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研究情報

[医学部] オキシトシン末梢投与→迷走神経による脳への情報伝達→摂食抑制と肥満改善の新経路の発見

2015年1月15日

下垂体後葉ホルモンとして知られるオキシトシンは、脳内では神経伝達物質として作用し、摂食行動・社会性行動を制御しています。我々は前回、オキシトシンを末梢から(腹腔内)投与すると、摂食を抑制し肥満を改善することを報告しました。最近、肥満および自閉スペクトラム症患者に対するオキシトシンの経鼻(鼻腔内)投与の臨床試験が行われています。しかし、血中のオキシトシンは脳内に移行しにくいとの報告があり、その腹腔内及び経鼻の末梢投与が脳に情報を送る経路は不明でした。本学統合生理学部門の岩ア有作助教、矢田俊彦教授らは、マウスを用いた実験から、末梢投与したオキシトシンが「求心性迷走神経」を直接活性化して脳へ情報伝達し、摂食を抑制する新規経路を発見しました。

オキシトシンは、マウスから単離した求心性迷走神経細胞を活性化しました。さらに、オキシトシンをマウスの腹腔内へ投与すると、求心性迷走神経の投射先である延髄孤束核を活性化し、摂食を抑制しました。これらの作用は求心性迷走神経の遮断により消失しました。脂肪細胞由来ホルモンのレプチンは食欲抑制・代謝亢進作用を持ち、レプチン抵抗性が肥満の成因に深く関わっています。レプチン抵抗性のdb/dbマウスにおいても、オキシトシンは求心性迷走神経を活性化し、過食を抑制し、肥満を改善しました。

本研究は、オキシトシン末梢投与による求心性迷走神経の活性化が摂食を抑制し、肥満・過食に対する有効な治療経路となることを示しています。ヒトで臨床試験が行われているオキシトシン経鼻投与による肥満および自閉スペクトラム症治療において、迷走神経が脳への情報伝達の主要な経路となっている可能性を示しています。

本研究成果は、2015年2月1日に米国学術雑誌「American Journal of Physiology - Regulatory, Integrative and Comparative Physiology」に掲載予定、2014年12月24日よりArticles in pressとしてオンライン掲載されました。

本研究は、文部科学省脳科学研究戦略推進プログラムの一環として、また科学研究費補助金などの助成によって行われました。