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研究情報

[医学部] 体内時計の乱れによる炎症性疾患発症のメカニズムを解明

2013年11月8日

生物の生命活動は、サーカディアンリズムという約24時間周期の体内リズム(体内時計)によって支配されており、そのリズムを制御しているのが時計遺伝子です。最近では、肥満や糖尿病、高血圧症などの生活習慣病の発症にも時計遺伝子の関与が示唆されています。

本学大学院医学研究科、基礎系大学院本務教員の柏田正樹准教授(生化学講座、アイオワ大学医学部兼務)はこれまで、時計遺伝子NFIL3がアレルギー反応などに関わる多くの免疫細胞の分化や機能の発現に、重要な働きをすることを明らかにしてきました。古くよりリウマチの痛みや喘息の発作など多くの免疫疾患が、早朝に発症しやすいという時間特異性があることが知られていますが、体内時計が免疫反応、特に獲得免疫系をどのように制御しているのかは不明でした。

今回、テキサス大学と柏田准教授の共同研究グループは、NFIL3が体内時計の制御下で、炎症性腸疾患や自己免疫疾患に関わる免疫細胞TH17細胞の分化や機能発現をコントロールしていることを発見しました。

NFIL3遺伝子を働かなくしたマウスは、腸管で炎症性免疫細胞であるTH17細胞が増加しており、ある割合で脱肛や炎症性腸疾患を発症します。しかしNFIL3を調節する時計遺伝子CLOCKやREV-ERBαを働かなくしたマウスでは、逆にTH17が減少していました。その分子機構として、光入力系により作動する体内時計ネットワークからのシグナルが、NFIL3を介してTH17細胞の分化制御因子であるRORγtの発現を直接制御することを明らかとなりました。

さらに一日の明暗サイクルを変えた、いわゆる「時差ボケ」状態のマウスでは、腸管のTH17細胞が増加しており、炎症性大腸炎誘導に対する感受性が高まっていました。

24時間社会と言われる現代社会では、シフトワークや夜更かし、夜間の光環境の変化により生活習慣が乱れ、体内時計の乱れを起こし、生活習慣病や炎症性腸疾患をはじめとする多くの病気が引き起こされやすくなっています。

本研究は、体内時計と炎症性免疫細胞の分化、機能を直接結びつける分子機構を初めて明らかにし、今後時間医学の観点から、時計遺伝子の発現や機能に基づいた新たな治療法や予防法の開発につながるものと期待されます。

本研究成果は、2013年11月8日、米国科学雑誌「Science」に掲載されました。