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研究情報

[医学部] 生体顕微鏡観察により新たな血小板産生過程を解明

2015年5月13日

本学分子病態研究部の西村智教授および京都大学iPS細胞研究所の江藤浩之教授らの研究グループは、骨髄中の巨核球細胞に生体顕微鏡観察、バイオイメージングを行い、新しい血小板造血の過程を同定し、制御する因子(インターロキン1アルファ)を明らかにしました。西村教授・江藤教授らが新規に開発し解析に用いたバイオイメージング技術は、生体骨髄で一つの血小板が産生される様を、三次元かつ動的に観察できる高速高解像度イメージングであり、従来手法ではわからなかった急速におこる血小板造血の機構を解明しました。

従来知られている血小板造血のメカニズムは、細胞質が細長く伸張した血小板前駆細胞(Proplatelet)という形態をとり一個一個ちぎれて血小板を産生するというモデルで、Harvard大学のグループらによって提唱されていました。しかし、このモデルでは炎症や感染の時などに見られる急激な血小板数の増加を説明できませんでした。

今回見出した新しい造血では、巨核球が破裂するように一度に大量に血小板を産生します(破裂型造血、Rupture)。生体は、血小板造血として二つのモード(ProplateletとRupture)を使いわけています。つまり、通常の状態ではProplateletにより血小板を維持していますが、急激に大量の血小板の必要性が発生するとRuptureが支配的になり、血小板を効率的に作ることを明らかにしました。また、破裂型の血小板造血を誘導する因子としてインターロイキン1アルファ(IL-1α)を同定しました。

今回の発見・同定により、1950年代より議論が続く造血そのものの細胞生物学的過程を明らかにし、また、骨髄バイオイメージングの手法論そのものも大きく進歩させたと言えます。今後、輸血に必要な血小板をiPS細胞から大量に製造する際にも、今回新たな生理作用が認められたIL-1αが重要な役割を持つ可能性があります。

なお、本研究成果は、Journal of Cell Biology誌に、平成27年5月11日にオンライン公開されました。