形成外科学講座

しみ・にきび治療に共通の注意事項


一般的な注意

薬は必ず冷蔵庫に保存してください。
特にトレチノインは分解が早いので1ケ月毎に新しいものの処方を受けてください。
顔の部分によって反応に差があります。
    効きやすい個所・・口のまわり(少々ついただけでも反応が起こる)、目のまわり
効きにくい個所・・Tゾーン(高濃度を必要とすることもある)、手・足
処方された内服薬は食事とは関係なく、規則的に服用するようにして下さい。
にきびには不規則な生活やストレスが影響しますので、規則正しい食事や睡眠を心がけ、気晴らしや休息を十分取るようにしましょう。
他の乳液、ローションなどは原則的に使わないようにして下さい。どうしても使用したいものがある場合は担当医にご相談ください。
にきびが十分に改善した後も、メインテナンスを続けていく必要があります。2-3ヶ月続けることで
にきび後の赤みも消えていきます。
にきび痕の治療にはさらにアブレージョンなど他の治療が必要になりますが、その前にこの治療を行うことが必要です。

 

これから赤ちゃんを作る予定のある方へ

トレチノインは、動物実験では大量内服投与によって奇形を生ずることが知られています。
ヒトでは、トレチノイン外用との因果関係が明らかな奇形発生はこれまでありません。
しかし、念のためトレチノイン治療中は避妊を行なってください。


皮膚がむけ、赤くなってきたら(治療開始2〜3日後)

この治療をはじめてから、通常、1日は何事も起こりません。ところが、2、3日ほど経つと、 塗ったところとその周辺の皮膚がポロポロとむけ、赤くなってきます。顔を洗うときも、ヒリヒリすることがあります。 この反応は、トレチノイン治療には必ず伴う反応です。また、本治療を中止すれば、徐々に回復します。皮は無理にむかず、自然には がれるのを待ってください。このように皮膚がむけ始めましたら、次のことに注意してください。

1)保湿ケア

トレチノイン治療中は、皮膚の角質層がはがれますので、皮膚のバリアー機能や水分保持機能がなくなっています。治療部位では水分がどんどん蒸発して、皮膚が乾いて突っ張ったりします。また、バリアー機能がないため、いろんな刺激や外敵から皮膚を守るために皮膚を保護する必要があります。担当医の指示に従い、適切なスキンケアを行ってください。
 

2)紫外線のケア

トレチノイン使用中は、紫外線の影響を非常に受けやすい状態になっています。従って、紫外線のケアが悪いと かえってしみを呼ぶことになってしまいます。担当医の指示に従い、適切な紫外線ケアを使用しましょう。刺激の少ないサンスクリーン(紫外線吸収剤が入っていない製品)や遮光用ファンデーションなどを使用します。特に汗をかく季節には紫外線ケアがおろそかになりますので、日中は頻繁に気を配るようにして下さい。 

 

治療を中断したほうがよい症状

  以下の症状が出た場合には、早めに担当医にご相談ください。

     *痛みが強すぎる。
     *所々血がにじんでいる。
     *数箇所ひどくしみるところがある。
     *赤くなりすぎる。


その他、不安があるようでしたら、いったんトレチノインのみを中止して次回の診察のときにご相談ください。
自分の判断で中止すると炎症後色素沈着を誘発することがありますので、中断する場合も医師の指導を受けて下さい。緊急には、お電話などでの相談もお受けします。


1週間使ってもまったく赤くならない場合


濃度が肌質に合っていない可能性があります。
はやめに担当医にご相談ください。


治りにくいにきびについて

ほとんどのにきびは、トレチノイン治療開始後3週間程度で改善しますが、女性の場合、トレチノイン治療にもかかわらず周期的に新しいにきびが見られることがあります。月経開始前に症状が悪化することがよくあります。また、難治性にきびや胸や背中など広範囲にできる場合などは、血液検査やホルモン治療など全身的な治療が必要になる場合もあります。

 



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