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[医学部] 肥満に伴う代謝異常とリゾリン脂質の関わりを解明

2014年7月10日

肥満に伴う脂肪組織の肥大や全身の代謝異常に、リゾホスファチジン酸を作る酵素であるENPP2(オートタキシン)が関わっていることを明らかにしました。ENPP2は白色脂肪組織だけでなく、熱産生やエネルギー代謝に重要な褐色脂肪組織・骨格筋にも作用があり、糖代謝を制御していました。解析には新たに開発した二光子顕微鏡による生体分子イメージングを用いています。

ENPP2とは、別名オートタキシンといい、癌細胞の遊走に重要な、つまり癌を呼び寄せる作用のある酵素として見つかりました。ENPP2はリゾリン脂質という特殊な脂質(リゾホスファチジン酸)を作るだけでなく、ENPP2自体も多くの作用があります。今回の研究で、ENPP2の肥満に対する関わりが明らかになりました。

ENPP2は多くの臓器で発現が見られますが、脂肪組織、特に(前駆)脂肪細胞で多く作られています。そこで、ENPP2の生体での作用を明らかにするために、ENPP2の全身欠損マウス、脂肪細胞特異的欠損マウス、脂肪細胞特異的過剰発現マウス、の3種類を作成しました。ENPP2ヘテロ欠損マウス、脂肪細胞特異的ENPP2欠損マウスでは高脂肪食に伴う肥満、脂肪組織増殖が抑えられており、「やせたマウス」ができました。さらに、体重の抑制に加えて、肥満に伴う糖尿病の著明な改善がみられました。さらに、いずれのマウスでも褐色脂肪組織の機能が改善しており、全身のエネルギー消費量が増加していました。 ENPP2は直接インスリン作用を低下(阻害)させる他、脂肪細胞の分化・増殖にも関わっていました。これらの作用は、ENPP2によって生合成される脂質の働きだけでは説明できず、ENPP2の直接的な作用が考えられています。

今後はENPP2の機能を調節することで、あらたな代謝疾患の治療が可能になると考えており、より詳細なメカニズムについて、研究を進めていきます。

本研究は、分子病態研究部の西村智教授が中心になり、自治医科大学、東京大学との共同研究で行われたものです。

なお、この研究成果はDiabetes誌オンライン版(6月26日付)に先行公開されました。

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