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[医学部] プロテアソーム阻害を介する新規抗がん剤を発見しました

2014年4月3日

分子標的薬であるプロテアソーム阻害剤は新しいタイプの抗がん剤として期待されています。プロテアソームは、細胞内で不要になったタンパクを分解する器官であり、その働きを阻害すると異常なタンパクの蓄積が起こり細胞内ストレスが惹起されて細胞死が誘導されます。多くのがん細胞では細胞増殖の亢進や細胞死の抑制に働くタンパクが多量に産生されているため、プロテアソームの働きを阻害すると正常な細胞に比べて容易に細胞死が誘導されます。従って、プロテアソーム阻害剤は副作用が少なくがん細胞に特異的に作用する抗がん剤として高い治療効果が期待されています。実際にプロテアソーム阻害剤として最初に認可を受けたボルテゾミブは、血液がんである多発性骨髄腫に対する高い治療効果が示されています。しかしながら、本剤が非経口薬であるため、頻回の通院が必要なことや最近になってボルテゾミブ耐性患者も報告されるようになってきました。そのため、ボルテゾミブと異なる作用機序を有する新規プロテアソーム阻害剤経口薬の開発が重要な研究課題となっていました。

本学分子病態治療研究センター幹細胞制御研究部菊池次郎准教授らの研究グループは、興和株式会社で開発された低分子化合物であるホモピペラジン化合物に、プロテアソーム活性の阻害を介した抗腫瘍効果を見いだしました。その作用機序解明の結果、ボルテゾミブが、プロテアソームにおけるキモトリプシン様・トリプシン様・カスパーゼ様の3種類のタンパク質分解酵素のうちキモトリプシン様活性阻害を介するのと異なり、ホモピペラジン化合物は3種類の活性全てを阻害することを明らかにしました。また、本学生物物理学柴山修哉教授らによる結晶構造解析の結果から、ホモピペラジン化合物がプロテアソームの3つの酵素の活性中心それぞれに直接結合することにより活性を阻害していることを明らかにしました(PLos One)。続いて、骨髄腫細胞株とマウスを用いた非臨床試験により、顕著な腫瘍増殖抑制効果を有すること、重篤な副作用も見られないこと、ボルテゾミブ耐性の克服にも有効なこと等を明らかにしました(J Biol Chem)。

以上より、ホモピペラジン化合物がユニークな化学構造と作用機序を有し、ボルテゾミブ耐性の克服にも有効な新しいタイプのプロテアソーム阻害剤経口薬になりうることを世界で初めて報告しました。

なお、本化合物に関する特許を興和株式会社と共同で出願し、現在、臨床試験を目指した検討を継続中であります。その有効性が検証できれば、本邦初のプロテアソーム阻害剤導出例となります。

この成果は、PLos One誌オンライン版(平成25年4月11日付け)及びJ Biol Chem誌(平成25年8月30日付け)に掲載されました。

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