状も多く含まれていた可能性があるかもしれません。他に不眠症や花粉症がそれぞれ1割弱に見られました。心配された下痢・嘔吐患者は少数でしたが、第1陣が帰る間際にインフルエンザBが数例発症しました。隔離できる部屋も限られており、発症数が増えた場合の対処方法を検討する必要がある、と夕方の定例連絡会でも課題として挙げられていました。
薬の処方は当初は持参した薬剤の中から最大1週間分を処方していましたが、派遣期間中調剤薬局が数ヶ所再開され2週間処方が可能になりましたので、可能な限り調剤薬局から処方して頂くようにしました。

032.jpg 受診時涙を流されながら境遇を話される方もいらっしゃり、適宜同時期支援に入っていた久里浜アルコール症センターの心のケア支援チームと連携しました。しかしながら、支援そのものが辛い、という方や、御家族との関係に悩まれている方もいらっしゃり、ケアの難しさを痛感しました。元気そうに遊んでいる子供さんが描く絵の中にも震災の影響を感じさせられることがあり、全ての被災者の方に心のケアが必要だと思いました。

【宿泊先の大船渡病院】

宿泊先の大船渡病院 宿泊先の大船渡病院には当初自治医科大学の支援チームが宿泊することが十分に伝わっておらず焦りましたが、この混乱の中では仕方のないハプニングでした。期間中大船渡病院の診療支援に来ていた藤沢市民病院、岡山大学、杏林大学の皆さんと同宿でした。大船渡病院のライフラインは確保されており、生活にはほとんど困りませんでした。また病院に宿泊されている病院の職員の方も多くいらっしゃいました。

【大船渡市の様子】

080.jpg 到着時は警察署の横の道が通行止めでしたが、その後解除されました。途中津波による被災を免れた地域で地元スーパーが営業を再開したり、警察署近くの飲食店が営業を再開したり、徐々に復旧・復興している所もありました。また重機が入り瓦礫の撤去が始まっている所もありました。しかしながら、私たちが担当した末崎地区をはじめ被災地区の水道や下水、電気の復旧はこれからのようでした。入浴は週1回、岩手県内の温泉地にバスに乗って行くようでしたが、短時間の入浴で、ゆっくりとつかれるわけではないようでした。 3月28日には大船渡市を含む気仙地域の医療のこれからを話し合う会が震災後初めて開かれ、岩手県や大船渡市、地元医師会、薬剤師会、大船渡病院・高田病院院長、保健所所長さんをはじめ、我々を含めた支援チームも参加させて頂きました。固定電話が未復旧などでやっと集まれたそうです。診療所でも診療再開されたところもあり、地域全体の医療の復旧・復興の第一歩、という感でした。医療の支援の形もそれに合わせて変えていく必要を感じました。また医療の復旧・復興には単なる医療の支援だけでなく、ライフラインや住居などの生活面あるいは交通などの復旧も不可欠であり、幅広い分野の連携の必要性もあると感じました。

 

256.jpg 9日間の派遣を終了し、4月2日第2陣に引き継ぎ栃木へ帰りました。
最後に、宿泊場所を提供して下さいました大船渡病院の皆様、同じ地区を担当致しました地元の保健師さん、秋田市や倉敷市・能代市の保健師チームの皆様、色々診療をお手伝い頂いた地元の看護師さん、処方箋をまとめて調剤薬局まで持って行って下さったり御協力頂いた避難所の皆様、千厩病院伊藤院長に深く感謝致します。
復興なった大船渡市にいつか必ずや行きたいと願っております。

第1陣:小松憲一(医師)、池本智一(医師)、松沼早苗(看護師)、村山泉(看護師)、若林宏海(薬剤師)、鈴木高広(事務)、小沼和也(事務)、山家立美(運転手)、和氣正夫(運転手)

第2次災害派遣チーム活動報告

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