自己血貯血について

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自己血貯血について

自己血輸血とは、手術の際の出血に備えて、前もって採血し保存しておいた自分の血液を手術中または手術後に輸血する治療法です。 他人からの輸血(同種血輸血)を防ぐことができたり、同種血輸血を少なくすることができます。


自己血輸血には以下の3つの方法があります。

  1. 貯血式自己貯血:手術時に必要と考えられる輸血量を基本的に、患者さんの体重、赤血球量などから保存する血液量(総貯血量)を決めます。成人の場合、採血量は一回に200~400mlで、一週間毎に数回採血(貯血) します。小児の場合、体重から採血量は決めますが、一回に100~400mlです。採血開始から手術までの期間が長い場合は、一旦、採血した血液を戻しながら保存を行うスイッチ・バック方式(蛙飛び方式)を用いる場合があります。また、日本赤十字社に長期間保存できる冷凍赤血球を委託することがあります。採血は担当医の指示のもとに自己血ルームで看護師が行います。 自己血輸血の方針が決定しましたら鉄剤の服用をしていただきます。経口鉄剤による副作用(吐き気などの消化器症状)で内服が困難な場合は注射で鉄剤を補給することもあります。総貯血量が多い場合は、赤血球造血因子であるエリスロポエチンを注射で投与しながら貯血する場合もあります。その投与方法は、患者さんの体格、赤血球量、1回の採血量、総採血量、採血期間などによって異なります。極めて稀なことではありますが、本剤による血圧に上昇、薬剤過敏、血栓・塞栓症などの副作用も報告されています。
  2. 回収式自己血貯血:手術時や術後に出血した自己の血液を機械やバッグで回収し、自己血輸血として用います。疾患や手術の種類によってはできない場合があります。
  3. 希釈式自己血輸血:手術室で麻酔後に患者さんの血液を採取し、採取した血液を代用血漿などで補います。手術終了直後、採取しておいた血液を返血します。疾患や手術の種類によってはできない場合があります。