お知らせ

HOME > ニュース&トピックス > 研究情報 > 2014年度 > [医学部] 感覚神経細胞の個体発生における切り替えと感覚神経システムの進化のしくみを解明

research

研究情報

[医学部] 感覚神経細胞の個体発生における切り替えと感覚神経システムの進化のしくみを解明

2014年6月2日

一次感覚神経細胞は皮膚でとらえた外界からの刺激(接触、機械的、熱)を中枢へと伝える神経細胞であり、魚類や両生類においては、発生の過程で脊髄内のRohon-Beard(RB)細胞から脊髄外の脊髄神経節細胞へと切り替わります。魚類や両生類とは対照的に、鳥類やほ乳類ではRB細胞そのものが存在せず、脊髄神経節細胞のみで感覚が担われます。このような個体発生における感覚神経の切り替えと、進化における感覚神経の体制の変化が、いかなる分子によりどのような機構でなされるのかを解明するために本研究を行いました。

両生類・カエルの感覚神経では、その切り替えに呼応してホメオボックス転写因子Six1が発現することが分かりました。そして、その発現のタイミングを人為的に操作すると、切り替わる時期を変更することが出来ました。また、本来RB細胞を持たないほ乳類・マウスでは、感覚神経発生の早い時期からSix1とSix4が発現していますが、それらを欠損させると脊髄内にRB細胞様の神経細胞が生じることが分かりました。更に、両生類からほ乳類への進化の過程でSix1エンハンサーの活性が変化し、神経前駆細胞でより早い時期にSix1が発現するようになったことが、RB細胞消失の進化的な原動力となったと推測されました。本研究によって、Six1が個体発生および系統発生における一次感覚神経細胞の体制を、髄内のRB細胞から髄外の脊髄神経節細胞へ切り替える中心的な制御因子である事を解明することができました。

本研究は、本学分子病態治療研究センター細胞生物研究部の矢嶋浩講師、池田啓子非常勤講師、佐藤滋准教授、川上潔教授の研究グループが中心となり、基礎生物学研究所、山形大学、長浜バイオ大学および熊本大学との共同研究で行われました。

また、文部科学省私立大学戦略的研究基盤形成支援事業、および日本学術振興会科学研究費補助金、自治医科大学医学部研究奨励金などの助成によって行われました。

この研究成果はBMC Biology(5月29日付け)に掲載されました。