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[医学部] 白血病発症の初期に関与する新たな遺伝子異常を発見

2015年6月19日

ある種のエピジェネティク変異により自己複製が亢進しているが、分化能は保たれている造血幹細胞を前白血病性幹細胞と呼びます。最近の報告では、70歳以上の高齢者の10〜20%に検出されるとされ、白血病や造血障害の早期発見や発症予防の観点から注目されております(NEJM 2014)。

今回、幹細胞制御研究部の和田妙子助教らは、ヒストン脱メチル化酵素LSD1がTリンパ芽球性白血病リンパ腫(T-LBL)の前白血病性幹細胞の形成に関与していることを発生工学的手法を用いて証明しました。

LSD1は悪性腫瘍での強発現や特異的阻害剤による白血病分化誘導などが報告されておりましたが、それらの具体的メカニズムは不明でした。和田助教らは、正常造血細胞と白血病細胞におけるLSD1発現をスクリーニングし、造血幹細胞・前駆細胞ではきわめて低レベルに抑制されているが、白血病細胞とくにT-LBLにおいて強発現していることを見いだしました。そこで造血幹細胞特異的にLSD1を強発現するトランスジェニック・マウスを作製したところ、造血幹細胞の自己複製亢進が認められましたが、分化能は正常に保たれておりました。そこで放射線照射を行ってみると、LSD1トランスジェニック・マウスは対照群に比べ高率かつ早期にT-LBLを発症しました。造血前駆細胞のトランスクリプトーム解析を行うと、HoxAファミリーの発現が非常に高く、自己複製亢進の原因と考えられました。

以上よりLSD1強発現は、白血病発症の1次的遺伝子異常(1st hit)として前白血病性幹細胞の形成に関与しており、そこに付加的変異(2nd hit)が加わると急性白血病が発症すると考えられました。今回の発見は前白血病性幹細胞の原因の1つを明らかにしたもので、造血器腫瘍の早期発見や発症予防への応用が期待されます。

この成果は血液学領域で最も高い引用率を誇る米国血液学会機関誌「BLOOD」の6月12日号に掲載されました。

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