Division of Regenerative Medicine, Center for Molecular Medicine, Jichi Medical University

自治医科大学 分子病態治療研究センター
再生医学研究部

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私立大学戦略的研究基盤形成支援事業「マウスからヒトへ」のリンク


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研究紹介

 iPS細胞を利用する再生医療や新しいゲノム編集技術(CRISPR /Cas9)を用いたゲノム治療に関して魅力あふれるさまざまなアイデアがマウス実験などに基づいて提案されていますが、すぐヒトに応用できるわけではありません。ヒトに応用する前には、サルやヒツジやブタなど大型動物でその有効性や安全性の検証が必要です。今までに私たちは、日本で初めてサルの骨髄移植を、世界で初めてサルES細胞をサルへ移植する実験を実施しました。また、サルの心筋梗塞を作製して幹細胞治療のモデル実験を行ってきました。現在では、これまでの蓄積を元に、大型動物を用いて新しい治療法の有効性と安全性の検証を進めています。特に力を入れている研究テーマは (1) 造血幹細胞の動物工場での生産、(2) 免疫不全ブタをモデルにしたゲノム治療、(3) 心筋細胞の成熟、(4)新規モデル動物の4つです。


(1)ブタ・ヒツジなど大型動物体内での造血幹細胞産生(阿部講師)
 ヒトiPS細胞から造血幹細胞を安定的に産生することは現時点で困難です。私たちは造血幹細胞分化に必要な因子を動物体内に求め、ヒトiPS細胞由来の造血幹細胞の産生が可能であることを見出しました。更なる効率化により安定的に産生することが可能になれば、動物は、ヒト成体・ヒト臍帯血に次ぐ、造血幹細胞の第三のソースになり、現在のドナー不足の解決につながるでしょう。本研究は、AMED 再生医療実現拠点ネットワークプログラム個別課題「ブタ等大型動物を利用するiPS細胞技術の開発」(代表:花園豊)や科研費 基盤C(代表:花園豊)、若手B(代表:阿部朋行)の一環として行っています。


(2)免疫不全ブタ(SCIDブタ)のゲノム治療を目指す研究 (原助教)
 明治大学農学部長嶋比呂志教授と共同でSCIDブタを作出しました。SCIDブタはSCIDマウスのブタ版としてiPS細胞から分化誘導した細胞の移植先など様々な応用が考えられます。一方、ゲノム編集技術を応用して、このSCIDブタの治療も目指しています。SCIDブタ治療は東京大学濡木理教授や同大学村田昌之教授との共同研究です。AMED革新的バイオ医薬品創出基盤技術開発事業「新規CRISPR-Cas9システムセットの開発とその医療応用」(代表:濡木理)の一環として行っています。


(3)心筋細胞の成熟メカニズムの解明(魚崎講師)
 iPS細胞から誘導した心筋細胞は非常に幼若です。これを如何に成熟させるか、バイオインフォマティクスから得られた知見を元に研究を進めています。成熟メカニズムを解明し、 iPS細胞から成熟し成体型となった心筋細胞を得られるようになることで、試験管内で心疾患の発症メカニズムなどの研究や新しい治療薬の開発が可能になると考えられます。AMED再生医療実現拠点ネットワークプログラム・幹細胞再生医療イノベーション創出プログラム「未成熟心筋細胞の成熟心筋細胞へのリプログラミングとその分子メカニズムの解明」(代表:魚崎英毅)やその他の助成金を受けた研究の一環として行っています。


(4)新規モデル動物の作出
 ゲノム編集技術の進歩により、これまでは困難であった遺伝子改変動物が容易に作出できるようになりました。これまでにSCIDブタやSCIDマウスを作出してきましたが、これからはさらに様々な遺伝性疾患を持つモデル動物(マウス、ラット、ブタ)を作出し、新しい疾患モデルを作り出し、iPS細胞を用いた再生医療やゲノム治療のモデルとして期待しています。群馬大学畑田出穂教授や本学の長尾恭光准教授らとの共同研究で進めています。この研究は私立大学戦略的研究基盤形成支援事業「マウスからヒトへ:大型動物を利用する橋渡し研究」やその他の助成金を受けた研究の一環として行っています。