学会情報

2014年09月17日 16:09

AMEE(Association for Medical Education in Europe)2014参加記録

2014年8月30日〜9月3日まで、ミラノ(イタリア)で開催されたAMEE(Association for Medical Education in Europe)2014に参加してきました。シミュレーションの学会はSimHealthやSESAM、IMSHなど有名どころを参加していましたが、医学教育全般としての国際学会は、今年の1月にシンガポールで開かれたAPMECのみで、AMEEへは初参加。

参加して見聞きしてきたいことは色々あったのですが、シミュレーションセンターの教員としては「医学教育を包括的に扱う学会における、シミュレーションの扱われ方を調査する」こと、特にシミュレーション単体での扱いだけでなく、flipped classroom(反転授業)としての利用やeラーニングとの組み合わせ、あるいはAR(Augmented Reality)などの活用に興味をもって見てきました。

各時間帯で並行セッションが36も(!)走っていることもあり、シミュレーションの一般演題を聞きに行く余裕が残念ながらなかったのですが、ポスター発表を中心に実践事例を確認してきました。

印象としては、

・Teleconference(スカイプなどでの遠隔会議)を利用したシミュレーション実践
・ブタの胸壁を使ったドレーン挿入の練習
・AR(シミュレータの上に解剖図を投影する、Google Glassの活用の可能性、など)
・flipped classroomや電子書籍などを、シミュレーションの予・復習に活用

などの発表が目立ちました。特にシミュレーション単体の話は(ブタの胸壁など)、本センターでも既に実践したことがあるものもあり、また評価についても単純な満足度評価しか為されていなかったため、逆に言えば評価をしっかり(できれば行動変容まで)行うことができれば、国際学会あるいは論文での発表についてもまだまだ可能性があるのでは、と感じた次第です。

また、例えば多重課題シミュレーションについて、今年はeラーニングを予習教材に取り入れた形での実践を行っていますが、こうしたblended learning型の教育についても広く情報発信を行っていけるよう、取り組んでいきたいところです。

逆にIMSH等とは異なり、シミュレーションに特化した学会ではないため、シミュレーションセンターの運営やスペシャリスト養成、といったところに関する演題はあまり見られませんでした。もしこうしたテーマを扱うなら、シミュレーションのみならず、医学教育全体における人材育成やキャリア形成というテーマに膨らませる必要がありそうです。

来年はグラスゴー(イギリス)で9月5日から9月9日まで開催されます。今回はeラーニングをテーマで演題を出してきましたが、次回はシミュレーションとも絡めた話を持ち込みたいと思っています。