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[医学部] 高濃度酸素暴露による急性肺傷害におけるパターン認識受容体NLRP3の新たな役割を解明

2015年2月18日

無菌性炎症の惹起経路として注目されているNLRP3インフラマソームは、パターン認識受容体であるNLRP3とアダプター分子ASC、Caspase-1から構成される細胞内分子複合体であり、Caspase-1の活性化を誘導してIL-1βを分泌させ、炎症を惹起します。重症呼吸不全の治療の一つである高濃度酸素吸入はそれ自体が急性肺傷害を誘導(高濃度酸素暴露急性肺傷害)することが知られていますが、その詳細は不明で、NLRP3インフラマソームのその病態や生存における役割はわかっていませんでした。今回、我々は、高濃度酸素暴露急性肺傷害のマウスモデルにおいて、NLRP3分子自体が生存性に影響することを明らかにしました。

高濃度酸素チャンバー内でマウスを飼育すると、野生型マウスと比較して、NLRP3欠損マウスでは肺組織への炎症細胞浸潤が抑制されますが、驚いたことに生存期間は短縮していました。そのメカニズムとして、浸潤した炎症細胞による肺胞上皮のStat3シグナルの活性化がNLRP3欠損マウスで抑制されており、細胞死であるアポトーシスが亢進していることを見出しました。これらはIL-1β欠損マウスでは認められず、NLRP3分子自体の機能によるものと考えられました。また、NLRP3欠損好中球では遊走能が低下していること、NLRP3欠損マウスに野生型の好中球を移入すると生存率の回復が認められることも明らかにしました。

本研究では、NLRP3の新たな機能を明らかにしました。さらに、これまで好中球の浸潤によって引き起こされる炎症は病態を増悪する方向に向かうと考えられていましたが、本研究では、好中球が炎症とは独立して組織傷害を軽減する作用を持っている可能性を示しました。

本研究は、炎症・免疫研究部の高橋将文教授と大学院生の水品佳子氏(呼吸器内科学)が中心となり行われたものです。本研究成果は、Journal of Biological Chemistry誌に2014年12月29日付けでオンライン掲載されました。

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