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研究情報

[医学部] 腹壁形成機構や臍帯ヘルニアの病態解明に有効なモデル動物の構築

2018年9月28日

自治医科大学分子病態治療研究センター・細胞生物研究部の高橋将文講師、佐藤滋准教授および川上潔教授らの研究グループは、理化学研究所バイオリソース研究センター・マウス表現型解析開発チームの田村勝チームリーダーとの共同研究により、ホメオボックス転写因子SIX4およびSIX5の二重欠損マウスがヒト臍帯ヘルニアに酷似した表現型を示すことを明らかにしました。

研究概要

臍帯ヘルニア(omphalocele)は、腹壁閉鎖異常を生じるヒト先天的新生児疾患であり、初期腹壁の形成異常や腹壁筋の発生異常が原因と考えられています。研究グループは、ホメオボックス転写因子であるSix4とSix5の二重遺伝子欠損マウスを構築し、肝臓および小腸が臍帯内へ飛び出る腹壁閉鎖異常を示すことを見出しました。この表現型はヒト臍帯ヘルニアに酷似しており、腹壁形成機構や臍帯ヘルニアの病態解明に同マウスがモデル動物として極めて有効だと考えられます。同二重遺伝子欠損マウス胎仔は、早期に臍輪が拡大し、その位置が前方にシフトしました。また初期腹壁の細胞増殖低下が見られるものの、腹壁筋の発生は正常でした。さらに腹壁の内側を覆う体腔上皮細胞は野生型においては間葉細胞様の中皮前駆細胞へと移行するのに対し、同欠損マウスでは上皮様構造が維持されたままで、中皮細胞への移行が阻害されていました。電気穿孔法によりSix4を全胚培養マウス胚の体腔上皮細胞へ導入すると、上皮細胞の間葉領域への移動が促進されました。これらの観察から、Six4/Six5遺伝子は初期腹壁の増殖と形態形成に必須であり、これらの過程の異常が臍輪の拡大や前方へのシフトを含めた、腹壁閉鎖異常の原因であることが示唆されました。

本研究成果は、未だ明らかでない腹壁形成機構や臍帯ヘルニアをはじめとする腹壁形成異常の発症における細胞動態の理解、さらに腹壁形成異常の予防法開発にもつながることが期待されます。

本研究成果は、Disease Models & Mechanisms 誌 2018年9月20日付けでWeb公開されました。本研究は、自治医科大学医学部研究奨励金、KAKEN、および私立大学戦略的研究基盤形成支援事業「非感染性疾患の病態解明と診断・治療法の開発拠点の形成」の支援を受け行われました。

掲載論文

Mice doubly deficient in Six4 and Six5 show ventral body wall defects reproducing human omphalocele.
Masanori Takahashi, Masaru Tamura, Shigeru Sato, and Kiyoshi Kawakami

Six4/Six5 遺伝子二重欠損はヒト臍帯ヘルニアに酷似した腹壁閉鎖異常を生じる。
高橋将文、田村勝、佐藤滋、川上潔

掲載誌

研究に関するお問い合わせ先

自治医科大学分子病態治療研究センター・細胞生物研究部・講師
高橋 将文(たかはし まさのり)
E-mail: mtaka@jichi.ac.jp

自治医科大学分子病態治療研究センター・細胞生物研究部・教授
川上 潔 (かわかみ きよし)
E-mail: kkawakam@jichi.ac.jp