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研究情報

[医学部] iPS細胞のテラトーマ形成を抑える方法を発見

2018年1月15日

1.概要

iPS細胞やES細胞など多能性幹細胞を用いた再生医療は、難治性疾患に対する画期的治療法として期待されています。しかしながら、臨床応用に向けて、移植した細胞に含まれる未分化な細胞を起源とする腫瘍(テラトーマ)の形成が、安全性の点で解決すべき大きな課題として残されていました。

今回、自治医科大学・幹細胞制御研究部の大学院生(当時)長田直希氏、菊池次郎准教授・古川雄祐教授らは、再生医学研究部の花園豊教授、理化学研究所梅原崇史ユニットリーダー、ジーントライ社林仲信博士らとの共同研究により、テラトーマが形成されるメカニズムを解明、低分子阻害剤の投与によってテラトーマ形成を抑制する方法を明らかにしました。

長田氏らは、iPS細胞から形成したテラトーマとiPS細胞との間で、エピゲノム制御に関わる分子の発現を網羅的に解析、テラトーマ形成に伴いリジン特異的脱メチル化酵素(LSD1)が強発現することを発見しました。そこで、iPS細胞を移植したマウスに梅原博士らの開発したLSD1阻害剤を投与の結果、テラトーマ形成を抑制できることを示しました。

これまでiPS細胞からのテラトーマ形成メカニズムは未解明であり、移植後の予防方法も未確立でした。本研究により、移植後にLSD1阻害剤を服用することでテラトーマ形成が予防でき、再生医療の安全性向上が期待されます。本研究は、筋ジストロフィーなど再生医療の実用化を待つ難治性疾患の患者にとって大きな福音となるものです。今後、本学臨床研究支援センターとも協力し、LSD1阻害剤の臨床応用を進める計画です。

本研究成果は2018年1月8日付で「Oncotarget」誌オンライン版に掲載されたほか、理化学研究所と共同で「多能性幹細胞からのテラトーマ形成抑制剤及びその用途」という名称で特許も出願しました。

本研究は、日本医療研究開発機構研究費(再生医療実用化研究事業)「iPS細胞を用いた再生医療における造腫瘍性の対策に関する研究」・私立大学戦略的研究基盤形成支援事業などの助成により行われました。

2.論文名

Osada N, Kikuchi J, Umehara T, Sato S, Urabe M, Abe T, Hayashi N, Sugitani M, Hanazono Y, and Furukawa Y. Lysine-specific demethylase 1 inhibitors prevent teratoma development from human induced pluripotent stem cells. Oncotarget. 2018, Jan. 08, doi.org/10.18632/oncotarget.24030.[Epub ahead of print]

3.論文掲載先