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研究情報

[医学部] イソフルランの麻酔後効果を解明

2015年3月30日

術後認知機能障害の一因として、麻酔薬の麻酔後効果(postanesthetic effect)に注目が集まっています。これは麻酔薬処置後の一定期間、すでに麻酔薬が体内に残存していないにも関わらず、処置経験が生体に様々な影響を与える現象です。自治医科大学心理学研究室の高瀬堅吉教授と横浜市立大学麻酔科学教室の後藤隆久教授の研究グループは、麻酔薬であるイソフルランに注意機能を低下させる麻酔後効果があることを明らかにしました。

イソフルランは、以前は臨床において用いられた主要な麻酔薬でしたが、現在は主に動物の手術で用いられています。イソフルランの広汎な作用点を報告した研究は、鎮静作用に加えて様々な副作用があることを示唆していましたが、その詳細は明らかにされていませんでした。実験では、1.8%の濃度のイソフルラン曝露後7日目のマウスに、感覚テストバッテリー、運動テストバッテリー、不安テストバッテリー、社交性テストバッテリー、注意テストバッテリー、学習テストバッテリーから構成される網羅的行動テストバッテリーを課しました。さらに、対照群に加えて、イソフルラン処置群と同様のハンドリングストレス(麻酔処置行為で生じるストレス)を負荷したヨークト群を含めて検討を行いました。その結果、イソフルラン処置群では曝露後7日目で麻酔薬が体内に残存していないにも関わらず、注意機能を調べる潜在制止試験の成績が低下することが示されました。また、ヨークト群とイソフルラン処置群は、不安の程度を調べる高架式十字迷路試験で不安様行動を多く示し、学習機能を調べる手掛かり条件づけ試験で成績が低下しました。しかし、感覚機能、運動機能、抗鬱様行動、社会行動には影響は認められませんでした。

本研究から、イソフルラン処置は麻酔後一定期間、マウスに注意欠陥を引き起こすことが示唆され、さらに、麻酔処置行為はマウスの不安を高め、特定の学習機能を障害することも示されました。

本研究は、心理学研究室の高瀬堅吉教授がマウスの心的過程を調べる網羅的行動テストバッテリーを構築し、横浜市立大学医学部麻酔科学教室との共同研究で行われたものです。

なお、この研究成果はPLoS One誌(3月25日付)に掲載されました。