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自治医科大学 臨床医学部門 眼科学

専門外来について

一般外来では診断や治療が困難な症例や特殊な症例に対し、次のような専門外来を設け、最新の医療を提供しています。
2017年現在開設中の専門外来の種類と曜日、担当医師は下記の通りです。

曜日 担当医
緑内障外来 月曜 午後 原、渡辺、佐野
ロービジョン外来 月曜 午後(隔週) 視能訓練士、担当医
角膜外来 火曜 午後 渡辺
未熟児外来 水曜 午後 新井、渡辺、佐野、伊野田
弱視斜視外来 水曜・金曜 午後 牧野
黄斑外来 木曜 午後 高橋(秀)、井上、伊野田、高橋(良)、添田
ぶどう膜外来 金曜 午前 川島
網膜硝子体外来 月曜 午後/金曜 午前 新井/高橋(秀)、坂本

角膜外来

 角膜外来は毎週火曜の午後に行っています。角膜は、いわゆる黒目の部分で、眼球の最前面に位置する直径約12mm、厚さ0.5mmの透明な膜で、眼球の屈折力の約2/3を担っています。この角膜に生じる疾患の種類は数多く、点状表層角膜症、角膜びらん、角膜潰瘍(細菌性、真菌性)、周辺部角膜潰瘍、角膜ヘルペス、円錐角膜、角膜ジストロフィ、水疱性角膜症などがあります。
 疾患の種類が多いゆえに、病態をよく考え、正しい診断を行う必要があります。そして、正しい診断のもとに治療を行います。感染症や免疫反応によって生じる疾患は薬物治療が中心となります。一方、薬物治療で改善できない疾患に対しては、角膜移植などの手術治療を行います。ドライアイの治療も角膜外来で行っています。同じ時間帯にコンタクトレンズ外来も行っており、主に円錐角膜に対するハードコンタクトレンズの処方を行っています。
 また、角膜外来では、アレルギー性結膜炎、春季カタル、翼状片、結膜弛緩症などの結膜疾患や眼瞼内反症などの眼瞼疾患の治療も行っています。角膜、結膜、眼瞼はお互いに隣接した組織であり、総合的に考えて診断・治療する必要があるからです。
 日本の角膜研究は、伝統的に世界のトップクラスにあります。角膜はなぜ透明なのでしょう?角膜に魅了される若い人の活躍を期待しています。


緑内障外来

 2012年4月より、緑内障専門外来は国松志保(東北大学眼科・助教)、原岳(原眼科病院・院長)の非常勤講師2名による対応となります。両名ともに診療は月曜午後のみです。緑内障各種病型の診断、治療にあたりますが、紹介元の先生方と自治医大緑内障外来の非常勤講師による共同のフォローアップ体制をお願いしています。
原発開放隅角緑内障POAG、正常眼圧緑内障NTGに関しては、投薬、手術などの治療方針を決定し、病状により視野検査、乳頭、網膜の3次元画像解析(視神経乳頭解析装置HRTU: Heidelberg Retina Tomograph、光干渉断層計 OCT : RS-3000)の経過観察を行う場合があります。投薬 治療の場合、治療方針を決定したのち、眼圧の経過観察や、予約外の事象への対応を紹介元の先生にお願いする事があります。特殊な手術症例等にも対応すべく関連病院の協力も得て万全を期しております。いずれも、術後の経過が落ち着きましたら、紹介元の先生と適宜連携を取りながら共同でフォローアップを行いたいと考えております。
原発閉塞隅角緑内障PACGの発作、続発緑内障の眼圧急上昇例に対しては、基本的に一般外来の医師が対応させて頂きます。投薬、点滴、レーザー治療、手術治療を適宜必要に応じて行います。
先天緑内障、発達緑内障の診断、治療は、緑内障外来以外の一般外来の担当医と共同で診断、治療を行います。場合により全身麻酔下で眼圧検査、隅角検査を行う場合があります。

網膜硝子体外来

 網膜硝子体外来は、糖尿病網膜症、網膜静脈閉塞症、網膜剥離、黄斑円孔や黄斑上膜や加齢黄斑変性などの黄斑疾患を対象とした専門外来です。近隣の眼科医院などからご紹介いただきました患者様は、まず一般外来を受診していただきますが、担当医が網膜硝子体手術などの専門的治療が必要であると判断した場合、担当医が網膜硝子体外来の予約をお取りします。(裂孔原性網膜剥離などの緊急疾患を除きます。)眼科専門医が診察を担当し、光干渉断層計(OCT)や螢光眼底造影や超音波断層像などの検査結果をもとにして、治療方針や手術の適応を判断します。主に、手術治療を行い、患者さまの視機能の質の維持や向上を目指しますが、平成20年からは、血管新生阻害薬の眼内注入に関する臨床研究を開始し、従来では治療が困難であった難治性の糖尿病網膜症や血管新生緑内障などの治療に、成果がみられています。完全に元どおりの視力を取り戻すことが困難な疾患を治療対象にすることが多く、余儀なく再手術が必要になることもありますが、くじけずに、診療技術、手術手技の向上に、日夜励んでいます。


黄斑外来

 当科では、毎週木曜日の午後に黄斑外来を行っています。黄斑とは眼球の後部にある外からの光が焦点を結ぶ網膜という場所の中心部を指し、視力にとって最も重要な部分です。カメラに例えるならフィルムの中心部分であり、その黄斑部に生じた疾患についての専門外来です。
 この外来に通院する患者様の大半が加齢黄斑変性(AMD)です。加齢黄斑変性は、加齢に伴う老廃物の蓄積から網膜下の脈絡膜に新生血管を生じることで発症し、著しい視力低下をきたす疾患です。欧米では中途失明の第一原因ですし、本邦でも増加傾向にあり200人に1人の方が持っています。
 この疾患の直接的な原因は新生血管を誘発する血管内皮増殖因子(VEGF)です。従ってVEGFを中和する薬剤を眼球内に注射する治療が最も効果的です。1ヶ月おきに3回注射することで多くの方は新生血管の活動性が落ち着き、平均で見れば視力も良くなります。しかし根本の原因は加齢ですので、しばらくすると再発してきます。3回注射の後も2ヶ月置きに定期注射を続けるか、定期検査をして活動性が認められたらなるべく早く注射することでその後も視力維持が可能です。
 外来では網膜断面を写真に撮る光干渉断層計(OCT)だけでなく、より確実な診断に必要なフルオレセイン・インドシアニングリーン蛍光眼底造影も行っています。またVEGFを中和する薬剤では効果不十分な方にしばしば必要な、光に反応する薬剤を点滴してから眼底にレーザーを当てる光線力学療法(PDT)も行っています。これらの精密検査・治療を総合して行える施設が限られているため、当黄斑外来には近隣の眼科医療施設からの紹介患者様が多数来院されています。


斜視弱視外来

 弱視斜視外来は自治医大開設の1974年から現在に至るまで「両眼視機能を大切に考えて」という一貫した治療方針のもと、脈々と続いている専門外来です。 水曜・金曜午後の専門外来は生後間もない乳児から高齢者まで幅広い受診があり、平均外来患者数は1日40例、入院手術は週1例、外来手術は多い時は週4例と最近増加傾向にあります。2000年までの新患総数は6677例で、2007年には8000例を超え、すべてデータベース化して管理しています。
 視能訓練士も6名在籍し、眼科一般検査に加え、視機能・両眼視機能を伸すための検査や訓練を行なっています。
弱視・斜視の分野では画期的な発見や新たな手術手技が続々と出るということはあまりあるわけではありません。また、治療成績の評価は多くの症例を長期にわたり経過観察することで、はじめて論ずることができる、いわば息の長い特殊性があります。その中で、泣いてしまって検査もなかなか困難だった子どもたちがいつの間にか立派に検査ができて成長してゆく姿や、外見的に気になっていた斜視が改善して前向きになれたとお話していただける患者さんに接することができるのはとてもうれしいことです。
 弱視・斜視といっても患者さんごとに、視機能や悩んでいることはさまざまです。専門外来では一人一人の患者さんの視機能を正しく評価し、長期にわたりよい状態で維持することを目標に日々診療にあたっています。  
 眼科診療を視機能の面から支えているこの分野に興味を持ってくれる若い力を期待しています。


未熟児外来

 当科では、毎週水曜日の午後に未熟児外来を行っております。4、5人の眼科医が新生児集中治療室 (NICU) の病棟に出張し、未熟児網膜症の疑いのある新生児を中心に眼底検査を施行します。
 未熟児網膜症とは、在胎週数34週未満、出生体重が1800g未満の低出生体重児が、生後3〜6週ごろに発症しやすい網膜の血管の未熟性に基づく疾患です。網膜血管は、胎生9ヶ月頃にほぼ完成するとされていますが、それ以前に出生した場合、眼球内での酸素濃度を含めた環境の変化で、網膜血管の異常成長をきたし発症します。悪化すると網膜剥離に進行し失明の危機となります。
 診察は、2人1組のペアになり小児科医の全身管理の下で未熟児網膜症の国際分類に従って診断し、悪化進行の危険があると判断された場合は、進行を食い止めるためにレーザー光凝固治療を施行しております。近年、未熟児管理の進歩にともない低出生体重児の生存率が増加し、当院でも重症な未熟児網膜症患者を診察する機会が増え、またレーザー治療の必要な症例が増加しております。本症では、治療時期の判断が重要であり、治療効果の適正時期を逃さぬよう細心の注意を払い診療に取り組んでおります。


ロービジョン外来

 ロービジョン外来では、見づらさのために日常生活に困難をきたしている患者さんに対して、各種補助具を選定し、残存している視機能を最大限に生かすことによりQuality of life(QOL)を向上させることを目的としています。
 ロービジョン外来では、拡大読書器、ルーペ、単眼鏡、遮光眼鏡、擬似体験セット、便利グッズ各種(サインガイド、音声時計など)を備えています。
 まずは視力検査(遠見・近見)、視野検査、読み速度の測定などを行い、視機能を評価します。その後、問診を行い、患者さんのニーズに応じて各種補助具のトライアルを行ないます。家族同伴の方へは擬似体験セットを用いて見づらさを経験していただいています。必要に応じて更生施設の案内も行なっています。

ロービジョン外来設備一覧
・ 拡大読書器(VS-2000AF、ナイツ社)
・ ルーペ(手持ち/卓上用、エッシェンバッハ社、コイル社)
・ 単眼鏡(ナイツ社)
・ 遮光眼鏡(東海光学CCPシリーズ)
・その他:擬似体験セット、便利グッズ(タイポスコープ、音声時計、色つきまな板など)


白内障外来

 月曜日と金曜日の午前を中心に診療しています。眼疾患のうちで、眼内の炎症性疾患を専門に扱い、その診断および治療(内科的あるいは外科的)を行っております。いわゆる、「ぶどう膜炎」「虹彩炎」「網脈絡膜炎」あるいは「ベーチェット病」「サルコイドーシス」「原田病」等と診療所で診断を受けられた方に受診いただいています。外来で行う診療が中心ですが、場合によっては入院の上、さらなる精査を行い、内科的あるいは外科的治療が施行される場合もあります。最先端の治療として、ベーチェット病に対するレミケード点滴治療、黄斑浮腫に対するステロイドテノン嚢下注射あるいは硝子体手術などもしています。併発白内障手術や続発緑内障に対する手術にも対応しています。

 時には失明の危険性もある疾患ですので、何より、正しい診断と的確な治療が必要とされます。眼疾患の中では決して頻度の高いほうではありませんが、なかなか完治に至らない場合も多く、様々なそして長い病歴をたどっておられる方も少なからずいらっしゃるでしょう。我々は、最善を期しての治療を提供すべく、最新の情報と最先端の治療をご提供いたします。そして、ともに病にチャレンジする姿勢を何よりも大事にしています。