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研究情報

[医学部] アトバコン耐性のマラリア原虫は蚊のステージを乗り越えられない

2016年4月15日

マラリアの治療に用いられる薬剤にアトバコンという薬剤があるが、マウスで実験していると容易に薬剤耐性が起きてくる。アトバコンはマラリア原虫のミトコンドリア膜に存在するシトクロムbに作用して効果を示すことが知られているが、その薬剤耐性のメカニズムはシトクロムbに遺伝子変異が起きるためである。アトバコン耐性原虫はマウス血中やヒト赤血球中で培養した時にはアトバコンの影響を受けずに増殖することができるが、ハマダラカに吸血されたあと、蚊の体内で発育することができない。これは2004年に自治医大でアトバコン耐性マウスマラリア原虫を使って実験し発見された。変異型シトクロムbは酸素の豊富な環境においては十分に働かないため、原虫は蚊の体内では生き延びることができないと類推される。野生型の原虫と一緒に吸血させても、蚊の中で生き延びるのは野生型のみである。シトクロムb遺伝子はミトコンドリア遺伝子群に含まれており、母性遺伝をするため、野生型と交配しても変異シトクロムbは次世代に伝わって行かない。以上の実験は自治医大でなされたが、ヒトマラリア原虫を使った実験はできなかった。研究のアイデアを出したインドネシア・アイクマン研究所のSyafruddin博士はこの実験(ヒトマラリア原虫生殖母体を培養しハマダラカに吸血させる)をオーストラリア・メルボルン大学に研究員を送り込んで実施した。そして予想通り、アトバコン耐性ヒトマラリア原虫も蚊の体内では生き延びることが出来ないことを証明した。上記の成果を記述した論文は2016年4月15日、科学雑誌Scienceに掲載された。