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研究情報

[医学部] 光トポを用いたADHDの客観的診断法の基礎を確立多施設の大規模による検証へ

2015年7月7日

自治医科大学小児科(門田、長嶋、山形)、中央大学(檀一平太)らの共同研究グループは、光を用いた無侵襲の脳機能イメージング法である光トポグラフィを利用して、注意欠如・多動症(ADHD)の中心症状(落ち着きがない・待てない)を個人レベルで可視化することに成功しました。

定型発達児がもつ多動・衝動性は、「子供らしさ」と表現されますが、ADHDにおいては「病的な症状」に分類されます。従来のADHD診断と治療効果の検討は行動観察が中心であり、しばしば「子どもらしさ」と「症状」の判別が困難でした。その結果として、「気づきのおくれ」につながり、学習の遅れや引きこもりなど、さらなる問題を生じる可能性が高まってしまいます。このため、ADHDの症状を判別するための客観的な手法が求められてきました。

今回の実験では、6歳から14歳のADHD児30名・定型発達児30名に、行動抑制ゲーム(Go/Nogo課題)をしていただきました。これは「落ち着きがない、待てない」というADHDの症状を計るのに適した課題です。ゲームの長さは約6分間です。この際に、行動抑制ゲーム施行中の脳活動変化を、光トポグラフィ(日立メディコ・ETG4000)によって計測しました。この検査の結果、定型発達児の右前頭前野で脳活動の上昇がみられましたが、ADHD児ではみられませんでした。右前頭前野は、行動抑制機能に最も関与するといわれる領域です。そこで、脳活動変化を反映する酸素化ヘモグロビン値に「基準値」を設定したところ、ADHD児を感度・特異度ともに80%以上という高い精度で判別できることを確認しました。感度80%とは、10人のADHD児がいたとしたら、その内8人を見逃さずに検出できるという意味です。特異度80%とは、ADHDでない児童が10人いた場合、そのうち8人をADHDでないと判別できるという意味です。

このように、今回、我々はADHD児の多動・衝動性に関わる症状を非侵襲的で簡便な方法で可視化する客観的な方法を見出しました。今後はこの計測システムをより使いやすいものにするとともに、実際の診断での使用できるかどうかを慎重に判断するために、より大規模な調査をおこなってまいります。本研究成果はオランダのエルゼビア社の臨床脳神経科学専門誌、NeuroImage: Clinical誌に掲載されます。

なお、本研究内容は、6月30日に中央大学において記者会見によるプレスリリースをおこないました。

研究の詳細については下記ウェブサイトにてご覧いただけます。

研究概要図

A 計測風景:注意欠如・多動症の症状である、<行動抑制>の低下が脳内でどのように起きているか、症状に関連するゲーム中に光トポグラフィ計測をしました。

B 集団計測結果:光トポグラフィを用いて行動抑制ゲーム中に活動した脳活動部位を可視化しました。定型発達児とADHD児における脳機能活動を部位ごとに集団解析を用いて比較すると、定型発達児では活動が変化するがADHD児では変化が見られなかった部位(2つのチャネル)が、右前頭前野に位置することを確認しました。

C 個人計測結果:右前頭前野の2つのチャネルの脳活動変化(酸素化ヘモグロビン濃度)に基準値を設定し、活動変化がどちらでも基準値以下ならばADHDとした場合に、定型発達児との判別率が感度83%・特異度80%となりました。

研究概要図

研究概要図

問い合わせ先

・研究に関すること

門田行史 (もんでん ゆきふみ) (自治医科大学 医学部 小児科学 講師)
〒329-0498 栃木県下野市薬師寺3311-1
TEL: 0285-58-7366
E-mail: mon4441977319@jichi.ac.jp

檀一平太 (だん いっぺいた) (中央大学理工学部人間総合理工学科/研究開発機構 教授)
〒112-8551 東京都文京区春日1-13-27
TEL: 03-3817-7272
E-mail: dan@brain-lab.jp


・広報に関すること

吉田智美 (よしだ ともみ)(自治医科大学研究支援課)
〒329-0498 栃木県下野市薬師寺3311-1
TEL: 0285-58-7550
E-mail: shien@jichi.ac.jp

加藤裕幹 (かとう ゆうき)(中央大学研究支援室)
〒112-8551 東京都文京区春日1-13-27
TEL: 03-3817-1603
E-mail: k-shien@tamajs.chuo-u.ac.jp