自治医科大学附属さいたま医療センター 心臓血管外科

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臨床工学部

部長:山口敦司(心臓血管外科教授) / 技師長:百瀬直樹 / 副技師長:草浦理恵

当センター臨床工学部は、20名のスタッフで構成されており、心臓手術における人工心肺装置や、救命救急医療に重要な補助循環装置など、幅広い分野の生命維持装置に関連した医療機器の管理と操作を担当しています。

体外循環部門

体外循環部門では心臓血管外科手術に用いる人工心肺の操作を主に行っています。その他、冠動脈バイパス手術での循環補助を行うミニサーキット(小型の人工心肺)、経皮的心肺補助(PCPS)、補助人工心臓(VAD)も管理しています。さいたま医療センターには9名の体外循環技術認定士、4名の人工心臓管理技術認定士がおり、体外循環と補助循環を行っています。 さいたま医療センターの臨床工学部では、心臓手術における安全で体に低侵襲な体外循環の確立を目指してまいりました。自治医大附属さいたま医療センターの人工心肺の特徴は、以下に示す点です。

近年、人工知能などの高度技術開発の発展に伴い、各産業部門で自動化が進んでいます。特に、自動車産業では、国内・国外各メーカーが安全性の向上性を目指し、自動ブレーキ装置などは既に実用化されています。しかしながら、心臓手術に使用する体外循環装置に関しては、自動制御装置システムの開発は遅れており、依然として、臨床工学技士の職人的な経験/技術と集中力によって、その安全性が維持されているのが現状です。このため、過去他施設では、人工心肺装置から多量の空気が患者様に送り込まれ、重篤な後遺症が発生した事例も報告されています。自治医科大学附属さいたま医療センター臨床工学部は、安全な心臓手術を実施するため、人工心肺支援システムと閉鎖型回路による貯血量の自動制御システムを独自に開発・発展させてまいりました。また、閉鎖型回路を使用することで、人工心肺中の血液と空気の接触による酸化ストレスが軽減し、血液中の細胞の活性化も抑えられ、体に負担の少ない体外循環が可能となります。
さいたま医療センターでは体外循環の操作や非常時の対処法などのマニュアルを作成して運用しており、このマニュアルは こちら(人工心肺マニュアル17版pdf) から閲覧できます。
 2020年に人工心肺を用いた症例は279例でした。このうち緊急は55例、脳分離体外循環は51例で小切開手術(MICS)は14例でした。補助循環症例は循環補助目的のPCPSは45例で呼吸補助目的のECMOは18例でした。血管内ポンプカテーテル(IMPELLA)挿入は4例で、補助人工心臓(VAD)植え込み手術は1例でした。現在VAD管理は2例で移植に向けて療養中です。術中自己血回収症例は196例で、このうち46例が緊急でした。これからも、臨床工学技士と麻酔科医師・心臓血管外科医師が連携し、より安全な心臓手術の実践を目指していきます。

また、当センターの臨床工学部では下記部門も併設し、積極的な活動を行っています。

血液浄化部門 / 医療機器管理部門 / 心臓カテーテル検査治療部門 / ICU・CCU部門

詳細に関しては、当部門のホームページを参照してください。