自治医科大学附属さいたま医療センター 心臓血管外科

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ジョンズホプキンス大学心臓胸部外科学教室

秋吉 慧(三重大学医学部平成24年卒)

初めまして、2019年8月よりJohns Hopkins Medicineに留学中の秋吉です。私は平成23年に三重大学医学部を卒業後、三井記念病院で4年間臨床研修を行いました。その後、平成27年に自治医科大学附属さいたま医療センター心臓血管外科に入局し、心臓血管外科・循環器診療の修練を積んでまいりました。

Johns Hopkins大学はアメリカ東海岸、メリーランド州の中心都市ボルチモアに本部をおく私立の総合大学で、最新の世界大学ランキング12位、附属病院は全米病院ランキング3位という輝かしい実績を持つ全米屈指の大学です。私が留学してすぐの2019年10月にはノーベル生理学医学賞が発表され、「細胞が酸素の量を認識する過程の研究」に対する功績で本大学のグレッグ・セメンザ教授が同賞を受賞されました。歴史も古く、外科医なら誰もが知るハルステッド先生が教鞭をとっていたことでも有名で、過去より現在に至るまで、常に医学診療・研究分野でトップを走る名門大学です。
大学のあるボルチモアは野球の上原投手が在籍したオリオールズの本拠地として我々日本人にもゆかりがあり、川崎市と姉妹都市にもなっています。またナイキと双璧をなすスポーツメーカー、アンダーアーマーの本社があることでも有名です。病院があるのはダウンタウン地区ですが、少し離れた郊外は緑があふれ牧歌的な様相を呈し、のどかで住みやすい街だと思います。
現在私が携わっている研究は臨床と基礎の両方で、所属としては麻酔集中治療科(ACCM: Anesthesiology and Critical Care Medicine)に所属しています。臨床研究に関しては、人工心肺を使用する心臓手術における脳血流自動調節能に関する研究を中心に行っており、経頭蓋ドップラーエコーやNIRS (near-infrared spectroscopy)、BIS (bispectral index)を使用し脳血流の術中モニタリングを行っています。
基礎研究に関しては同じACCM内2つのラボに所属し、血管内皮に対する血流流体力学的影響の分子生物学的解明と、循環器疾患とmicroRNAの関係という二つのテーマに沿って生理学的実験から分子生物学的実験まで様々な研究プロジェクトを行っています。
Johns Hopkins大学はとにかく大学内外とのコラボレーションが盛んで、私が現在所属する2つの研究室以外に5つの研究室と共同研究を行なっており、そのうちの1つはスウェーデンの研究室です。このようにラボ同士の垣根も低く、ラボメイト達の交流も盛んなため渡米してから半年多くの友人が得ることができました。

指導教官も各研究室でそれぞれいますが、みなさん優しく熱心で、渡米時は基礎研究の知識など皆無であった私も、今では細胞培養からウエスタンブロット、リアルタイムPCRなど基礎実験に必須な手技を数多く習得することができました。また学会発表の機会にも恵まれ、2020年4月には基礎と臨床の2つのプロジェクトで自分が携わった研究内容を発表する予定です。

Johns Hopkins大学という全米屈指の大学で世界中の人達と切磋琢磨し、100%のエフォートで研究に浸る生活は、今まで臨床一筋だった自分にとってとても新鮮であり、毎日充実した研究生活を送っています。このような素晴らしい環境へ留学させて下さった山口教授をはじめとする医局員の皆様に深く感謝を申し上げます。ニューヨークやワシントンD.C、もちろんボルチモアに立ち寄る機会がありましたら是非秋吉にご一報下さい。