自治医科大学 集中治療部は、
最先端の集中治療の提供、重症患者に貢献する研究の推進、
若手集中治療医の育成と日本の集中治療の発展を目指しています。

麻酔科学・集中治療医学 集中治療医学部門 教授

~集中治療医学の発展を目指して~

集中治療医学(Intensive Care Medicine)とは、呼吸・循環・代謝などを司る重要臓器の急性機能不全に対し、集中的・集学的な治療を行い、患者の回復を図ることを主題とする臨床医学です。
これまで臓器別に発展してきた臨床医学に加えて、さらに横断的・総合的に全身を管理する医療として躍進的に進歩している領域であり、重症患者管理学、生体侵襲管理学ともいうべき分野です。

脳、心臓、肺、腎など生体にとって重要な臓器の機能障害に関する病態の解明と治療を主眼とし、病態生理を充分に理解し、それぞれの臓器機能をいかに維持し、また回復させるか、ということが集中治療医学の重要な研究課題です。
この集中治療医学を臨床で実践する集中治療部は、内科系・外科系を問わず、呼吸・循環・代謝系その他の重篤な急性臓器機能不全によって生命の危機にある患者を収容し、診療科の垣根を越えて総合的かつ集中的な治療を行い、その回復を図ることを目的とした中央診療部門です。
本院集中治療部の最大の特色は、あらゆる年齢層、あらゆる疾患の患者を収容対象とし、関連各科と連携したチーム医療体制下で、集中治療医が核となって24時間体制で急性期管理を遂行している点にあります。単なる術中管理の延長としての術後管理に留まらない周術期管理、専門性の高い呼吸・循環管理や代謝・栄養、感染管理、人工呼吸器・体外循環・血液浄化などの侵襲的な治療を駆使し、集中治療専従医師によるgeneral ICUを実現しております。
本邦では未だ数少ない専門医集団による独立診療ユニット・スタイル(closed-system ICU)に対して、院内各診療科からも高い評価を得ており、年間収容患者約1,000名は外科系、内科系、小児患者と幅広く分布しています。またチーム医療の観点からも臨床看護的アプローチを取り入れ、患者の精神的ケアやICU獲得感染症の予防にも積極的に取り組んでおります。
研究においては、敗血症、凝固障害、呼吸不全、栄養管理、せん妄を軸として、引き続き様々な研究成果を発信していく方針です。

施設沿革

1977年 昭和52年
附属病院の高度医療発展のため、集中治療ユニットとして4床で「ICU-CCU部」を開設
1985年 昭和60年
7床に増床
1989年 平成元年
独立診療ユニットとして、集中治療専従医師による診療体制を確立
1990年 平成2年
13床に増床
1993年 平成5年
「集中治療部」に名称変更
2002年 平成14年
附属病院新棟にICUを移設
2015年 平成27年
14床に増床
2018年 平成30年
附属病院新館南棟を建設,新ICU(16床)稼働