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[医学部] 末梢情報を脳に伝える求心性迷走神経における、満腹ホルモンインスリンと食欲ホルモングレリンの拮抗作用

2015年7月8日

求心性迷走神経は食事によって分泌が変動する消化管・膵ホルモンを受容し、その情報を脳へ伝達して、摂食やエネルギー代謝を調節している。我々はこれまでに、食後に分泌されるインスリンが求心性迷走神経を直接活性化することを見出し、この作用が満腹感創出に関与することを示唆した。胃ホルモンのグレリンは、インスリンとは反対に、空腹時に分泌が亢進して食欲を増進させるホルモンである。インスリンとグレリンは分泌と作用の双方で相互に拮抗する。すなわち、グレリンは膵β細胞からのインスリン分泌を抑制し、インスリンはグレリンによる摂食亢進性視床下部NPYニューロン活性化を抑制することが知られていた。本学統合生理学部門の岩ア有作講師、矢田俊彦教授らは、今回、マウスを用いた実験により、インスリンの求心性迷走神経活性化作用をグレリンが抑制することを発見した。

マウスより単離した単一求心性迷走神経細胞(nodose ganglion neurons, NGニューロン)において、インスリン投与は約10%前後のNGニューロンの細胞内Ca2+濃度([Ca2+]i)を増加させた。このインスリン応答性NGニューロンにおいて、グレリンの単独投与は [Ca2+]iの基礎値には影響を与えなかったがインスリン誘発[Ca2+]i上昇作用を有意に抑制した。このグレリンの抑制作用はグレリン受容体GHSRを介することが薬理実験から示された。さらに、インスリン応答NGニューロンの過半数は摂食抑制性消化管ホルモンのコレシストキン(CCK)にも応答するが、グレリンはCCK誘発[Ca2+]i上昇に影響を与えなかったことから、インスリン作用を特異的に抑制することが示された。

本研究では、グレリンがインスリンの求心性迷走神経への作用をグレリン受容体を介して抑制することを発見した。この迷走神経レベルでのインスリン・グレリンの拮抗作用は、「空腹時のグレリン有意な状態」と「食後のインスリン有意な状態」を迷走神経レベルで効率的に受容して脳に伝え、摂食・エネルギー代謝を制御している可能性が考えられる。

本研究成果は、スコットランド学術雑誌「Neuropeptides」に、2015年6月14日よりArticles in pressとしてオンライン掲載されました。

本研究は、文部科学省脳科学研究戦略推進プログラムの一環として、また科学研究費補助金などの助成によって行われました。

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