自治医科大学附属さいたま医療センター 心臓血管外科

お電話でのお問い合せ 048-647-2111

フロリダ大学ジャクソンビル校心臓胸部外科 臨床留学

武部 学(慶應大学医学部平成18年卒)

2014年7月に渡米してはや6年が経とうとしております。その間に娘が生れました。かわいくてしょうがありません。2014年から2017年までニューヨーク大学で胸部心臓外科の研修をし、その後ランケノーメディカルセンターというフィラデルフィアの病院で大動脈/MICSフェローとして勤務いたしました。NYUでは一般心臓外科に加え、HOCMに対する中隔切除、小開胸弁手術、ロボット補助下の僧帽弁手術などを経験しました。市立病院、軍人病院もあり、充実した研修プログラムでした。ランケノーではロボット補助下のバイパス手術に加え、小切開大動脈手術、弁手術、Redo手術、大動脈手術を研修いたしました。

いくつかのジョブオファーをいただき、現在フロリダ大学ジャクソンビル校で(紆余曲折あり)ジュニアアテンディングとして働いています。アメリカの専門医がないため、現在のポジションにあるのですが、あと数ヶ月で正式にアテンディングとして雇用される予定です。
アメリカ留学というと響きはいいですが、実際に勤務してみると、いろいろなものが見えてきます。アメリカと日本では研修方法が大きく異なります。

アメリカではとにかく縫わせる、手を動かすことに重きをおき、全体のマネージメントはわからないことが多いとおもいます。日本では外来を早期から任され、手術場においてもより自立に向かうのが早い気がします。
アメリカでは良くも悪くもフェローの手術はアテンディングの責任下であり、その中で手術をしているとおもいます。さらに、最近の情報開示の影響で、フェローの手術機会の減ってきた研修施設も多くあります。研修の有名なトップ施設は別として、実際にカニュレーションもままならないまま卒業していくフェローも多くいると聞きます。アメリカのプログラムの半数の外科医は職を転々とせざるを得なかったり、一般外科医や集中治療医になるなど、職を変えなければならなかったりすることもあるようです。また病院の経営状態や職場環境により、職が不安定になったり、給料が左右されたりすることもあり、その辺も日本と違うところでしょうか。 
私は幸運にも施設と上司たちに恵まれて、執刀の機会を多くいただきました。しかし手術適応やトラブルシューティングなど、まだまだ改善することが多いように感じています。
アメリカと日本で患者への接し方が違うと述べられる方がおられますが、私はまだそれを感じたことはなく、やはり、患者さんを自分の家族に当てはめてみて、どうするか決断をします。術後も患者さんにはりついてみることもありますし、休日も患者さんを診察して、状態を確認したりします。そういう意味では日本もアメリカも違いは感じません。患者さんはどんな人種、背景であれ、私の患者さんですし、患者さんのために尽くすというのはどこにいても変わらないのではないでしょうか。
上司にも恵まれ、執刀の機会を多数いただき、少しずつですが、成長している気がします。今後、日本で学んだ大動脈手術やフェローシップで習ったロボット手術技術を自分のプラクティスに加えていき、外科医生活を進んでいきたいと考えております。
自治さいたまの研修があるからこそいまの自分があり、本当にお世話になりました。自治医科大学さいたま医療センターとは、これからもなんらかの形でつながっていければと思っています。今後ともよろしくお願いいたします。