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文部省(当時)のハイテクリサーチセンター整備事業に関連し、平成10年 (1998)4月に従来の血液医学研究部門が分子病態治療研究センターと改称されました。この際、分子生物学講座が遺伝子治療研究部に名称変更されました。メインテーマは遺伝子治療テクノロジーの開発で、学内外の研究者との連携に力を入れています。主な研究テーマは以下の通りです。

(1)アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターの開発
AAVベクターシステムは米国Avigen社から導入し、共同研究を推進しています。基礎研究としては、ベクター作製システムの開発や、ウイルスの血清型と組織特異性の検討などに取り組んでいます。また安全な遺伝子導入法として、AAVの特徴をうまく利用した、染色体部位特異的遺伝子組込み法の開発を行っています。

神経疾患への応用研究として、神経変性疾患の遺伝子治療について、本学神経内科学部門と共同研究を行っています。パーキンソン病の遺伝子治療については、サルを用いた前臨床研究で有効性を確認し、学内倫理委員会の審査でも承認を受けています。また、脳虚血(本学生理学、日本医大第二内科との共同研究)や、中枢性尿崩症(本学内分泌代謝学部門との共同研究)の遺伝子治療実験を行っています。

血友病に関しては分子病態研究部と臨床研究を目指した基盤研究の開発を行っています。

癌については、血管新生抑制療法の開発や、ハイブリッドベクターシステムなど新規ベクターの開発を進めています。また、卵巣癌の遺伝子治療開発では本学産婦人科学講座や東京大学産婦人科学講座と共同研究を行っています。さらに、頭頚部癌は本学耳鼻咽喉科学講座、脳腫瘍に対しては本学脳神経外科と共同研究を行っています。

また、本学臓器置換研究部および東北大学(松原教授, 呉助教授)との共同研究で、フェニルケトン尿症モデルマウスの高フェニルアラニン血症を長期にわたり是正し、中枢神経機能を改善することに成功しています。

その他にも、横浜市立大学とのHIV感染症に対する免疫療法など、数多くの遺伝子治療基盤研究を行っています。



(2)選択的増幅遺伝子(SAG: selective amplifier gene)システムの開発
造血幹細胞への遺伝子導入効率が低い問題を克服するため、遺伝子導入細胞を体内で選択的に増やす細胞制御システムをディナベック研究所と共同で開発しています。このシステムの応用としては、慢性肉芽腫症を対象疾患として取り上げ、実用化に向けてシステムの改良を進めています。


(3)造血幹細胞の体外増幅システムの開発
体外培養中は分化制御遺伝子を働かせて造血幹細胞を増幅し、移植時に制御遺伝子を取り外す新しいテクノロジー(細胞制御遺伝子のゲノム着脱システム)を開発しています。細胞療法の基本テクノロジーとして、再生医療における応用が期待されます。