形成外科学部門

難治性潰瘍・褥瘡

褥瘡とは、寝たきりなどにより体重で圧迫されている場所の血流が悪くなることで、皮膚の細胞に十分な酸素や栄養が行き渡らなくなり、皮膚の一部が赤い色味を帯びたり、傷ができてしまった状態のことです。一般的に「床ずれ」ともいわれています。

長期臥床に伴う仙骨部の褥瘡

自分で体位変換ができず長期間寝たきりで、栄養状態が悪い、皮膚が弱くなっている(高齢者、排泄物や汗により皮膚のふやけがある、むくみが強い、抗がん剤やステロイドなど薬の副作用で免疫力が低くなっている)人が、圧迫だけでなく摩擦やずれなどの刺激が繰り返されている場合は、とくに褥瘡になりやすいといえます。他にも褥瘡に注意が必要な病気として、骨盤骨折、糖尿病、脳血管疾患、脊椎損傷があります。

褥瘡は、損傷の重度に応じて4段階に分類されます。

ステージI:赤くなり、炎症が生じる
ステージII:皮膚の浅い部分が失われ、表皮剥離、水疱またはその両方が生じる
ステージIII:皮膚の全層が失われ、脂肪層まで達する
ステージIV:皮膚の全層が失われ、下にある筋肉、腱、骨が露出する

治療方法としては、軟膏による保存的治療と、外科的治療(手術加療)があります。一般的に、褥瘡のステージが上がり、大きさが大きくなり、経過が長く、重い合併症を持っている場合においては、保存的加療による治癒はより困難になります。当科ではそのような軟膏による保存的加療では治癒が困難な難治性の褥瘡に対して、手術を含めた専門的な治療を行っています。

手術には外科的デブリードマン、もしくは再建術といった方法がとられます。外科的デブリードマンとは、患部の壊死組織をメスで取り除く手術を指します。壊死組織は感染症における細菌増殖の場となり、創治癒の妨げになるため、これを取り除き、肉芽組織の形成を促すことが手術目標となります。再建術とは、自分の皮膚や周辺組織などを用いて、褥瘡の傷口を塞ぐ手術を指します。デブリードマンと比べると、自分の皮膚の一部をどこからか取ってくる必要があるため、侵襲がやや高く、麻酔が必要になるため、適応と術式を十分に検討します。また、手術後すぐに再発してしまわないよう、手術前から再発の予防についての対策を十分に考えることも大切です。

当科ではこうした褥瘡のみならず、様々な難治性潰瘍に対しても、傷の専門的知見から広く診断および治療を行っております。代表的なものとしては、悪性腫瘍切除後の放射線治療に伴う潰瘍があります。放射線照射に伴う潰瘍は、短期間に多量の照射を受けて生じる急性放射線障害と、照射が長期間反復された後に生じる慢性放射線障害に分けられます。慢性放射線障害から皮膚癌を生じる事があるため、適切な治療が必要となります。

乳癌術後の放射線照射による潰瘍

放射線照射により皮膚は硬く萎縮し、皮膚表面が乾燥しやすくなります。放射線照射後数年あるいは数十年後に潰瘍を形成したり、皮膚の下の骨が壊死して骨髄炎を来したりして、癌化したりします。治療は周囲の皮膚まで含めて十分に障害された部分を切除します。また壊死した骨も切除します。切除で生じてしまう皮膚の欠損には血行の良い組織で覆います。

        

形成外科で扱う疾患