自治医科大学附属さいたま医療センター 心臓血管外科

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診療実績

日本胸部外科学会に報告する2016年の心臓大血管手術件数は532件、末梢血管・腹部大動脈を含めた心臓血管外科の総手術件数は1,010件でした。前年と比較するとわずかな減少でしたが、2年連続して心臓大血管外科手術件数は500件を超え、総手術件数も1,000件を超えることができました。約150件近い緊急症例の対応もしてきたわけですが、このような数の患者様に対する診療を行う上では、病棟管理・運営をしていただいたICU・病棟スタッフの皆様、手術室での管理・運営をしていただいた麻酔科医師・手術室スタッフの方々のご尽力なくしてはできないことです。この場をお借りして厚く御礼申し上げます。
 2016年の臨床実績において特筆すべきこととしては、弁膜症手術が264件となっており、この数年の増加傾向は目を見張るものがあります。高齢者大動脈弁狭窄症(AS)の増加は日本の高齢化社会の急速な変化を表わしているものと思われますが、特に高齢者大動脈弁狭窄症の場合には、ほかの臓器合併症を有することが多く、手術リスクも非常に高くなることが指摘されております。そのような状況下で2014年7月からTAVR(経皮的大動脈弁置換術)が当センターでも可能になり、従来の手術治療(AVR)ではリスクが高すぎるとみなされた患者様を対象としているにもかかわらず、非常に良好な成績が得られております。僧帽弁閉鎖不全症に対するMICS(小開胸手術)は2013年から始めており、年間約30件のペースで施行しておりますが、いずれも良好な経過であり、退院期間の短縮・早期職場復帰に寄与できたものと考えております。胸部大動脈疾患では、急性大動脈解離に対する緊急手術が多く行われましたが、近年の急性解離症例の傾向としては、比較的若く(50歳台前後)心筋・脳・腸管・下肢などの臓器虚血症状を伴った劇症型の患者様が多くなっている印象があります。臓器虚血を伴った急性解離の治療成績は著しく不良であることが以前より指摘されておりましたが、そのような重症例を数多く受け入れて治療を行う機会が得られたのも、救急部・手術室・集中治療室・病棟、それぞれの場でのスタッフの努力によるものであり、結集されたチーム力の賜物であると思います。
 末梢血管手術の件数も増加しております。中でも重症虚血肢に対する膝下血管へのバイパス手術は、フットケアチームのもとで国内でも有数の件数に携わっております。下肢静脈瘤に対しては、レーザー治療を導入しておりますが、近年の低侵襲化の潮流に乗って入院期間もより短縮しつつある傾向にあります。
 関連病院であるさいたま赤十字病院・春日部中央総合病院・練馬光が丘などは同じ診療圏にあり、それぞれのスタッフの努力により近年の手術件数はいずれも増加しております。埼玉県南部の診療圏において発症した、急性大動脈解離や動脈瘤破裂などの一刻を争う病状に対しては、関連病院間で連携をとることで診療の受け皿を増やし、地域におけるより効率的な救急診療の提供を目標としております。また2014年より当施設からの派遣が始まった横浜みなと赤十字病院においても、施設全体からの支援を得て、手術件数が順調に増加しております。神奈川県の同じ診療圏にある横須賀うわまち病院とも連携し、今後さらなる地域貢献ができるようにと、日々の診療に専心しております。
 常日頃より循環器診療チームとして的確かつ迅速な診断および初期治療をされ、患者さまを紹介してくださる循環器科の先生方・各診療科の先生方、また近隣の施設・病医院の先生方にもこの場をお借りしまして厚く御礼申し上げます。私どもの診療に御理解いただき、平素より深いご支援をいただき、誠にありがたく存じ上げます。今後とも引き続き御指導御鞭撻のほど、よろしくお願い申し上げます。   

手術治療数の推移と手術内容

心臓大血管手術症例数の経過、および2016年の手術治療内容をグラフで示しました。

虚血性心疾患:冠動脈バイパス手術の治療実績

現在、自治医科大学附属さいたま医療センターでは年間120~150件の単独冠動脈バイパス手術、および弁膜症や大血管手術と同時に行う複合冠動脈バイパス手術を実施しております。
近年の高齢化社会の影響によって、冠動脈バイパス手術を受ける患者様の年齢も上昇しています。また、併存疾患が多くなっている傾向も見られます。

心臓弁膜疾患の手術治療実績

当科における心臓弁膜症手術の治療実績を下記に示します。現在、自治医科大学附属さいたま医療センターでは、経カテーテル大動脈弁留置術(TAVI)を除く心臓弁膜症手術を年間250件程度実施しております。僧帽弁閉鎖不全症に対する右小開胸僧帽弁形成手術も2016年度は17件実施しましたが、来年度以降、さらに適応を拡大していく予定です。大動脈弁と僧帽弁双方に対する連合弁膜症手術や、虚血性心疾患や胸部大動脈疾患に合併する複合手術も数多く実施しておりますので、より安全で低侵襲な心臓弁膜症手術の実践を目指し、今後も発展していきたいと考えております。また、感染性心内膜炎などの緊急な治療を要する心臓弁膜症疾患に対しても、引き続き、迅速に対応して参ります。

経カテーテル大動脈弁留置術の治療実績

自治医科大学附属さいたま医療センターでは、大動脈弁狭窄症に対する低侵襲手術である経カテーテル大動脈弁留置術(Transcatheter Aortic Valve Implantation: TAVI)を2014年から開始いたしました。TAVI手術件数の推移を示しますが、手術症例数は増加傾向です。TAVI手術実施時の平均年齢は80歳を超えていますが、30日死亡率は0%、1年生存率は89.8%と非常に良好な成績が得られております。

胸部大動脈疾患の手術治療実績

現在、自治医科大学附属さいたま医療センターでは、ステントグラフト手術を含めた胸部大動脈疾患に対する手術を年間200件程度・急性大動脈解離に対する手術を年間50件程度実施しております。2007年の導入後、低侵襲なステントグラフト手術件数は増加傾向です。

腹部大動脈疾患の手術治療実績

当科における腹部大動脈疾患手術の治療実績を下記に示します。現在、自治医科大学附属さいたま医療センターでは、主に腹部大動脈瘤を対象疾患として、手術治療(開腹手術+ステントグラフト内挿術)を年間120-150件程度実施しており、これは国内有数の規模を誇ります。待機的手術に関していえば、開腹手術の在院死亡率は1.5%程度、ステントグラフト内挿術の在院死亡率は1%以下と良好な治療成績が得られています。

連絡先

心臓血管外科外来は毎日行っていますので、お時間に余裕があれば下記予約コールセンターまでご連絡ください。

お急ぎの場合は、心臓血管外科担当医師と直接相談いただければと思います。