形成外科学部門

耳介の形態異常

① 小耳症

発生率は約6,000から10,000人に1人の確率です。男女比は、男児:女児=2:1であり、男性に多いです。左の耳よりも右の耳の方に症状が出ることが多いです。また両方の耳が小耳症である場合もあります。

治療は手術により行います。手術時期は、10歳以上もしくは胸囲60cm以上で行います。手術は2回に分けて行います。1回目は、耳介形態のフレームを、自身の肋軟骨を用いて作成し、将来耳介を形成する部位の皮下に埋め込みます。この手術が終わった段階では、頭にくっついた状態の耳がある状態となります。1回目の手術の半年後以上経過した段階で、2回目の手術を行います。2回目は、耳介を起こし適切な位置にもってきます。そのために、側頭部の筋膜を用いたり、鼠径部の皮膚を用いて植皮をおこないます

② 副耳

発生率は、1000人に15人と比較的多く見られます。耳の前に1つから複数個存在します。皮膚のみの場合と、内部に軟骨を含む場合があります。治療方法は、茎部がある場合は、糸による結紮で治療することが可能です。この場合、血流の無くなった副耳が7-10日後に壊死して、自然脱落します。全身状態に問題無ければ、生後すぐに行うことができます。結紮できないような茎の太い副耳は、全身麻酔下での切除術が必要となります。この場合は、1歳以降で行います。 

③ 埋没耳

別名袋耳です。耳介の上半分が側頭部皮膚に埋もれた状態です。原因は、発生段階における耳介後面のいくつかの筋肉の異常により生じる説が有力です。聴力には問題はありません。機能的な問題と、整容的な問題があります。機能的にはマスクやメガネがかけにくいといったものです。

発生率は400人に1人程度と比較的多く、男女比は、2.3対1と男性に多いです。治療方法は、1歳くらいまでであれば、テープやクリップなどを使った矯正装置により治る可能性があります。矯正治療で治らない場合や、1歳以降では、手術による加療が必要となります。手術は3歳から5歳くらいで行います。全身麻酔下に手術を行います。手 術により耳介上部を伸ばした状態にします。入院は2泊3日です。

④ 耳前瘻孔

耳前瘻孔は生まれつき耳介周囲に小さな孔が空いており、そこから管状の瘻孔が存在し、その先端が耳介軟骨に達しているものです。原因は、耳介を形成するときの異常によるものと言われています。この瘻孔が感染を起こすと、切開により膿を出し、抗菌薬の内服加療が必要となります。一度感染をおこすと再感染を来す確率が高いので、手術による摘出術を行います。成人では、局所麻酔下で摘出術が可能ですが、小児では全身麻酔下での摘出術となります。全身麻酔下では2泊3日の入院が必要となります。

⑤ その他耳介奇形(立ち耳、 絞扼耳、 スタール耳)

立ち耳は、耳甲介の過剰により耳介上部が側頭より離れている状態です。乳児期であればテープなどで寝かせるだけの非観血的加療でも効果があることもあります。非観血的加療で効果がないときは手術療法となります。

絞扼耳は、耳介上部の形成不全で、耳輪が前下方に覆い被さるような耳介変形です。ごく軽度であれば非観血的治療法でも治療ができますが、手術療法になることが多いです。

スタール耳は、耳介上部がとがったような形態をしている状態です。非観血的治療に比較的よく反応します。

形成外科で扱う疾患